十一、地方税関係

1. (住民税の所得控除の種類及び金額について)

 個人住民税の所得控除の種類、金額及び要件を所得税と同一とすること。

(地法34、314の2)

<理 由>

 住民税における所得控除の種類、金額及び要件が所得税の場合と異なっているが、納税者の税額計算の合理化及び税制の簡素化の見地から、所得税の場合と同一にすべきである。

2. (個人の都道府県民税の均等割額の二重課税の廃止について)

 住所を有する市町村以外の市町村に事務所、事業所又は家屋等を有する個人は、その事務所等を有する市町村ごとに都道府県民税の均等割額の納税義務を有するが、住所地と事務所等が同一の都道府県民の場合、一の均等割額の納税義務とすること。

(地法24)

<理 由>

 法人の場合には、同一都道府県において二以上の市町村に事務所等を有しても、一の都道府県民税の均等割額の負担のみである。しかし、個人については、二以上の均等割額が課税される場合が生じ不公平である。

3. (廃業の場合の個人事業税の申告期限について)

 事業の廃業の場合、個人事業税の申告期限が廃業後1カ月以内とされているが所得税の申告期限と同一とすること。

(地法72の55)

<理 由>

 事業廃止後の債権債務を1カ月以内に把握、確定するのは実務的に困難であり、また、事業廃止後、同一年中について新たな事業を開始することもある。

 個人所得の計算は暦年計算が原則である。したがって、個人事業税の申告期限は、所得税の申告期限と同一にすべきである。

4. (事業税における事業主控除について)

 個人事業税における事業主控除額を引き上げること。

(地法72の18)

<理 由>

 個人事業税の事業主控除は、法人組織の場合の役員報酬及び給与所得者との負担のバランス上設けられたもので、少なくとも給与所得者の平均給与額と足並みを揃えるよう見直しすべきである。

 民間給与の実態調査によれば、昭和50年の平均給与は203万円であり昭和51年に事業主控除額が200万円に引き上げられている経緯からも、この関連は明確である。

 平成7年分の民間給与平均額は457万円(国税庁「民間給与の実態」)であって、現行の事業主控除額(270万円)と大きな開きが生じていることは不合理であるので事業主控除額を450万円程度に引き上げるべきである。

5. (地方税と国税の判定基準の統一化について)

 地方税と国税の判定基準の統一化を図ること。

(地法72D四、十三、73の14)

<理 由>

 地方税法では、例えば、次の場合のように課税客体について所得税等の国税と判断基準が異なるが、事務の簡素化や税制の簡素化の観点から統一化を図るべきである。

(1) 不動産貸付業等の事業的規模の形式基準の取扱いが事業税と所得税で差異がある。

(2) 不動産取得税の住宅を取得した場合の課税標準の特例は、床面積40u以上 200u以  下(他に価格要件等あり)のとき適用されるが、住宅を取得した場合の所得税の軽減  は、床面積50u以上240u以下のとき適用される。

6. (法人の利子割額の廃止について)

 法人の利子割額の控除等の手続を廃止すること。

(地法53O、71の5〜26)

<理 由>

 法人の都道府県民税の利子割額の控除等の手続は、税制及び行政の事務の簡素化・合理化に合致しないので、これを廃止し、国税に一本化して徴収し、その一部を地方財源として譲与することにより簡素化を図るべきである。

7. (法人の事業税、都道府県民税及び市町村民税の予定申告について)

 法人の事業税、都道府県民税及び市町村民税の前事業年度の税額を基準とする「予定申告」については、予定申告書の提出を要しないものとし、税額の納付だけに止める制度とすること。

(地法53、72の26、321の8)

<理 由>

 法人税において中間申告をする必要がある法人にあっては、事業税、都道府県民税及び市町村民税についても中間申告書の提出を必要とするが、当該申告書の提出が提出期限までにない場合には、前事業年度の税額を基準とする「予定申告書」の提出があったものとみなされ、その事務は形式的なものとなっている。

 これらの税目については、事務の煩雑さ等を考慮して、予定申告により納付すべき税額を納付することのみの予定申告制度とすべきである。

8. (不動産取得税の賦課制度の見直しについて)

 一定期間内に贈与等の取り消しがあった場合について、不動産取得税の賦課制度を見直すこと。

(地法73の7)

<理 由>

 不動産取得税は、贈与等による不動産の所有権の移転がその後解消され、旧に復した場合に、原則として再度課税されている。

 しかし、所有権の取得原因が解消されていることは、不動産の取得という社会的事実そのものが無くなったことを意味する。

 したがって、一定期間内に贈与等の取り消しがあった場合には、不動産取得税を課すべきではなく、また、当初の贈与等により課税された不動産取得税の賦課も取り消すべきである。

9. (不動産取得税の負担の軽減)

 土地に係る不動産取得税の課税標準又は税率を引き下げて負担の軽減を図ること。

(地法73の13〜15)

<理 由>

平成9年度の改正により、土地に係る不動産取得税の課税標準を固定資産税評価額の5割に圧縮する軽減特例が3年間継続されることになったが、平成6年度の評価替え以前に比べてもなお高い負担となっており、土地の有効利用を促進するためにも、課税標準又は税率を引き下げて負担の軽減を図るべきである。また、国税である登録免許税についても、同様に取り扱うべきである。

10. (固定資産税評価算定手続について)

 固定資産評価の算定基準を明確にするとともに、公開すること。

(地法388)

<理 由>

 固定資産税評価の算定基準は明確とはいえない。特に土地の評価は、地方税法において「適正な時価」に基づき評価決定することとされているが、各地方公共団体における評価水準の整合性が十分図られているとはいえない。

 評価の算定基準を明確かつ適正にするとともに、公開することによって課税の公平を図るべきである。

11. (固定資産税の負担の軽減)

 固定資産税の負担の軽減を図ること。

(地法351)

<理 由>

現在、免税点については、平成3年に改正され、土地30万円、家屋20万円、償却資産150万円になっている。平成6年度の土地の地価公示価格の7割程度への評価替えにより、評価調整措置はあるが、毎年固定資産税の負担が増加していた。。

平成9年度以後は、課税標準を固定資産税評価額の8割相当額へ改正し、また、地価が下落している地点の評価額については、地価公示価格の下落率を参考にして毎年見直しをすることになったが、平成6年度の評価替え以前に比べても、なお重税感が大であるので、免税点を引き上げる等の方法により負担の軽減を図るべきである。

12. (共有持分名義の固定資産税納税通知書について)

共有名義にかかる固定資産税は、その共有持分割合に応じて各人ごとに納税通知書を送付するとともに、課税資産の明細書を添付すること。

 (地法10、10の2343)

<理 由>

共有名義の固定資産税の納付は、連帯納付義務を原則としているが、例えば、共有者間の諸事情から意思の疎通を欠く場合には、指定された代表者に物心両面の負担をもたらし、かつ納税に円滑を欠くことになるので、特別な申し出がない限り、各持分の割合に応じた納税通知書を各共有者に送付すべきである。また、共有者の各々がその課税内容の理解を得やすいように課税資産の明細書を添付すべきである。

13. (特別土地保有税の税率の引き下げ又は廃止)(新設)

 特別土地保有税の税率の引き下げ又は廃止をすること。

<理 由>

 特別土地保有税は土地の投機的取引の抑制と土地の供給及び土地の有効利用の促進を目的として創設された税であるが、現在の地価低迷の中で創設の趣旨に適わなくなってきているので、税率の引き下げ又は廃止をすべきである。

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