韓国の納税者権利憲章と国税行政サービス憲章


−韓国の税務行政の改革に関連して−



[韓国納税者権利憲章と国税行政サービス憲章]
 1999.9.1から韓国国税庁は第2の開庁と名付け、これまでの税務行政を納税者向けのサービス中心に大きく改編されました。
 税務署を訪れると、その入り口の正面には、必ず「納税者権利憲章」と今回制定された「国税税政サービス憲章」の額縁が並んで掲げられており、その意気込みが強く感じられます。
 韓国国税庁の発行したパンフレトである「国税行政サービス憲章」を翻訳してその内容を紹介します。初めに「納税者権利憲章」、つづいて「国税行政サービス憲章」の順番で紹介します。

<納税者権利憲章(1997.6.30制定)>
 納税者としての貴下の権利は憲法と法律が定めるところによって尊重されて保障されなければないです。これのために国税公務員は貴下が神聖な納税義務を信義によって真面目に履行するように、必要な情報と便益を最大限に提供すべきであり、貴下の権利が保護されて実現されるように最善をつくして協力すべき義務があります。
 この憲章は貴下に納税者として保障受けることができる権利を具体的に知らせするためなのです。
 1.貴下は記帳・申告等納税協力義務を履行しなかったとか具体的な租税脱漏の疑い等がない限り、誠実な納税者であり、貴下が提出した税務資料は真実のことに推定されます。
 2.貴下は法令が定める場合を除き、税務調査の事前通知と調査結果の通知を受ける権利があって、不可欠な事由がある場合には調査の延期を申し込む権利があります。
 3.貴下は税務調査の時、租税専門家の助力を受ける権利があって、法令が定める特別な事由がない限り重複調査を受けない権利があります。
 4.貴下は自分の課税情報に対する秘密を保護受ける権利があります。
 5.貴下は権利の行使に必要な情報を速かに提供受ける権利があります。
 6.貴下は違法的な又は不当な処分を受けるとか必要な処分を受けることができないことで、権利又は利益を侵害された場合に適法して速かに救済受ける権利があります。
 7.貴下は国税公務員からいつも公正な待遇を受ける権利があります。
  付則 この公示は1997年7月1日から施行する。

< 国税行政サービス憲章 >
 新しい千年を迎えて国税庁が組織と人力を納税者中心に革新し、国民の愛と信頼を受けるサービス機関に生まれ変わろうとします。
 ここに納税者の権益が実質的に保障になることができるように国税行政サービスの履行標準を設定・公表して、これを実践することを次のように念を押します。
 "我々は納税者の権利が即ち我々の義務であることを銘心して、納税者の権益が侵害されないように細心の注意を傾けて業務を遂行いたします。
 "我々は制度と手続きを作って執行する時、いつも納税者の立場を先に思う税政を実践いたします。
 "我々は納税者の要求事項と満足度を周期的に把握して、これを積極的に反映して民主的で科学的なサービス税政を具現いたします。
 "我々は国税行政の執行過程と内容を広く知らせて、全ての国民と一緒に開かれた税政を広げます。
 "我々は納税者が感動する最大限のサービスを提供して、税政に対する自発的な協力を導き出すことで「正道税政」を具現する元になるように努力いたします。

< 国税行政サービスの履行標準 >
1.納税者を迎える我々の姿勢
 "誠実な納税者に報いる感謝の心で民願人を迎えて、性別・年齢・身分による差別をいたしません。
 "民願人の便宜のために訪問の前に電話等を通じて訪問目的をしらせて、訪問予約をなさることがでます。
 "当官署を訪問すればどの業務室にでも職員の親切な案内を受けることができます。
 "体の調子が悪いお方も楽に仕事をするようにいたします。
 "他の業務中にでも民願人が尋ねて来れば優先してお迎えいたします。
 "業務処理担当者が席にいない時は他の公務員が代わりに処理いたします。
 "問い合わせた事項は充分に理解されるように明快に説明いたします。
 "税金と関わる民願事項は直接に税務署を訪問しなくても郵便や電話・fax・インターネットを利用してくだされば迅速・正確に処理いたします。
 "民願処理の結果を返事する時には、関係公務員の名前と連絡できる所を表示して疑問事項に対する確認が可能になるようにいたします。

2.業務分野別のサービス実践基準
 民願証明
(民願証明の種類)税務官署で発給受けることができる民願証明は次の通りです。
 "納税証明書
 "事業者登録証明
 "休・廃業事実証明
 "納税事実証明
 "付加価値税課税標準証明
 "所得金額証明
 "付加価値税免税事業者収入金額証明
 "標準財務諸表証明
 "簡易所得金額計算書証明
 "源泉徴収履行状況申告書確認 等

(接受方法) 民願書類は税務署の納税サービスセンターで直接に受け付けます。更に、電話や郵便やfaxやインターネットによって易しく受け付けることができます。

(処理手続) 民願書類は受け付けた税務官署で直接に処理してあげて、他の税務官署で処理すべき場合には直ちに移送して処理手続きと処理期限を書面又は電話で通知いたします。

(処理期限遵守) 受付された民願書類は処理期限内に速かに処理いたします。民願書類別に処理期限が明示された"民願業務処理基準表"を納税サービスセンターと合同税務情報センターに備えて、インターネットホームページにも掲載いたします。

(処理が遅くなる場合)民願人に処理の引き伸ばした事由、進行状況、予定日時等を個別に通知いたします。この時には書面によって関係公務員の所属と名前、電話番号を記載してお知らせいたします
 
 税務相談
(相談範囲) 税務相談は申告o納付と事業上の隘路及び苦情、脱税提報・陳情 など税金に関わる全ての事項に対してなさることができます。

(相談場所)税金に関わって分かりたい点がある時は、いつでも税務官署で提供するサービスを受けることができます。
 区分 税務署 地方国税庁 国税庁
 相談場所 納税サービスセンタ 合同税務情報センター  納税サービスセンター
 位置 全国99ケ所の税務署 全国7大都市 国税庁
 電話番号    080-500-2100 02-720-2100, 02-734-2100
 "合同税務情報センターには税務相談だけではなく、企業経営及び法律等に関わる総合的な相談もして上げています。

(電話指導税務相談TRS) 納税者の一番気になる300余個の相談事例に対して24時間、年中無休で自動回答して上げています。
 電話自動税務相談TRS案内
 oソウル地域:02-679-3200      o大田地域:042-621-3200
 o光州地域:062-371-3200 o大邱地域:053-359-3200
 o釜山地域:051-621-3200

(インターネット相談) インターネット国税庁ホ−ムペ−ジwww.nta.go.krに接続すれば、相談サービスを提供受けることができます。

(親切な相談) 民願人を迎えるときには先に自分の名前を名乗って敬語を使いながら、理解しやすいように説明させていただけます。さらに、淑やかな服装と清潔などにも細心に気を使います。

(相談内容の秘密維持) 税務相談の過程で分かるようになった内容は徹底的に秘密を守ってあげます。

(資料提供) 質疑返事、例規、訓令など納税者に必要な情報は、案内資料やインターネットホ−ムペ−ジを通じて適時に提供いたします。

申告・納付
(申告案内) 各種の税金の申告時には申告方法、手続き等を予め案内することで、申告による不便がないようにいたします。
(自律申告の尊重) 税金の申告に関わって税金増額の申告勧奨等、税務干渉をいたしません。

(郵便申告) 申告のために税務官署を直接尋ねて来る不便がないように郵便申告制度を拡大運営いたします。

(申告書の作成教室の運営) 納税者の自ら申告書を作成できるように申告書の作成教室を運営いたします。

(告知書の送達) 納税告知書は住所地又は事業場に送ってあげます。そして、送達受ける場所を別途に指定してくだされば願う場所に送達するようにいたします。

(税金の納付) 税金は近くの銀行や郵便局に納付すればいいですし、相続税及び贈与税等は現金のほかに所定の証券や現物でも納付が可能です。

(納付の延期申請) 税金を納めにくい事情が発生した時には、一定期間の間、これを延期してくれるのを申し込む事ができますし、この場合には積極的に検討いたします。

 税務調査
(税務調査の事前通知) 税務調査を実施する時には調査期間及び調査事由と調査公務員等が記載された「税務調査事前通知書」を特別な場合の以外には最小限7日前にお送りいたします。

(調査の延期申請) 事前通知を受けた後、特別な事情によって調査を受けにくい場合には、調査の延期申請をなされば積極的に検討いたします。

(調査員証の提示及び納税者権利憲章の交付) 税務調査のために訪問する時には、必ず、調査員証を提示し、「納税者権利憲章」を交付してその内容を説明させていただきます。

(重複税務調査の制限) 税務調査を実施するにおいて、特別な場合を除いては同税目及び同課税期間に対して重複調査をいたしません。

(税務調査の終了と決定前通知) 税務調査を終える時には悔しい課税がないように慎重に検討して、権利救済手続き等を詳細に説明させていただきます。さらに、税額を決定する前に他の意見があるかどうかを書面で確認するようにします。

3.誤ったサービスに対する是正
 納税サービスに不便を感じた時
(納税者保護担当官) 税務署長の直属機構として納税者保護担当官を設置して、税金に関わる苦情や隘路事項等を納税者の側に立って積極的に解決してあげます。

(申告及び連絡) 納税サービスに不便を感じた時には税務署の納税者保護担当官や納税サービスセンターや各地方庁の納税支援課と国税庁の納税者保護課に申告又は連絡して下されば直ちに是正措置をして返事いたします。

(即時是正措置及び補償) 国税公務員の明白な過誤で、業務の過ち又は遅延処理された場合には、直ちに是正処理をしてその結果を通報いたします。これによって税務署を再び訪問する事や電話をする事の不便をかけた場合には、これに相応した補償をしてあげます。
 ・再び訪問した時   : 5千ウオン相当
 ・再び電話をかけた場合 :  2千ウオン相当

(職員教育) 職員と面会又は電話をする時、不親切で愉快でない場合には直ちに連絡をくだされば、当公務員を再教育いたします。

(模範職員の発掘) 特別に親切で模範となる誇らしい職員を見られた場合、積極的に推薦して頂くと、広く知らせて模範となるようにいたします。

税金納付と関わって不満がある時
(職権是正) 納税者が是正を要求される前でも、誤って課税された場合には、直ちに職権で是正いたします。

(課税適否審査の請求) 決定前通知に異議がある場合には、通知を受けた日から20日以内に通知を受けた官署に課税適否審査を請求することができます。

(異議申請) 課税処分に対して異議がある場合には、90日以内に税務署又は地方国税庁に異議申請をなさることができるし、異議申請を提出した日から30日以内に審査結果をお知らせいたします。

(審査請求) 異議申請の結果に満足しないで異議申請の手続きを経る必要がないと判断する場合には、処分を受けた日から90日以内に、国税庁の審査請求をすることができる、審査請求を提出した日から60日以内に審査結果をお知らせいたします

(資料閲覧等の協調) 不服請求等のために必要な関係書類の閲覧又は写本を要求した場合には速かにこれを提供いたして、不服請求等を理由に、不利な待遇を受けないようにいたします。以下省略       
 (資料提供:黄喜英氏(99年9月より南テグ税務署の納税者保護担当官)、税理士 土田建二)

(注)本文の整理を、2001年9月から横浜国立大学大学院に留学している韓国国税庁の張日鉉氏にお願いしました。
(2001年11月11日)