韓国の国税行政組織の改革と納税者保護担当官の設置
韓国では、本年9月1日から国税行政組織が改変されるとともに、納税者保護担当官が新たに設置されました。
(資料提供土田建二税理士(東京地方税理士会情報システム委員長))
本年‘99.9.1から韓国の国税庁本庁を初めとして地方国税庁・税務署の組織が改組されました。その目的は調査機能の拡大と納税者へ水準の高い税務サービスの提供による納税者保護システムの設置です。
1996年に東京地方税理士会招聘による韓国テグ地方国税庁の研修生として来日した黄喜英氏(本年9.1より南テグ税務署納税者保護担当官に就任)からの提供資料を翻訳して韓国の税務行政の現状を紹介します。
初めに韓国国税行政組織の革新、次いで納税者保護システムの納税者保護担当官の説明です。
[ 国税行政組織の改革 ]
1.国税行政組織改革の背景
国税庁は年初から急激な税制環境の変化と国政全般にわたる改革推進に従って「第二の建国」精神に立脚して新たな国家税入機関に新たに生まれ変わるために行制・制度・慣行等税制全般に跨る総体的な改革作業を推進し
このような税制改革の推進を組織的・体系的に後押しして2000年代の先進税制具現を準備するために99.9. 1に国税組織を全面的に改編した
2. 組織改編の基本方針(第二の国税庁開庁)
業務処理の透明性を確保して不条理発生余地を根源的に遮断して専門性の高揚と納税者に高水準のサービスを提供するために全組織を納税者中心の機能別組織に設計
実行性の少ない機能は果敢に縮小しサービス・調査等核心機能を中心に限ある人的資源を再編成して組織全体の生産性を高揚
3. 組織改編の核心骨子
ア.税務署組織を税目別組織から納税者中心の機能別組織に転換して国税行政の透明な運営
機能別組織体系
<現行> <改編>
総務課 納税支援課
所得税課 税源管理課
付加価値税課 調査課
法人税課 徴税課
財産税課 納税者保護担当官室
現在は税目別に規定された各課から事業者登録,税金申告,調査担当者選定,徴収等事業 者登録段階から廃業時まで全ての業務を遂行
→担当者と納税者間の癒着による不条理素地常存及び専門性不足
機能別組織には事業者登録発給、申告,調査,徴収等業務機能別に各々異なった課で遂行
イ.機能別組織の実効性ある運営とシナージ効果による組織の競争力と生産性高揚のため果敢に地方庁と税務署の統合を断行(企業マインドの導入)
中部庁と京仁庁を統合(統合庁の名称:中部地方国税庁)
35税務署を統・廃合(134個署→99個署、26%縮減)
ウ.組織改編による人力節減効果
エ.国税行政の二大核心機能のサービス及び調査組織・人力大幅拡充
<現行> <改編>
サービス関連組織を画期的に拡大改編
−(現在)ソウル、プサン,慶州 → (拡大)大田、テグ、仁川
調査組織と人力を現在の二倍水準に大幅に補強して陰性脱漏所得者に対する課税強化
を積極・推進して業種間・所得種類間の税負担不均衡を是正
−現調査局は人力不足で主に大法人のみ調査
―地方庁別調査局:ソウル庁2局→4局,中部庁1局→3局、プサン庁1局→3局,大田・慶州・テグ庁1局→2局
4.その他事項
直税局 個人納税局
間税局 → 法人納税局
財産税局
<地方庁人力配置>
調査45%,非調査55% → 調査68%,非調査32%
各庁組織改革図 (本庁及び太田・慶州・テグ庁例示)
[本庁]
<現行(9局30課)> <改定(8局29課)>
・総務課 ・総務課
・広報担当官 ・広報担当官
・企画管理官 ・企画管理官
企画予算担当官 企画予算担当官
行政管理担当官 行政管理担当官
法務担当官 非常計画担当官
非常計画担当官
・資料管理官 ・電算情報管理官
電算企画担当官 電算企画担当官
運営担当官 電算運営担当官
情報開発1担当官 情報開発1担当官
情報開発2担当官 情報開発2担当官
・監査官 ・監査官
監査担当官 監査担当官
監察担当官 監察担当官
・徴税審査局 ・徴税支援局
徴税課 徴税課
審査1課 納税者保護課
審査2課 民願制度課
審査3課 納税広報課
納税指導課
・直税局 ・法務審査局
所得税課 法務課
法人税課 審査1課
審査2課
審査3課
・財産税局 ・個人納税局
財産税1課 付加価値税課
財産税2課 所得税課
財産税3課 財産税課
・間税局 ・法人納税局
付加価値税課 法人税課
消費税課 消費税課
国際業務課
・国際租税課 ・調査局
国際総括課 調査1課
国際業務課 調査2課
国際調査課 調査3課
国際調査課
調査1課
調査2課
調査3課
[大田・慶州・テグ庁]
<現行 (3局14課)> <改定 (テグ庁 4局17課)>
(慶州・大田 4局18課)
・総務課 ・総務課
・監査課 ・監査課
・徴税調査課 ・納税支援課
徴税課 徴税課
調査管理課 納税支援課(納税者保護担当)
電算管理課 訴務課
調査担当官 電算管理課
特別調査担当官
・直税局 ・税源管理局
所得税課 個人納税1課
財産税課 個人納税2課
訴務課 法人納税課
法人税課
財産税調査担当官
・間税局 ・調査1局
付加価値税課 調査1課
消費税課 調査2課
調査3課
調査4課
・調査2局
調査1課
調査2課
調査3課
調査4課
調査5課
プサン、中部地方庁組織図省略
(編集長谷川 博)