改正外為法の骨

税理士長谷川博事務所

 
日本版ビッグバンの第一弾として昨年5月に外為法が改正され、本年(1998年)4月1日から名称も「外国為替法」に変わって施行されます。
日本のビジネスに大きく関わってきますので、簡単に改正外為法の骨子と具体例を紹介します。


1.改正外為法の骨子
@内外資本取引の自由化――事前の許可・届出制度の原則廃止。
A外国為替業務の完全自由化――為替制度、指定証券会社制度、両替商制度を廃止し、外為業務に着目した規制を撤廃することで、外為業務への自由な参入、退出を確保。
B事後報告制度の整備――新しい外為制度の下でも、引き続き国際収支統計の作成、市場動向の的確な把握等のため、
 内外資本取引等に関する効率的かつ実効性ある事後報告制度を整備。
C経済制裁等の国際的要請への対応――国際的要請に応じて、経済制裁等を機動的かつ効果的に実施しうるメカニズムを確保。  

2.改正外為法の具体例

・企業や個人がニューヨークの銀行の支店に自由に預金口座を開設し、ドル預金や円預金を自由に持つことができる。
 その口座を通じて、小切手等を使って海外での取引の決済を行ったり、個人が通信販売の代金を払ったりすることもできるようになる。
・海外から直接資金を借りたり、また貸し付けたりすることが自由にできるようになる。
 国内の企業間でのドル建て決済が自由に行える。
 例えばメーカーが商社を通じて輸出した場合、これまでは商社は受け取った外貨を円貨に換えて、それをメーカーに渡していたが、改正後は外貨のまま受け取ることができる。
メーカーはその外貨をそのまま海外から部品等の輸入代金の支払いに充てることができるので、為替手数料の節約を行うことができる。
・海外主張で持ち帰ったドルを個人間で自由に交換することが可能となる。
・ドルショップも開設できる。 1ドルショップのディスカウント店や、1ドルコーヒーハウス、10ドルステーキハウスや1ドリンク5ドルバーも可能となる。
外国人旅行者のみならず日本人もドルを使って買い物ができる。
・個人投資家をも対象とした外貨建て金融商品の開発、販売も可能となる。
・国内投資家が、海外預金を通じて事前の届け出や許可なしにニューヨークやロンドンの証券会社や銀行から債券や株式を買うことができる。
・非居住者が国内で債券を発行する場合(サムライ債、ショーグン債)や、居住者が海外で債券を発行する場合(外債、ユーロ債)にも、事前の届け出では不要となり、事後報告で足りる。
・銀行を通じない対外決済(相殺、マルチネッテング等)を自由に行うことができる。
・外国為替の売買を銀行以外の者でも自由に業務として行うことができる。証券会社の窓口でスワップ等、さまざまな外為売買が可能となる。
通貨関連のデリバティブ等を専門に扱う会社を作ることも可能となる。
・誰でも自由に両替業務ができる。このため、銀行に行かなくとも一般商店の店頭で、円とドルの交換やトラベラーズチェックの購入ができるようになる。
 街のあちこちに両替商ができ、競争が広がれば両替手数料の低下にもつながる。
・百貨店やスーパーマーケットの中に Exchangeコーナーを作ることも自由となる。外国人客も日本人客もドルで買い物ができる。
・一般事業会社が外国で銀行業に出資し、銀行を設立することも外為法上は自由となる。

(出所大蔵省銀行局)1998年2月