2001年9月から横浜国立大学大学院に留学している韓国国税庁の張日鉉氏の論稿(2002年4月に神奈川青年税理士クラブでの講演資料)を掲載します。
 同氏からは韓国の税務行政の実情について情報の提供を受けており、この場を借りて謝意を表したい。

           韓国の国税行政改革について

張 日鉉

1.推進背景
 韓国の国税庁は1999年9月1日、正道国税行政の旗の下に国税行政組織の改編とともに国税行政の改革を断行した。これは1997年のIMF外為危機という世紀末の切迫した状況の下で、国税行政を基本から新しく立て直して、新しい姿に生まれるという目的で、組織改編、業務革新、人事刷新及び意識改革を含んだ総体的な改革を推進した。
 租税とは、"国家が財政権力に基づいて必要な費用を徴収する"という古典的な解釈から、"国家が国民に必要なサービスを提供し、それに応じる費用を受ける"と言う現代的な解釈に変わったので、国税行政も行政便宜主義から納税便宜中心に転換するための積極的な努力が要求され、また、従来の供給者中心の納税サービスから納税者の要求に応じた需要者中心のサー ビスへの転換が必要であった。
 したがって、国税庁は組織改編、業務革新、人事刷新及び意識改革を目指し、徹底した納税者中心の国税行政に再編し、国税行政の公平性、透明性及び効率性を向上し、国税行政の構造的な問題を解消し、国税行政システムを先進国型に改編することを基本方向にしてすべての国税公務員が渾然一体になって推進した。

(1)1999年の時代状況と政府改革
 1997年末、急に迫ってきた外国為替危機は政府、企業及び国民に深い挫折と共につらい試練をもたらした。金利は一時30%まで上がったり、為替は1$当たり2,000ウォンまで急騰したり、外国為替が枯渇して国際債務不履行の危機の寸前だった。このような状況の下で、不渡り企業が続出し、一日100社余りの企業が廃業して大量減員及びリストラが行われ、その結果100万人以上が職業を失うこととなり、また、すべての給料生活者の給料も減ったので国民の生活は苦しんでいた。しかし、なによりも切ないことは30年間発展してきた経済がいっぺんに崩れたことに対する国民の挫折と虚脱感であった。
 このような暗鬱な状況の下でも国民は決して挫折の歎息だけしているのではなく、汎国民的な『金集め運動』を通して全国民の一つになった心を見せた。そして、史上初の政権交替に成功し、新しく出帆した『国民の政府』はこのような国民の声援から自信を持って、企業、金融、労動及び公共部門の4大改革を強く推進した。とりわけ、国家競争力の主要変数の一つである公共部門の改革は最も重要だった。『小さいけれども透明で効率的な政府』及び『国民にサービスする政府』を作るために市場経済体制に当てはまる政府の役割と機能を調整し、民営化と経営革新による公企業の非効率をとり除き、公共部門にも競争と成果の原理を導入し、生産性が向上されるようにするなど改革に拍車をかけた。


(2)国税行政改革の推進背景
 公共部門の改革が絶対的な命題として国家の課業になった状況で、国税庁は国民の経済生活に大きい影響を及ぼす国税行政の改革を他のどんな分野よりも重要な改革課題であると認識していた。勿論、今まで国税行政の改善と発展のために努力して来たが、外為危機を克服するために国家及び社会全般の改革が推進されていることと最近の世界各国での国税行政改革をすることに照らしてみると、国税行政改革の必要性はそれほど大きかったと言える。
 一方、国税庁は、今までの努力にもかかわらず、自営事業者と勤労所得者の間にある税負担の不公平が社会問題になり、税務関連の不正行為が続いて発生していたので、国税行政の構造的で慢性的な問題を解決するための努力は充分ではないと感じている国民の国税行政に対する不信感と不満を多く持っていることは認めざるを得なかった。また、国税庁は20世紀を後にしながら21世紀の先進国税行政の基礎を確立するためには国税行政の公平性、透明性及び効率性を画期的に向上し、国民からの信頼と納税者からの自発的な協力を得なければならない必要性も切実なものであった。
 更に、国税庁は経済回復と福祉増進のために必要な財源を円滑に調達する為には、国民の自らの誠実納税によらなくてはならないことを認識し、国民の為の国税行政に生まれかわる契機を作らなければならないと判断した。
このような背景から推進された国税行政改革の必要性を要因別に分けて説明すると次の通りである。

 1) 国家競争力の向上
 2次産業中心の産業化時代には工業生産力、即ち、労動生産性(Blue Color Productivity)が国家競争力を左右し、3次産業の比重がますます大きくなってからは事務生産性(White Color Productivity)が国家競争力の重要な要素になった。しかし、最近は情報化が進んで、社会システムの複雑化と多様化による社会的生産性(Social Productivity)が重要な国家競争力の一つの要素と認められている。いくら労動生産性と事務生産性が高いとしても社会システムが効率的に働かないと最高水準の国家競争力を維持することは難しいと考えられる。
 このような流れから見ると、社会全体のシステムを運営する公共部門の効率性は、公共部門だけに止まらず、社会全体の効率性を左右するほどその重要性を強調しても過言ではないだろう。
国税行政は国民の財産権に対し直接に影響を及ぼし、取引慣行や経済行為にも大きな波及効果を及ぼしているので、国税行政の効率化及び能率化は重要な意味を持っていると考えられる。したがって、国税行政の効率化及び能率化並びに納税便宜の提供は、国税行政の向上のみならず、社会全体のシステムの効率化及び国家競争力の向上にも寄与されうるので、国税行政改革の要望は強かった。

 2)情報社会の到来に対する能動的な対処
 生産者と消費者が分化されていない伝統的な農業社会では生産者は大部分の生産物を自家消費し、一部だけの剰余農産物を他の財貨と交換したので、生産者と消費者の区分が明確ではなかった。しかし、工業社会から生産者と消費者が分化され、産業社会になってからは生産者が優位を持つようになった。何故かというと、生産者は生産活動のために重要な資本と技術を保有しながら、すべての情報を独占的に得ることができたからである。それで、生産者はその情報をマスコミなどに流して、消費者の好みを変えるとか消費欲求を刺激させるなど、ある程度はその情報の調整も可能であった。これに比べて消費者は自分の選択によって自分の欲求を生産者に伝える方法しかなかったので、産業社会は生産者中心の社会であったと考えられる。
 一方、情報化社会では生産者と消費者が対等な関係になって、即ち、情報化社会は情報技術と通信手段の発達によって、消費者も-生産者のように-インターネットなどを通して自分に要る多様な情報を世界のあちこちから手軽に得るようになった。更に、消費者も自分の生産及び加工した情報を一般大衆に直接伝えることができ、農業社会や産業社会では想像もできなかった大きな変化が現れている。このような情報化社会では生産者(政府)は消費者(国民)の要求と期待を正確に把握し、対処しなければならない。消費者の欲求を直ちに満たすことができない生産者はいつか淘汰されるであろう。これは国民を相手にする政府も国民の多様な欲求を満たすことができない場合には、国民からの信頼を得られなくなると考えられるからである。
 このような観点から、直接的な利害当事者である国民を相手にしている国税庁は国民の要求を満たすことができる組織及び業務システムを取り揃えなければならないと判断した。特に、直接的な反対給付なしで国民から税金を徴収する国税庁が国民から信頼を受けるためには、顧客感動水準のサービス提供ができるように顧客中心の思考及び組織運営が必須不可欠であると考えられる

 3)過去の歴史的桎梏からの脱皮
 国税庁は国家財政調達という責任を負っており、また、過去から経済開発に必要な財源を調達したので、国家近代化と経済開発に大きく寄与したという自負感を持っている。しかし、国民から多くの叱責と批判をあびてきたことも否認できない事実である。税務公務員の不正行為と税負担の不公平の問題は歴史的にも国税庁を当惑させた。
税務公務員の不正行為は過去20〜30年前とは比べられないくらい改善したにもかかわらず、国民から良い評価を得ることができなかった。今まで厳しい監察活動と厳重な処罰など力を注いで来たにもかかわらず国民の期待には満足させられなかったので、不正行為の素地を根源的にとり除くことができる制度的な改善方案が必要になった。
 もう一つ国税庁を苦しめることは税負担の公平性である。韓国の納税水準は一般的に思うところより高いと思われる。それは歳入の95%以上が国民の申告納付による税収であることから分かるだろう。しかし、高所得専門職種を含んだ自営事業者の税負担回避から発生する勤労所得者との税負担の不公平は国税行政の解決すべき大きい問題であると指摘されている。このような税負担の不公平は取引秩序、納税意識、課税インフラ及び税法体系など複合的な原因によることなので、過去数十年間の努力にもかかわらず、容易に改善しにくい国税行政の脆弱分野であった。 したがって、その問題を解消しないと、全ての改革措置が成功だと言っても意味がないことになるので、国税庁としては自営事業者と勤労所得者との税負担不公平の問題が画期的に改善できる改革措置が必要であった。

2.国税行政改革の主要内容
(1)国税行政組織の再編
 国税行政組織を全面的に再編し、組織を画期的に縮小し、その機能を全面的に再調整した。即ち、本庁、地方庁及び税務署の組織構造を統廃合し、本庁は『企画』、地方庁は『調査』、税務署は『サービス』の核心機能に再編した。
組織改編の目標は伝統的な税目別組織を顧客中心の組織にかえることなので、本庁は納税サービスの改善と課税 インフラの構築など国税行政の基本を確立するための政策開発業務を担当するように再編した。
地方庁では今まで一線税務署を管理及び統制してきた組織を大幅に縮小し、そのかわりに調査専担組織を拡大することによって、税務調査の質的水準を高め及び税務調査の公正性を確保するように調査機能を強化した。
 税務署の場合は大都市内の隣接した小さい規模の税務署を統合し及び徴税費対税収規模が少ない地方の小税務署を統合して、実りのある組織運営及び統合のシナジー効果による生産性向上を図った。このような構造調整で節減された人員は納税サービスを改善するために納税サービスセンター及び納税者保護担当官室等に配置された。


(2)税務署を機能別中心の組織に改編
 1930年代から維持されて来た税目別中心の組織をサービス、申告管理及び税務調査中心の機能別組織に改編することで、知識情報化社会に当てはまる国税行政システムの土台が用意されたと考えられる。
 新しい組織の運営によって以前の地域担当制が自動的に消滅し及び納税者との接触機会が遮断されて税務不正行為の発生素地が根源的に除去されたという点は国税行政改革の大きな成果だと言える。
 
 
税務署の組織比較

改革前           改革後
総務課           納税支援課
所得税課           − 納税者保護担当官
                 − 納税サービス・センター
財産税課         徴税課
法人税課         税源管理課
付加価値税課       調査課


(3)業務処理方式の変化
 機能別組織の早期定着のために、今まで担当者に依存してきた業務処理を大幅に電算処理に取り替え及び新しい管理技法を導入するなど業務処理方式をかえた。
TIS(国税統合電算システム)の拡充及び改善、ペーパレス事務室を目指したIntranet(国税行政知識情報システム)の構築などの新しい電算システムの開発、国税行政業務を標準化した『業務便覧』の発刊及び課税資料の処理方式の改善など、合理性、能率性及び透明性のある業務執行になるように持続的に改革している。

(4)自営事業者の課税正常化のための基盤造成
 国税行政の最も大きい難題の一つである自営事業者の課税正常化のために、『汎社会的な課税資料のインフラ構築』など、その基盤造成を推進した。
『クレジットカード利用拡大』など需要者(消費者)中心の課税資料陽性化方案を立て、また、税務調査の質を高めるために調査職員を専門化することなどが進んでいる。

(5)職員の意識改革及び福祉対策の推進
 国税公務員が『改革の主体は私』という意識を持ちながら、改革に積極的に同参するようにシンポジウムの開催、国税行政改革に関する意見の収斂及び特別精神教育などが行われている。1999年末から2000年初の間に当時の国税庁長は全国の税務署及び地方国税庁をまわりながら、直接に職員と対面し、改革の必要性及び妥当性を力説することなど全職員を改革に同参するようにした。
 更に、変化に対する職員たちの不安感の解消と士気振作のために5級管理者の審査昇進制度及び税務署長に対する内部評価による人事制度を導入し、本庁及び地方庁に厚生福祉の専担する職員を配置するなど、職員たちが国税公務員としてのプライドを持ちながら、自分に与えられた業務に専念するように多角的な福祉対策を推進している。
 <参考> 国税庁の開庁初期と比べた指標の変化推移
区 分     1966年      1998年         割合(倍)
税 収     700億ウォン    63兆5,120億ウォン   907
納税者数   149万人      694万人          4.7
国税庁定員  5,500人      17,030人          3.1
税務署数    77ヶ所      134ヶ所          1.7
自動車数   144千台       9,740千台       67.6
電話数     624千台 23,200千台 37.2
貿易総額   10億ドル      2,256億ドル       225.6
 ※ 自動車と電話台数は1971年の数値


3.国税行政改革の推進成果
(1)機能別組織の施行による不正行為素地の根源的な解消
 今まで国税庁は透明な国税行政を具現するために厳しい監察活動を実施し、摘発された不正行為に対しては厳重に処罰するなど努力してきたにもかかわらず、不正行為を全て根絶することには失敗したので、これからは組織と業務体系など制度改善を通して不正行為の発生素地を根本的にとり除くために、力を注ぐ必要があると判断していた。
 従来の国税行政は地域別担当者が個別納税者の事業者登録、申告、還付、徴収及び調査など全ての業務を専担処理したので、納税者との接触機会が多くて不正行為が発生する可能性が高かったし、行政の非能率と納税者の不便をもたらしたこともあったのが事実である。したがって、国税庁はそれを打破するためには組織と業務体系の改編及び長年に続いてきた悪い慣行を廃止することを国税行政改革の先決課題とする必要があると認識した。勿論、過去にもこのような問題を解決するために何回も地域担当制を廃止しようと試みたが、ネットワークも備えてないし、組織改編の後ろたても不足な状況だったので、その試みは全部失敗した。
 しかし、今回の改革措置の結果、機能別中心に業務を分担して処理するようになったので、地域担当制は自動的に消滅した。以前には人員の80%が地域別担当者として納税者と個別に接触したが、今は調査課での調査及び確認以外には納税者と個別に接触する業務が廃止された。また、調査及び確認業務だけを専担する調査課(国税庁人力の30%)も管理者の統制の中で業務を処理しているので、不正行為の発生素地は根源的にとり除かれている。
機能別中心の組織の施行によって地域担当制が完全に廃止された1999年の第4四半期の金品授受非理発生が前年同期対比43.5%と大きく減少したので、まだ速断することは難しいが、このように減少傾向が続ければ金品授受非理は著しく減少されると見込まれる。


(2)納税サービスの画期的な改善
 納税サービスの変化を時代別に分けて見ると、1960〜1970年代は一方的な徴税活動に専念したので、サービスという考えさえできなかった時期だったと言える。また、1980年代は親切を強調した外形側面だけの納税サービスを提供する水準だったし、1990年代は国民が税金を申告し、納めることに不便がないように最上のサービスを提供することに力点を注いだ。
 しかし、2000年代はこのような水準から一歩進んで、違法不当に税金を誤って賦課するとか行政執行過程で納税者の権益を侵害する事がないように納税者の権益を最優先的に保護する、今までとは違う国税行政サービスを提供している。

 1)納税者保護担当官が民願窓口として完全に定着

 1999年9月1日、第2開庁の核心的組織として発足した納税者保護担当官は下の表のように民願窓口として定着している。民願人の口を通す広報及びネチズンのインターネットでの紹介によって、納税者保護担当官の活動状況が国民と納税者に急速に拡散している。
      民願の受付及び処理現況   (単位:件, %)
年度  受付け  処理    処理内容       進行中  処理割合  是正割合
                 是正  是正不可
1999  12,032  10,574   8,288  2,286    1,458    85.9     78.4
2000  33,808  31,592  25,420  6,172    2,212    93.4     80.4
 ※ アメリカの納税者保護担当官の引用割合 (1998会計年度 : 73.8%, 1999会計年度 : 73.5%)
 全ての苦情民願は受付から処理結果の通知まで、納税者保護担当官が 責任を持ち、直接処理することによって民願人が直接担当部署を捜し回る不便を解消した。また、本庁及び地方庁で受け付けた民願を一線機関に移して処理することを禁止し、初めて苦情民願を受け付けた官署が最後まで処理するようになったので、民願人は“自分の民願を大事にしている”という税務官署に対する信頼感を感じていると思われる。そして、納税者の苦情などを最初から徹底的に検討し、完璧に処理しているので、同じ納税者が再び苦情を訴える事がないようになって、納税者の煩わしさを画期的に改善した。
 一方、不利益処分を受けてもそれが分からない納税者を納税者保護担当官が自ら捜し出し、又、市民団体、言論機関、政党などに毎日電話をかけて納税民願を捜してその民願を解決しているので、税務官署に対するイメージも肯定的に改善したし、税務官署は無条件に税金を徴収するところだという否定的認識も解消されている。更に、納税者保護担当官は税務公務員の課税処分の前後にわたって関与できるので、税務公務員の不実賦課を予防する効果も出ているので、不実賦課による行政訴訟などの権利救済においてかかる時間と金銭の無駄使いをなくし、納税者の税金に関わる費用も節減されている。
 納税者保護担当官制度がこのように早く定着した理由の一つは納税者保護担当官に対する人事上の優遇措置である。今までの事務官(管理職)昇進は税務調査実績など業務実績の優秀な職員の中から試験成績の順番によって選ばれたが、事務官昇進予定者を納税者保護担当官に任命し、その中から納税者権益保護実績が優秀な職員を選んで昇進させるインセンティブ制度を導入した。何故ならば、納税者保護担当官が事務官に昇進するためには納税者の為に熱心に努力し、納税者保護実績を上げなければならないからである。
 このように納税者保護担当官は自然に納税者中心の思考に変わるので、納税者の立場で納税者の権益を保護するために熱心に働くようになると考えられる。これから相当な期間が経てば、国税庁の中間管理者は納税者の権益保護の重要性を深く認識している納税者保護担当官の出身しかなれないと思われる。したがって、この納税者保護担当官制度は国税庁の組織が納税者中心の思考に転換される画期的な契機になったと評価されている。

 2)納税者中心のサービス体系構築
 廃止された大都市の税務署に納税サービスセンターを設置し、管轄区域にかかわらず誰でも税金申告及び税務相談ができるようにした。開所場所はソウル、釜山、光州、大田、仁川、大邱、水源であり、商工会議所と共に合同運営し、中立的立場で納税者に必要な相談と民願サービスを提供している。
 3)国民満足度も向上
このような納税サービスの画期的な改善の結果、国民満足度が下の表のように大きく向上したことがわかる。

 満足水準の尺度別の応答割合(単位: %)
区 分       総合満足度 満足している 普通である 不満である
2000.下半期   74.2      75.2       20.4     4.4
2000.上半期   72.1      70.4       22.9     6.8
1999.下半期   68.7      67.9       24.0     8.3
1999.上半期   60.1      43.0       38.8     18.1
1998.下半期   57.3      44.1       32.6     22.8


(3)業務処理方式の革新による効率性及び透明性の画期的な向上
 1)電算累積管理による課税資料処理業務の縮小
 課税資料500万件を縮小し、行政費用705億ウォンの予算節約と2,030人の人陰節減効果も出ている。更に、納税者の協力費用も時間費用1,670億ウォンと金銭費用480億ウォン、合計2,150億ウォンが節減された。
また、不動産取得資金の出所調査の場合を例として見ると、以前の42万5千件の課税資料を5千件までに縮小すること等、課税資料の電算累積管理と処理制度の改善で、年間500万回の納税者との接触機会を遮断したので、納税者の不便と税務公務員の不正行為の素地を縮小した。
 2)業務マニュアルとIntranet構築
 4,300項に逹する業務便覧(Manual)の制定による業務標準化で恣意的な判断の素地を無くし、業務の能率性も高めている。
 1999年12月31日現在の国税行政の法令、例規、業務便覧、書式など総163種、270冊、18,033ページ分量の膨大な情報をDB化し、2,230種の書式をIntranetに収録して、一回のクリックだけで手軽く活用できるようになった。その結果、業務効率化を果たし、Paperless Officeの基盤を造成したと評価されている。

(4)機能別専門化で業務効率性が大きく向上
 1)徴収業務の効率化
 徴収分野は組織改編の時に一番心配した分野の一つであったし、サービス分 野の増員方針によって、徴収分野には十分な人員配置が不可能であった。それにもかかわらず機能別徴収業務の専門化によって業務効率性はむしろ大きく向上し、下の表のように改革前後の同期を比べてみたら、滞納発生は11.2%減少し、整理実績はむしろ17.9%が増加したと分析されている。
 滞納発生及び整理実績  (単位 : 億ウォン、%)
区 分     '98. 10−12月    '99. 10−12月     増加率
滞納発生  1兆7,821億ウォン   1兆5,824億ウォン   88.8 %
整理実績  2兆7,343億ウォン   3兆2,247億ウォン  117.9 %
 2)税務調査の質的変化
 組織改編で調査組織が大きく拡大されたので、税務調査の強化による調査対象の拡大などを心配していたが、脱税疑いが大きい納税者を厳選し、深度ある調査を実施した結果、下の表のように調査件数は減少し、一件当たりの追徴税額は大きく増加している。
 調査件数及び実績  (単位 : 件、億ウォン、%)
区 分        '98. 10−12月     '99. 10−12月    増加率
調査件数       2,204件         1,194件       54.1 %
追徴税額       5,206億ウォン     7,000億ウォン   134.4 %
一件当追徴税額  236百万ウォン     586百万ウォン   248.3 %
 これは調査機能の専門化による調査の質的水準が向上されたと評価を受け、これからも調査組織と人員をもっと専門化し、統合調査による調査件数は縮小しながらも陰性脱漏所得者などに対しては持続的に厳正な調査を実施する計画である。また、過去には税目別の評価要素で調査対象者を選定したが、今は人別に統合された評価要素によって調査対象者を選定するなど調査対象者の選定システムを改善した。


(5)税金申告実績も良好
 機能別中心の組織改編後、初めての1999年2期付加価値税予定申告結果を分析してみると、申告税収が前年同期に比べて14.6%増加している。とりわけ、自営事業者の場合には17.5%も増加したが、これは1999年第3四半期の経常成長率12.3%を大きく上回ることで地域担当制の廃止以後には申告管理業務が不実になる恐れがあるということではなく、クレジットカード使用拡大など基礎課税資料のインフラ網の拡充によって自律申告水準がむしろ向上したことだと評価されている。
 下の表のようにクレジットカードの使用が目立つように増加され、前年に比べて件数は184%、金額は195%が増加するなど、その成果が出ることによって、今まで取引資料が表面化されなくて、収入金額の現実化水準が低かった自営事業者の課税標準がこれから大きくなると見込まれている。

 クレジットカードの増加趨勢
区 分   '99. 1月       2000.1月      割 合
件 数   1千9百万件    3千5百万件     184%
金 額   2兆3千億ウォン  4兆5千億ウォン   195%


4.評価
 組織改編、業務革新、人事刷新、意識改革を目標として徹底的に納税者中心に改 編し、国税行政の公平性、透明性、効率性を向上し、国税行政の構造的な問題の解消、国税行政システムの先進国型への転換を基本方向にして推進した国税行政の総体的な改革に関して外部機関も肯定的に評価している。
 国税庁の改革事例が企画予算処の政府改革室で主観する1999年度公共部門の改革優秀事例に選定され、2000.3.28に大統領が主宰する国務会議で国税庁長が 事例発表をした。それで関税庁、警察庁、検察庁、兵務庁などの政府部処は国税庁の改革事例をベンチマーキング(Bench Marking)しようと国税庁の改革推進方法と内容に関する質問が多くあった。
 納税者保護担当官制度は改革の象徴的な存在となって、多い部処のベンチマーキング対象になったし、2000年度の全国官署長会議の時(2000.1.27.)に大統領は全ての納税者保護担当官を青瓦台の迎賓館午餐に招待した席で、“納税者保護担当官は税務署だけではなく政府が変わったということを感じさせた。”と評価している。
 また、監査院では地域担当制を廃止し、不正行為の発生素地を根本的にとり除いたことに対して高く評価し、税金の過多賦課とか過小還付の事例(1、432件, 72億ウォン)を捜し出して納税者に返すなどの成果を高く評価し、1999年度の監査結果、国税庁が最優秀機関に選ばれた。


5.これからの課題

 新しい21世紀は情報及び通信の発達と国際化及び開放化の加速化によって本格的なグローバル経済時代が開くなど既存の価値と思考を飛び越える変化の時代であり、絶え間ない自己革新をしないと生き残ることができない創造的競争の時代である。
 国税庁は国税行政組織の革新的な改編と業務推進体系の改善の可視的成果が明らかに出るようにしなくてはならないし、これを土台で国税行政の未来像を描きながら正道国税行政の具現のために中長期対策を樹立して執行しなければならないであろう。
 したがって、正道国税行政の改革プログラムの持続的な推進、課税インフラ網の完成、新知識公務員の養成など国税行政の基本を堅固にして、公平課税を実現し、健全財政を早期に実現するために努力しなければならないと考えられる。


 納税者保護担当官に関して

1.導入背景
 国税行政はその規模の膨大さと租税法体系の複雑性と難解性によって、国民が 容易に理解できないし、国民の財産権を制限する代表的な強制行政の一つなので、国税の賦課及び徴収の全ての過程から発生する行政処分に対する直接的な不平のみならず、他の納税者との税負担比較から生まれる相対的な不満、苦情の発生は不可欠である。また、納税者の権利救済手段として課税前適否審査、異議申立て、審査請求、審判請求、行政訴訟などがあるけれども、これは事後的な権利救済手段なので、納税者の事前的な権利救済と手続き的な権益侵害の救済手段としては限りがあった。
 そして、従来の税目別組織ではこのような納税者の民願を担当する職員が税目と住所及び事業場所在地によって決まっていたので、納税者は担当者を容易に捜すことができたが、機能別組織に変わってからは地域担当制が完全に廃止され、国民と納税者からの民願を効果的に解決する専門機構の設置が要求された。また、国税行政改革の大前提が納税者中心のサービス機関に生まれかわることなので、納税者の苦情をより積極的に解決し、国民の多様な要求を積極的に収容して、それを制度と行政執行に反映することによって国民と納税者の不満を解消できる濾過装置も必要だった。


2.納税者保護担当官とは
 税金の賦課、徴収若しくは調査の過程の中、納税者の権益が侵害されるとか侵害 される恐れがある場合、納税者の立場で苦情を解決し、納税者の権益を保護する制度である。

3.納税者保護担当官の組織と選抜
(1)組織
 全国の99ヶ所の税務署に納税者保護担当官室を設置し、納税者保護担当官1人と補佐する職員2?6人を、又、全国の23ヶ所の支署には納税者保護担当1人を配置している。
 そして、本庁には納税者保護課を新設し、地方国税庁には納税支援課内に納税者保護係を設置して納税者の権益を保護する業務を統括しながら、一線税務署の納税者保護担当官を支援している。

(2)選抜
 納税者保護担当官は業務処理能力がすぐれ、納税者の信頼を受けることができる人格を取り揃えた職員として多様な実務経験を持っている事務官昇進予定者が税務署長の推薦と地方国税庁長の選抜で国税庁長が任命するようになっている。
 この選抜方法は納税者保護担当官が税務署長の指示に従うよりも、納税者の立場で納税者の権益を保護するように独立的な地位を付与するものなので、高く評価されている。

4.納税者保護担当官の役割と権限
 納税者保護担当官は納税者の権利と利益が不当に侵害されないように納税者の立場で納税者を代弁し、積極的な権利救済活動をしているので、税務署長の指示を従わなくて独立的に働き、業務処理過程においても納税者に有利な資料を提出するようにするなど、納税者の無料弁護士のような役割をしている。
 従って、納税者保護担当官には納税者の権益を保護するための業務遂行上の必 要な権限は次のように付与している。
 第一は、重複調査、調査権濫用などによって納税者の権利が不当に侵害されたと 判断される場合には税務署長に報告し、調査を止めさせることができるという調査中止命令権である。
 第二は、国税公務員が税法を誤って適用するとか事実判断の間違いなどによって、不当な課税が予想される場合には課税処分を止めさせることができるという課税処分中止命令権である。
 第三は、民願を処理する過程の中で国税公務員の違法、不当な課税処分が確認される場合には課税担当部署に是正を要求する職権是正要求権である。
 第四は、業務処理に必要であれば、脱税疑いの捕捉のために調査中である事項と調査着手前の脱税情報提供事項など特殊な場合を除き、税務署内の税金賦課及び徴収に係わるすべての書類の閲覧ができる書類閲覧権である。

5.今までの運営成果
 1999年9月1日、国税庁の国税行政改革の時、核心的な組織として発足した納税者保護担当官は納税者のすべての民願に対して受付から処理の結果通知まで、責任を持って直接処理するので納税者から高い信頼を得ている。また、納税者保護担当官が直接にワン・ストップ処理をすることによって、納税者が自らあちこちを捜し回らなければならなかった不便さを無くし、行政訴訟などの権利救済においてかかる費用と時間を節減できる経済的な効果も大きかったと言える。
 更に、納税者の代弁人として無料弁護士の役割をしているので、以前の税務官署の権威的で強圧的なイメージから親切で信頼できる肯定的なイメージに変えるのに大きく寄与した。したがって、納税者保護担当官制度は国税公務員の不実賦課を予防し納税者の権益を保護する先進国税行政として高い評価を得ている。

 
民願の受付及び処理現況   (単位 : 件, %)
年度   受付け  処理    処理内容     進行中  処理割合  是正割合
                  是正   是正不可
1999   12,032  10,574   8,288   2,286   1,458   85.9     78.4
2000   33,808  31,592  25,420   6,172   2,212   93.4     80.4
 ※アメリカの納税者保護担当官の引用割合(1998会計年度是正割合73.8%、1999 会計年度73.5%)

<納税者権利憲章>
 納税者としての貴下の権利は憲法と法律が定めるところによって尊重され、保障されなければならないです。これのために国税公務員は貴下が神聖な納税義務を信義によって誠実に履行するように必要な情報と便益を最大限に提供しなければならないし、貴下の権利が保護され、実現するように最善をつくして協力しなければならない義務があります。
 この憲章は貴下が納税者としての保障を受けることができるように、貴下にその権利 を具体的にお知らせするものです。
 1.貴下は記帳、申告など納税協力義務を履行しなかったとか、具体的に租税脱漏疑いなどがない限り、真面目な納税者であり、貴下が提出した税務資料は真実であると推定されます。
 2.貴下は法令に定められたことを除き、税務調査の事前通知と調査結果通知を受ける権利があって、不可欠な事由がある場合には調査の延期を申し込む権利があります。
 3.貴下は税務調査の時、租税専門家の助力を受ける権利があり、法令に定められた特別な事由がない限り、重複調査を受けない権利があります。
 4.貴下は自分の課税情報に関する秘密の保護を受ける権利があります。
 5.貴下は権利行使に必要な情報の提供を迅速に受ける権利があります。
 6.貴下は違法的なまたは不当な処分を受けたとか、必要な処分を受けなかったことがあって、貴下の権利または利益が侵害された場合には、適法し、迅速に救済を受ける権利があります。
 7.貴下は国税公務員からいつも公正な待遇を受ける権利があります。


 国税行政サービス憲章に関して

1.行政サービス憲章制度の意義
 行政サービス憲章制度は1990年代の初めから、サービスの質的な向上及び政府改革の政策手段として先進国で取り入れた制度である。イギリスでは1991年から市民憲章(Citizen's Charter→1998年Service First)を、アメリカでは1993年からカスタマサービス基準(Customer Service Standards)を、フランスでは1992年から行政サービス憲章(Public Service Charter)を、カナダでは1990年からサービス基準案(Service Standards)をそれぞれの異なる名称で導入した。同憲章制度は、行政機関が提供する行政サービスの基準と内容、サービスを受けることができる手続きと方法、誤ったサービスに対する是正と補償措置などを具体的に定め、それを公表し、その実践を国民に約束する制度である。
 この制度の施行以後、イギリスでは鉄道と病院など一部の行政サービス分野が画期的に改善され、アメリカでは1997年の国民満足度が1993年より9%向上するなど、政府に対する国民の信頼と満足度が大きく向上する効果を挙げている。


2.国税行政サービス憲章の導入
 国税庁は国税行政環境の変化に従って、過去50年間維持して来た国税行政サービスの伝逹体系の構造とフレームを革新し、納税者を中心にする透明で公平な国税行政体制を確立し、21世紀の先進国税行政の基礎を確立し、納税サービス水準を高めるために国税公務員の行動指針としての国税行政サービス憲章を制定した。国税行政サービス憲章は既存の国税行政体制を納税者中心に及び納税者の要求に応じる体制に改革して行くために、国税行政機関が提供するサービスの基準と内容、提供方法と手続き、誤ったサービスに対する是正と補償措置などを具体的に公表し、その実践を国民に約束した。
 国税行政サービス憲章は大統領訓令の行政サービス憲章制定指針(1998年6月に制定)に基づいて、1999年8月30日に制定し告示した。そして、1999年9月1日に本庁を含め全国の税務官署で国税行政サービス憲章を宣布した。その憲章宣布式で全国税公務員は国民から愛と信頼を受ける組織に変わり、納税者に最上のサービスを提供すると誓った。


3.納税者権利憲章との関係
 納税者権利憲章は国税基本法で納税者の権利を一般的で包括的に規定している。しかし、国税行政サービス憲章は納税者権利憲章に定められたに納税者の権利を保護するための具体的な行動移行標準、納税者が税務官署を訪問した時に税務官署から受けることができる国税行政サービス、税金に係わる苦情などの問題が発生した時に法的な救済手続きの前にその問題を解決するための関係公務員の積極的な努力などを規定している。

4.国税行政サービス憲章の主要内容
 新しい千年を迎えて国税庁は組織と人力を納税者中心に革新し、国民の愛と信頼を受けるサービス機関として生まれかわろうとしている。それで、納税者の権益が実質的に保障されるように国税行政サービス移行標準を公表して、それを実践することを次のように念を押した。
 第一は、我々は納税者の権利が我々の義務であることを銘じて、納税者の権益が侵害されないように細心に気を使って業務を遂行します。
 第二は、我々は制度と手続きを作って執行する時、いつも納税者の立場を先に思う国税行政を実践します。
 第三は、我々は納税者の要求事項と満足度を周期的に把握し、それを積極的に反映し、民主的で科学的なサービス国税行政を具現します。
 第四は、我々は国税行政の執行過程と内容を広く知らせて、国民と一緒にする『開かれた国税行政』を広げて行きます。
 第五は、我々は納税者が感動する最高のサービスを提供し、国税行政に対する自発的 協力を得て『正道国税行政』が具現できるように努力します。


(1)納税者を迎える姿勢
 国税公務員は納税者の誠実な納税に報いる感謝の心を持ちながら、民願人を迎えて性別、年齢、身分による差別をしてない。また、納税者の便宜のために訪問予約ができるし、税務官署を訪問すると、どの事務室でも親切な案内を受けることができるなど、納税者中心に変わった国税公務員の姿勢を感じることができると思われる。

(2)業務分野別のサービス実践基準
 1)民願証明の分野
【民願証明の種類】 税務官署で発給できる民願証明は次の通りである。
- 納税証明書 - 事業者登録証明 - 休閉業事実証明
- 納税事実証明 - 付加価値税課税標準証明 - 所得金額証明
- 付加価値税免税事業者の収入金額証明 - 標準財務諸表証明
- 簡易所得金額計算書証明
- 源泉徴収移行状況申告書確認 など
【受付方法】 民願書類は税務署の納税サービスセンターに直接に受け付けるとか電話、郵便、FAX、インターネットによって容易に受け付けることができる。
【処理の手続き】 民願書類は受け付けた税務官署で直接に処理し、もし、他の税務官署で処理しなければならない場合には直ちに移送し、処理手続きと期限を書面または電話で通知する。
【処理期限の遵守】 受け付けられた民願書類は処理期限内に迅速に処理する。民願書類別に処理期限が明示された民願事務処理基準表を納税サービスセンターと合同税務情報センターに備え、インターネットホームページにも載せている。
【処理が遅くれる場合】 民願人に処理遅延事由、処理進行状況、処理予定日などを個別に通知する。この時には書面によって関係公務員の所属と名前、電話番号を記載して通知している。

 2)税務相談の分野
【相談範囲】 税務相談は申告、納付、事業上の隘路及び苦情、脱税情報提供、陳情など税金に係わるすべての事項に対して相談できる。
【相談場所】 税金に関する分かりたいことがある時は、いつでも次の税務官署からのサービスを受けることができる。
  区 分    税 務 署         地方国税庁         国 税 庁
相談場所  納税サービスセンター  合同税務情報センター  納税サービスセンター
位 置    全国99ヶ所の税務署   全国7大都市        国税庁
 ※ 合同税務情報センターでは税務相談だけでなく企業経営、法律などに関する総合的な相談もできる。
【電話自動税務相談(TRS)】 納税者がもっと気になる300個余りの相談事例に対して24時間年中無休で電話にて自動応答している。
【インターネット相談】 インターネットの国税庁ホームページに接続すれば相談サービスを受けることができる。
【親切な相談】 民願人を迎える時には先に自分の名前を言ってから、敬語を使いながら理解しやすいように説明している。又、端整な服装と清潔な環境に細かく気を使っている。
【相談内容の秘密維持】 税務相談で分かった内容は完全な秘密保証している。
【資料提供】 質疑回申、例規、訓令など納税者に必要な情報を案内資料やインターネットホームページを通して適時に提供している。
 3)申告と納付の分野
【申告案内】 各種の税金申告の時には申告方法、手続きなどを予め案内し、申告による不便がないようにしている。
【自主申告の尊重】 税金の増額申告の勧奨など税務干渉をしてない。
【郵便申告】 申告のために税務官署を直接に訪問する不便がないように郵便申告制度を拡大し運営している。
【申告書作成教室の運営】 納税者が自ら申告書を作成できるように申告書作成教室を運営している。
【告知書の送逹】 納税告知書は住所地または事業場に送っている。但し、届く場所を別途に指定すれば希望する所に送るようにしている。
【税金の納付】 税金は最寄の銀行や郵便局で納付できる。なお、相続税や贈与税などは現金以外の所定の証券や現物でも納付できる。
【納付の延期申請】 税金を納めにくい事情が発生した時には、納付期限の延期申請ができるし、それに対しては積極的に検討している。
 4)税務調査の分野
【税務調査の事前通知】 税務調査を行う時には調査期間、調査事由、調査公務員の名前などが記載された税務調査事前通知書を特別な場合おのぞき、最小限7日前に送る。
【調査延期の申し込み】 事前通知を受けた後、特別な事情によって調査を受けにくい場合には調査延期申請をすれば積極的に検討している。
【調査員証の提示及び納税者権利憲章の交付】 税務調査のために訪問した時には必ず調査員証を提示し、納税者権利憲章を交付してその内容を説明する。
【重複税務調査の制限】 税務調査において特別な場合を除き、同じ税目または同じ課税期間に対して重複調査をしてない。
【税務調査の終了と決定前通知】 税務調査を終える時には不当な課税がないように愼重に検討し、権利救済手続きなどを詳細に説明する。更に、税額を決める前に違う意見があるかどうかを書面で確認している。

(3) 誤ったサービスに対する是正
 1)納税サービスに不便を感じた時
【納税者保護担当官】 税務署長の直属機構として納税者保護担当官を設置し、税金に関する苦情や隘路事項などを納税者の立場で積極的に解決している。
【申告と連絡】 納税サービスに不便を感じた時には税務署の納税者保護担当官、納税サービスセンター、各地方庁の納税支援課、国税庁の納税者保護課に申告又は連絡すれば直ちに是正措置をし、その結果を返答している。
【即時是正措置及び補償】 国税公務員の明らかな過誤によって、業務が誤って行われた、または遅延処理された場合には直ちに是正措置し、その結果を通知している。更に、このような国税公務員の過誤によって納税者が税務署を再び訪問した場合には5千ウォン相当額、再び電話した場合には2千ウォン相当額を補償している。
【職員教育】 職員との相談または電話をする時に不親切で不快な場合があった時は直ちに連絡を受けた場合、該当の公務員を再教育する。
 2)税金納付に対して不満がある時
【職権是正】 納税者が是正要求の前でも、誤って課税された場合には直ちに職権是正している。
【課税適否審査の請求】 決定前通知に異議がある場合には、通知を受けた日から20日以内に、通知した官署に課税適否審査請求ができる。
【異議申立て】 課税処分に対して異議がある場合には、90日以内に税務署または地方国税庁に異議申立てができる。その審査結果は異議申し立てた日から30日以内に通知する。
【審査請求】 異議申立ての結果に満足しないとか異議申立ての手続きを経る必要がないと判断される場合には、処分を受けた日から90日以内に国税庁に審査請求ができる。その審査結果は審査請求を提出した日から60日以内に通知する。
【資料閲覧などの協助】 不服請求等のために必要な関係書類の閲覧または写しを要求した場合には、迅速に提供し、不服請求等の理由から不利な待遇を受けないようにしている。