Adjudicator's Office Report 1997

イギリス税務オンブズマン1997年度報告書(抄)

目     次

●アジュディケイター、エリザベス・フィルキンからの報告:
  この1年をふり返って・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●アジュディケイターズ・オフィスの役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●アジュディケイターズ・オフィスはどのように機能するか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●苦情申立の分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●この1年をふり返って:
歳入庁 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
財産評価局 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
歳入庁及び財産評価局の事件の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
関税・消費税庁 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
関税・消費税庁の事件の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
社会保険料局 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
社会保険料局の事件の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●各機関が公に提供するサービスの向上を促す・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●代理人:税務アドバイザーによる仕事の実情 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

付録

●苦情申立と統計の分析:

歳入庁(財産評価局を含む)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
関税・消費税庁 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
社会保険料局 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●人々に意見を聞く:

1997 年苦情申立人に対するアンケート調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1997 年各機関に対するアンケート調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

● 1996/97 年度の主な業績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
● 1997/98 年度の第一目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・/・・・・・・・・・・・・・・

●財政的概観・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●各機関の職務・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●アジュディケイターズ・オフィスのスタッフ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●アジュディケイターズ・オフィスの刊行物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


アジュディケイターズ・オフィス: Haymarket House, 28 Haymarket, London SW1Y 4SP
電話: 0171-930-2292    ファックス:0171-930-2298
Eメール: adjudicators@qtnet.gov.uk
インターネット・アドレス: http://www.open.gov.uk/adjoff/aodemo1.htm

●アジュディケイター、エリザベス・フィルキンからの報告

「保証と説明を提供すること:この1年をふり返って」
エリザベス・フィルキン

第4回年次報告書を発行することとなり、嬉しく思います。私は 1993年に歳入庁(Inland Revenue)、1995年に関税・消費税庁(Customs and Excise)と社会保険料局(Contributions Agency)のアジュディケイター(Adjudicator: 苦情申立処理裁定者)に就任しました。

アジュディケイターズ・オフィス( Adjudicator's Office)には、以下を推進する役割があります:
「公務員は、一般の人々に対する決定と行為について説明責任を負い、所属する公共機関に適切な、いかなる調査も受けなければならない」公共の場における規範に関する委員会( Committee on Standards in Public Life:ノーラン委員会(Nolan Commitee))の第1回報告書1995年5月より。
私たちが提供するメカニズムによって、一般の人々は、歳入庁(財産評価局を含む)、関税・消費税庁、社会保険料局が人々の問題を処理し、法律を執行する上で、彼らが何を行なったのかに関する説明が受けられます。私たちは、これらの機関が有する絶大な権力が一般の人々に対して不当に行使されていないということを保証する手助けをします。また、各機関及び係官( officials)が適切な行動をとった場合には、それを保証します。
以下がその方法です:

a 苦情申立が解決されるよう手助けする。
b 各機関が一般の人々及び事業に提供するサービスが向上するよう、彼らが犯した誤りから学ぶべきことをフィードバックする。

《苦情申立が解決されるよう手助けする》

当オフィスは歳入庁(財産評価局を含む)、関税・消費税庁、社会保険料局が個人及び事業の問題を処理した方法に対する苦情申立を解決するために、公平で利用しやすいサービスを無料で提供します。

* 1996/97 年度の苦情申立

私は事態が誤った方向に進みながら、当該機関によって解決されなかった事件が依然として非常に数多くあるということを報告しなければならず、残念に思います。本年度私は、私たちが調査した苦情申立の 52%を、完全にあるいは部分的に苦情申立人の有利に支持しました(「取下」と分類された53件の苦情申立は除く)。この割合は、あまりにも高すぎます。現在では各機関が独自の方法によって、より多くの苦情申立を解決することができます。
私が報告することができるよいニュースとは、この4年間で歳入庁が苦情申立を処理する方法に著しい改善が見られたことと、財産評価局及び関税・消費税庁がその目標に対して非常に積極的であったということです。
本年度 3,281 名(昨年度は3,267 名)が歳入庁、関税・消費税庁、社会保険料局との関係に関して当オフィスと連絡をとりました。
私たちは 2,653 の個人及び事業に対し、歳入庁、関税・消費税庁、社会保険料局それぞれが有する苦情申立制度を利用する手助けをしたり、あるいは問題がこれらの機関に関するものではなかった場合には、どこに対して苦情申立または問合せを行なうべきかを知らせました。
私たちは、昨年度の 10%増に当たる628 件の苦情申立について調査を開始しました。また1年間に、昨年度より22%多い調査事件を完了することができました(677 件:目標600 件のところ、予想を上回る件数であった)。この増加の原因は、私たちが仕事の効率を高めることに成功したことと、昨年度採用したスタッフが経験を重ねたことにあります。私たちは、昨年度よりも3分の1以上多い事件において、調停を成立させることができました。苦情申立人、各機関、アジュディケイターズ・オフィスはこの方法によって、より迅速に苦情申立を解決することができます。
これにより私たちは、未処理の仕事に割く時間が大幅に得られました。
苦情申立の分析は 29ページにあります。
しかしながら私は、調査を完了するまでに私たちが期待した以上の時間を費やしたことを残念に思います:5カ月間という目標に対し、私たちは平均して7カ月をやや越える期間で調査を完了しました。この理由は、私たちが山積した複雑な未処理の仕事を抱えていたためです。また各機関の苦情申立処理制度が向上するに従い、私たちに提起される苦情申立は、より複雑になる傾向があり、そのため解決により多くの時間と労力が要求されるということも判明しました。
私が前回の年次報告書のなかで指摘した問題の多くは、なくなりませんでした。これまで同様、歳入庁に関する多くの苦情申立を処理しながら、本年度私は関税・消費税庁及び社会保険料局に関する苦情申立を検討したことで、彼らの職務に対して一層注意を向けることになり、それにより私に懸念が生じています。
以下は、本年度特に私が懸念を抱いた分野です。
・一部の職員( staff)に見られる対決姿勢。
・一貫性のない意志決定;例)補償金の支払。
・遅滞。
・不適切な徴税行為。
・機関が有する権限が不透明。
・不適切な苦情申立処理、特に社会保険料局。
・不適切なコミュニケーション。
・不適切な記録。
・プロフェッショナリズムの欠如。
・守秘義務違反。

これらすべての問題が、必ずしも各機関に見られたわけではありませんが、全機関に共通して見られたものもあります。以下に本年度の各機関に対する私の見解を記します。

*社会保険料局
私は、本年度私が検討した社会保険料局による仕事(苦情申立処理を含む)の水準に危機感を抱いています。彼らは、私が担当した機関のなかで最も立ち遅れており、局内のあらゆるレベルに問題がありました。
大変立派な仕事を行なっている部署、チーム、個人はあります。私は、ブリティッシュ・マーケット・リサーチ・インターナショナルが行なった 1996年社会保険料局顧客調査の調査結果のなかで、これが認められたことを嬉しく思います。例えば、顧客の81%が同局に満足しました。
しかしながら一般の人々の苦情申立により、多くの混乱と誤りが同局の知るところとなってもなお、それらが解決されないという状況があります。新たに就任した社会保険料局の局長( Chief Executive)が苦情申立処理業務の水準を向上させるために、早急に行動を起こす必要があることを認識していることには励まされます。
この1年間に、昨年度の 80%増に当たる192 名が、社会保険料局に関する苦情申立あるいは質問をなすために当オフィスと連絡をとりました。
私たちはこのなかの 127 名に援助を提供し、昨年度の3倍に当たる65件の苦情申立について正規の調査を開始しました。昨年度の13件に対して、本年度は51件の調査を完了しました。本年度私たちが調査すべき同局に関する苦情申立は増加し、またそれらを担当する経験豊富なスタッフが増員されました。
本年度私たちは、昨年度よりも多くの社会保険料局に関する苦情申立を受理しましたが、その件数は私が検討を行なう他の機関に比べ、かなり少ないものでした。私はこれに懸念を抱いています。
社会保険料局は 6,200 万件以上の国民保険契約について責任を負い、毎年何100 万人という人々の対応に直接当たります。社会保険料局顧客調査は、多くの人々が同局から得るサービスに満足していることを示しています。しかしながら私が検討した苦情申立によると、これらの契約を管理する上で様々な問題が生じており、同局はこのような問題をしばしば不適切に処理しているようです。
私は、社会保険料局が局内の苦情申立手続あるいは当オフィスのサービスについての告知を十分に行なっていないと思います。顧客調査により、次のようなことが分かりました:

「非常に少数の顧客が、(苦情申立手続に関する)パンフレットを送付された、あるいは口頭で手続の説明を受けたと述べた」。
また私自身も会計士の団体など、いくつかの顧客の組織から、彼らが依頼人のために行なった苦情申立を社会保険料局が処理した方法を知り、同局に対して苦情申立を行なっても仕方がないと考えるようになったと告げられました。
このことも当オフィスが受理した同局に関する苦情申立が、比較的少なかったことの理由かも知れません。
私はこれらの懸念を社会保険料局長に提示しました。
昨年度私は、苦情申立の 77%を社会保険料局の不利に裁定しました。これは大変高い割合ですが、苦情申立件数がわずかであったため、この数字から何らかの合理的な結論を導くことは不可能であると考えました。
本年度私は、驚くべきことに苦情申立( 41件)の80%を同局の不利に裁定しました。それらは、社会保険料局による多くの不適切な仕事を示しました。

例):
・顧客に対する守秘義務違反。
・補償金の支払拒否。
・過度の遅滞。
・事態を顧客の立場に立って理解しようとしない。

私が出会ったことのなかで最も危惧していることの一つは、同局の不適切な苦情申立処理でした。私は同局が明らかに、問題を適切に検討しなかったり、苦情申立を十分に徹底的に調査しなかった結果、苦情申立に対し無分別、不正確または不合理な決定を下した数件の事件に出会いました。
社会保険料局が行なった数少ない改善は、断片的な形で実行に移されたにすぎず、関税・消費税庁、歳入庁、財産評価局が重ねた努力には、依然遠く及びません。彼らから私に対し、事態を改善するために現在どのような努力をしているかについて報告がありました。私の見解については来年度報告します。

私たちが検討した本年度の社会保険料局の事件に関する詳細は 117ページにあります。

*関税・消費税庁

私が関税・消費税庁に関する苦情申立の検討をすることになってから、本年度で2年になります。この1年間に彼らは苦情申立処理を改善し、数字にこれが表われていると報告できることを嬉しく思います:私たちは調査を完了した 80件の苦情申立のうち、昨年度の54%に対し、45%を支持しました。
しかしながら同庁が、苦情申立処理の水準を全国的規模で引き上げることに十分に力を注いできたとは言えません。同庁には地域に職務を委託したいという意向があります。苦情申立を適切に処理している地域もありますが、調整が不備で十分な支援も得ていない地域もあります。また公に対するサービスを改善しようという歓迎すべき動きはあるものの、現段階では質の高いサービスを常に提供できるような体制が、全国のあらゆる地域においても整っているとは言えません。人々に不安とフラストレーションを与える独善的な態度は容易に改められず、適切な実行は十分に共有されず、また個々の事件における意志決定に一貫性がありません。
また私は、公に提供するサービスを向上するために、関税・消費税庁が苦情申立から学ぶことによって生れる改善策を実行するまでに、あまりにも長い時間がかかることに驚かされどおしでした。例えば、彼らは職員と一般の人々向けに、慰謝料の支払に関する指導書を発行することをかなり以前に約束しました。しかし、本年度末になっても実現されていません。私は本年度、事件を検討するなかで、関税・消費税庁のそれぞれの部署で一貫性のない補償金の支払がなされたということに、特に懸念を抱きました。指導書がないままでは事態が改善されるはずがありません。
昨年度私は、関税・消費税庁は私の勧告に対し、責任者による効果的な処置をとったと述べました。本年度もまたこれが見られました:個々の苦情申立に対応した責任者の行動は、効果的で、また顧客と接する方法を改善するためにいくつかの地域によって発案された改善策は、示唆に富み、有益であることが明らかになっています。

とはいえ私は、彼らが私に行なう予定であると述べておきながら、実行しないという事例にあまりにも多く出会いました。

苦情申立処理について私が見てきたことによると、関税・消費税庁は一度従うべき決定を得れば適切に行動することができますが、庁内全体に複雑な変更を行き渡らせることは、あまり得意ではありません。

この1年間に、昨年度の 20%減に当たる555 名が関税・消費税庁に対する苦情申立あるいは質問をなすために当オフィスと連絡をとりました。これは恐らく、関税・消費税庁自身が苦情申立をより適切に解決できるようになったために、私のもとを訪れなければならない人々の人数が減少したためでしょう。しかしながら私は、この減少は関税・消費税庁に関する苦情を持つ人々に対し、彼らが必ずしも当オフィスについての告知を行なっていないということも表わしているのではないかという懸念を抱いています。関税・消費税庁が出した統計によると、彼らは1996/97 年度に前年度の20%増の苦情申立を受理しました(3,623 件に対し4,339 件)。しかしながら私は、歳入庁の事件で出会ったほど、関税・消費税庁が人々に対して当オフィスに関する告知を行なう事例に出会いませんでした。

私たちは、関税・消費税庁に関する苦情申立のうち、 464 件については援助を提供し、91件については調査を開始しました。私たちが調査を開始した苦情申立の85%が、関税・消費税庁による付加価値税の運営管理に関するものでした。税関の問題に関する苦情申立(例;港あるいは空港で税関係官(Customs officer)によって制止、質問、検査されたことに不満を抱いた人々からの苦情申立)は14%を越えました。また消費税の問題に関する1件の苦情申立については正規の調査を開始しました。

関税・消費税庁による非常に不適切な仕事もいくつかありました。
例):

・付加価値税額を確認するための立入調査が不適切なため、予測不能な、時には高額の税額が算出される。
・付加価値税債務を持つ納税者を訴えるために雇用する事務弁護士を適切に管理できないために、一般の人々に動揺を与える。
・付加価値税の徴収における調整不足。
・英国に入国時、関税・消費税庁の係官が荷物を検査することと、それらを留置することについての権限が不透明。
・不適切な記録。
・補償金の裁定額に一貫性がない。

本年度私たちが検討した関税・消費税庁の事件についての詳細は 84ページにあります。

*歳入庁

昨年度私は、歳入庁がこれまで以上に、そして関税・消費税庁、社会保険料局よりも適切に苦情申立の解決に努めたと述べました。本年度もまた、歳入庁による改善が見られました。彼らは私の就任以来、4年間で目覚ましい進歩を遂げ、私に次のように述べています:

「… アジュディケイターは歳入庁内の苦情申立処理に対する姿勢を変えることに成功しました」。
「アジュディケイターズ・オフィスが、歳入庁にとって有益であることに全く疑いの余地はありません。あなたは、歳入庁の顧客サービスをより高い次元に引き上げた推進力です」。
現在では歳入庁の仕事は、概して詳細かつ厳密で、彼らは問題について争うよりも解決するということを学びました。
2,534 の個人及び事業が、本年度歳入庁に関する苦情申立あるいは質問をなすために私たちと連絡をとりました。
私たちは 2,062 の個人及び事業に対して援助を提供し、472 件の苦情申立については調査を開始しました。1年間に昨年度の10%増に当たる546 件の調査を完了しました。

歳入庁内の苦情申立処理が全般的に改善され、彼らは、納税者が私たちと連絡をとる必要なしに、問題を解決するようになっています。私はこのことが、私が調査した歳入庁に関する苦情申立のうち、初年度が 64%、昨年度が48%であったのに対し、本年度は45%を支持したことの理由であると思います。私がアジュディケイターに就任して以来、この下降傾向は続いています。これがあるべき姿であり、歳入庁は問題を解決すべき苦情申立により一層取り組んでいるということを意味しているので、一般の人々にとっては朗報です。
しかしながら納税者が以下のような場合に、歳入庁による不適切な仕事が依然としてありました。

例):

・長期間の税務調査を不必要に受けた。
・不当に下された州裁判所判決( County Court Judgement)を受けた。
・財産を移送しようとする執行官( bailiffs)による不当な訪問を受けた。
・税務に関してかつて歳入庁から受けた助言が原因で、高額な税金を請求された。
また私は、歳入庁の係官がプロフェッショナルにあるまじき行動をとり、その結果、混乱を引き起こした数件の事例にも出会いました。

例えば、私が調査したある苦情申立では、税務調査を受けていた納税者が自らの税務は適切であると断固抗議しました。彼は調査を行なっている歳入庁の係官から得た返答に憤慨しました。例えば、ある税務調査官( tax inspector)は彼に次のように述べました:

「あなたは、面談記録を報告することは面倒くさいと苦情を言っている。あなたが苦情を申し立てるつもりだということを受けて…私は、面談の間中あなたの態度がどれほど不愉快なものであったかを伝えておく必要があると感じた」。

またその調査官の上司が、後に納税者に次のように述べました:

「…私はあなたに会うぐらいの肝っタマは持ち合わせているが、(Xの)人口の半分にそれを踏みつけにされたりはしない」。

係官たちのプロフェッショナルにあるまじき発言は、すでに形成されていた難しい関係をさらにねじ曲げ、不適切にも個人的な怨恨を生み出しました。彼らが問題に効果的かつ適切に対処しなかったために、納税者が当オフィスを訪れた時には、税金が徴収されることもなく、調査が恨みをはらんだまま停止になるという根拠を幾分与えることになりました。

私は、納税者の立場に立って問題を見ることができない係官がいることに懸念を抱いています。また上級管理職( senior managers)のなかにも、このことの重要性を理解できないために、同庁の有効性を高めるのではなく、職員を支持し、見捨てないということを示したいというはき違えた願望のために、自己防衛的になる人が多少います。

歳入庁は公に提供するサービスを改善してきましたが、庁内には改善までに時間がかかる、今なお私の勧告を拒絶する地方事務所がいくつかあります。これらの事務所は当オフィスから得る情報を必ずしも十分に活用していません。これは歳入庁が自らの有効性を高め、運営費を削減する機会を逃していることを意味します。

歳入庁に関して私たちが行なった仕事の詳細は 36ページにあります。

 

*苦痛及び煩雑さに対する補償金

昨年度私は歳入庁が手続要綱1( Code of Practice 1)『歳入庁による誤り(Mistakes by the Inland Revenue)』を改訂し、そのなかに彼らが納税者の税務を処理したり、苦情申立を解決したりする上で犯した重大な誤りによって生じた不安と苦痛に対する慰謝料の支払に関して、新たな指導を盛り込んだことを歓迎したと述べました。

本年度私が検討したこの点が問題になった 35件の事件によれば、歳入庁はほとんどの事件でこの新たな手続を賢明に利用しているように思われます。

慰謝料についての詳細は事例を含め 43ページにあります。

 

*申告納税

納税者、会計士、会計士以外の税務アドバイザー及びジャーナリストは、申告納税に関する新たな手続に不安を抱き、当オフィスの仕事量が大幅に増加するであろうと私に警告しました。

申告納税制度は多くの人が税務を扱う方法に大きな変化をもたらします。そこでは歳入庁の役割もまったく異なります。

歳入庁はこの新たな手続に関し、大々的な告知を行ない、すべての人々がどのような影響を受け、それにどう対処しなければならないかという説明に努めてきました。この点を私は歓迎します。しかしながら、このような規模の新制度を導入するに当たっては、何らかの誤解をする人が現われ、そしてその誤りを犯す人々のなかに係官が含まれることは避けられないことでしょう。歳入庁は自らが犯す誤りを最小限にとどめるよう十分警戒しなければなりません。

私は、この申告納税制度の導入が私の仕事にどの程度影響を与えるかについて予測することはできません。歳入庁が新たな手続のもと、納税者の税務処理を行なう上でまったく誤りを犯さなかったとしても、新しい制度であること、また多くの納税者がその変化による影響を受けることから、私はこの件に関する苦情申立を何件か受理することになるでしょう。これらの問題をどれくらい適切に解決することができるかが、歳入庁にとっての正念場になるでしょう。

私たちは既に、数人の申告納税に関する懸念が歳入庁によって解消されるよう手助けしました。

この件については、来年度報告することができると思います。


*財産評価局

昨年度私は、財産評価局は一般の人々に対する思慮に欠け、また苦情申立処理も不適切であったとして強く批判する一方で、事態の改善にも努めていると述べました。私は彼らの努力が実を結んでいると報告することができ、嬉しく思います。本年度彼らは、より適切に苦情申立を処理しました。このことは私たちが出した統計に明確に表われています。本年度私は財産評価局に関する苦情申立を、昨年度の 61%に対し、43%支持しました。

しかし残念なことに、なかにはほとんど変化の見られない財産評価局地方事務所( local offices)もあり、他の事務所よりも劣ったサービスを提供される人もいます。財産評価局は正しいメッセージを理解し、局全体でその実行に取り組むよう一層努力することが求められています。

財産評価局に関する私たちの仕事の詳細は 56ページにあります。


《フィードバックを提供する:公に対するサービスの向上を促進すること》

私たちの仕事のなかでもう一つ重要なことは、各機関が提供するサービスの質が向上するよう、私たちが苦情申立の調査から得る経験をフィードバックするということです。私たちは「外部」から、個々の事件の詳細とこれが手続、運営姿勢及び態度についてどのような意味を持つのかに関する考察を示すことで、私たちの意見を表明します。

私は歳入庁及び関税・消費税庁の幹部( Board Members)、社会保険料局及び財産評価局の局長、そしてこれらの機関の主な執行部(executive units)の上級管理職と定期的に面会し、私たちの考えを伝えます。また私たちは、各機関の職員のグループが当オフィスを訪れる時、または彼らの事務所、会議、セミナー、ワークショップにおいて、話をすることに多くの時間をかけました。さらに私たちは情報を提供したり、スピーチを行なうことで彼らの講習会の手助けを行ないます。

昨年度私が事務所を訪ねたり、イベントで話をする機会は 25回あり、また各機関の職員から成る20のグループが当オフィスを訪れました。

私たちは各機関に対し、季刊報告書を発行しています。これらの報告書において私たちは、彼らが苦情申立処理及び実務を行なう上で有益であろうと思われる問題を提起します。また報告書には私たちが適切、不適切な実行が浮き彫りになると考える事件の概略も記します。さらに年次報告書の発行も行ないます。

 

「私はあなたの最新の報告書を読み終えました。平易な表現で、鮮明かつ強いメッセージが込められた優れた報告書でした。それは私たちが他のサービス提供者に見習って欲しいと願う手本です」市民憲章部( Citizen's Charter Unit)のユージン・タートン部長(director)が、私たちの『年次報告書/1996 』についてこのように述べています。

私は毎年、私たちから提案を受けたり、低い評価を受けた公に対するサービスを改善するために各機関が何を行なっているかを尋ねます。

昨年度の年次報告書が出された後、各機関は公に提供するサービスの向上をはかるために実行しようと考える苦情申立の処理と内容に関する改善策を記した『実施計画』を作成しました。私は、彼らがサービスを改善し、進歩する過程をモニターしてきました。

私は歳入庁と関税・消費税庁による実施計画は広範で、深く掘り下げられたものであることに感銘を受けましたが、関税・消費税庁の計画にはしばしば期限の設定が抜けていることに懸念を持っています。

財産評価局が実施計画のなかで示した方策は、私が以前行なった批判を彼らが真剣に受け止めたことを表わすものです。本年度、彼らが提案したサービスの改善策を実行に移すことに進歩が見られ、励みになりました。

しかしながら社会保険料局は、彼らが予定したわずかな進歩さえも実現することができていません。

歳入庁(財産評価局を含む)は概して、私たちが提供するフィードバックのほとんどを有効に、精力的に活用してきました。関税・消費税庁あるいは社会保険料局については、必ずしも常に適切に取り組まなかったり、積極的ではなかったため、この限りではありません。

本年度各機関がとったいくつかの処置に関する詳細は 130ページにあります。


《代理人》

本年度私は、資格の有無にかかわらず、会計士及び会計士以外の税務アドバイザーによる不適切な仕事の事例に繰り返し出会ったことを報告しなければならず、残念に思います。

これは重大な消費者問題で、税金に関する助言を行なう人々は約束どおりのことを提供する立場にあるということを保証する処置が直ちに必要であると思います。

この件に関して私たちが検討したことと、私の見解についてのより詳しい情報は 136ページにあります。

《アンケート調査》

公共サービス委員会( Public Service Committee)は報告書『市民憲章(The Citizen's Charter)』(HC 78-I,HMSO 1997 年3月)のなかで次のように述べました:

「公共サービスの6原則のうちの一つは、サービスを利用する人々と定期的に系統的な協議が持たれなければならないということである」そして;

「サービスとサービスの改善要求に関する利用者の意見は、規範に関する最終決定のなかで考慮されなければならない」。

私は彼らの見解を支持します。私たちは当オフィスを開設した 1993年以来、サービスを提供する人々、つまり私たちに苦情申立を提起する人々と各機関の係官の両方に対し、アンケート調査を行なってきました。私たちが当オフィスの顧客である苦情申立人及び係官から、私たちが提供するサービスをどのように評価するかに関する報告を受けることは、私たちの仕事をより適切に評価する助けとなり、提供するサービスをどのように改善することができるかに関する大変有益な情報となります。


*苦情申立人

私たちが歳入庁(財産評価局を含む)だけでなく、関税・消費税庁及び社会保険料局に関する苦情申立あるいは問合せを当オフィスに持ち込んだ個人と事業に対してアンケート用紙を送付するようになってから本年度で2年になります。

苦情申立人に対する 1997年のアンケート調査に関する詳細は168ページにあります。以下は明らかになったことの概略です。

総括すると、私たちは本年度援助を行なった個人及び事業の約 15%、苦情申立を調査した個人及び事業の約30%の無作為によるサンプルに対し、アンケート用紙を送付しました。両方のアンケート用紙の約半数が、回答され、返送されました。

昨年度の報告書のなかで私たちは、『 1996年アンケート調査』における回答によると、私たちのサービスに対する人々の感情と私たちが苦情申立を支持したか否かには、深い関連があるように思われると述べました。本年度は昨年度よりも多くの人々が、私たちの提供したサービスに満足したと回答したことを嬉しく思います:私たちが苦情申立を調査した回答者の73%は、サービスに満足しました。これに関する昨年度の比率は63%でした。また本年度の目標値である65%の満足率を上回りました。

回答者の 84%、また私が苦情申立を支持しなかった人々の77%が、裁定に関する理由について、私たちが十分に説明を行なったと感じたと回答したことには励まされます。さらに私は、98%の人々が私たちが出した書状は明確で、理解しやすいと回答したことを喜んでいます。私たちは前回と今回のアンケート調査により、これらの規範が、私たちが提供するサービスに関して人々が要求することのリストのなかで上位に挙げられるということを知りました。

私は今年この有望な基盤を軸に、私たちが行なう調査の質がさらに向上されるよう努力するつもりです。

私たちが援助のみを行なった個人及び事業のうち 64%が、私たちが提供したサービスに満足したと回答しました。一見これは残念な結果のように思われます。しかし回答の内情を検討したところ、不満を表明した人々の多くは、当オフィスが提供したサービスに不満なのではなく、援助事案チーム(Assistance Team) が、アジュディケイターの権限を越えているため、私たちは彼らの問題を検討することはできないと述べたことに不満を抱いたということが分かりました。例えばそれらは税法に関すること、あるいは付加価値税審判所(VAT Tribunal)など他の独立した不服申立審判所が決定を下すべき事柄でした。これらの人々は、私がそのような問題を検討しないことに不満を持ちました。

私は当オフィスの仕事ぶりは「アジュディケイターズ・オフィスはあなたを手助けしようとしたと感じたか?」という質問に対する回答に何より鮮明に表われていると思います。私は 74%の人々がイエスと回答したことに励まされました。

 

*機関

私たちは歳入庁の上級管理職(財産評価局の局長を含む)、関税・消費税庁及び社会保険料局の局長事務所( Chief Executive's Office)に対しアンケート調査を実施しました。

私はアジュディケイターズ・オフィスを、歳入庁、関税・消費税庁、社会保険料局が公にとって、より有益な存在になることを促す彼らのパートナーであると考えています。従って私たちが彼らと仕事上良好な関係を持つこと、また彼らが、私の下す個々の裁定に同意しないことがあるにせよ、私たちが公平で有用なサービスを提供していると感じることは重要です。

本年度回答者の 84%は、私たちが調査した苦情申立及びこれらの苦情申立事件を処理した方法に関して、私たちが提供した情報の質と公正さに満足しました。私たちの設定した目標は80%でした。

各機関が行なった私たちのサービスに対する主な批判は、苦情申立を調査するために費やした時間に関してでした。これには私もオフィスを開設した 1993年以来、憂慮しています。本年度私たちは昨年度の同時期に比べ、未処理事件の総数を約50件(約14%)少なく抑えることができました。さらに私たちは新規採用者がより能力を発揮し、より迅速に行動するようになること、また私たちの技量を高めることを促進するために、オフィスの新旧のスタッフに対する訓練を改善しました。私たちはまた、当オフィスの手続についても改善を行ないました。

私はこれにより、徹底ぶりは損なわずに、私たちは本年度よりも迅速に苦情申立を調査し、処理中の未解決事件に要する平均日数を減少させることができるであろうと考えています。とはいえ、私たちが調査を行なう苦情申立の件数を考えれば、すべてを私が望むとおりに迅速に処理することはできないでしょう。

私は、ほぼすべての事務所が、顧客に対してより水準の高いサービスを提供するための手段の一つとして、職員が苦情申立を活用することを促進するために、私たちが提供する情報を積極的に活用すると回答したことを嬉しく思いました。

回答者の 93%は、私たちが援助事案(23ページ参照)を彼らに付託する方法に満足しました。私たちの目標は100 %でした。100 %に満たなかった主な理由は、1カ所か2カ所の事務所が、私たちが人々を援助する方法及び理由に確信が持てなかったことにあることが分かりました。私は、各機関が必ず援助事案における私たちの役割について、彼らのあらゆる事務所に対して説明を行なうよう求めており、来年度の報告書には100 %の目標を達成できたと報告することができることを願っています。

各機関に対する 1997年度のアンケート調査に関する詳細は174ページにあります。


《広報活動》

苦情がある人がどのように、どこに対して苦情申立を行なうかについて知ることは重要なことです。私はできる限り多くの人々に、私たちのメッセージを伝えることは極めて肝要であると思います。私たちは一般の人々と各機関の係官に対し、アジュディケイターズ・オフィスについて説明するための様々な活動を行なっています。

この1年間に私は、多様な公的、私的機関が主催するセミナー、会合、会議における講演依頼を 20回応じることができました。例えば私は、会計事務所、付加価値税審判所、中小企業のグループ、業者及び消費者団体、その他の業界団体でスピーチを行ないました。また私は、歳入庁、関税・消費税庁、社会保険料局が主催したイベントでも講演しました。


歳入庁、関税・消費税庁、社会保険料局のそれぞれに関する苦情申立を行なう方法を説明した私たちのパンフレットは、英国内における数カ国語の主な少数言語でも入手でき、関税・消費税庁のパンフレットについては英国からの、また英国への旅行者のために、主な欧州言語でも入手可能です。

各機関ともそれぞれのパンフレットのなかで、また歳入庁と関税・消費税庁は税金、付加価値税の申告書、歳入庁の税金コード通知など、人々に配布する用紙のなかで当オフィスに関する詳細を記しています。これは私たちの仕事を告知する効果的な方法であることは明らかです;歳入庁が税金年度 1997/98 年度のコード通知を送付した直後の1997年の初めに、多くの納税者が当オフィスを訪れました。

私は社会保険料局に対し、彼らが顧客に送付する用紙に当オフィスに関する記述を加えるよう促しましたが、本年度末の段階では実行されていません。

人々が私たちのサービスについて知るための効果的な方法は、彼らが苦情を述べる際に、各機関の係官が当オフィスのことを説明することです。先に述べたように私は、社会保険料局の係官と関税・消費税庁の一部がこれを十分に行なわないことに懸念を持っています。

本年度私はテレビ、ラジオの番組に何度か出演し、また英国内外の出版物のために私たちの仕事に関する原稿の執筆依頼を数回受けることができ、嬉しく思いました。私たちがメディアで取り上げられる度に、新たな苦情申立を受理するということは、多くの人々が私たちの存在を今もって知らないということを示しています。

1年間に歳入庁、関税・消費税庁、社会保険料局の人々をはじめ、大臣から小規模な地域団体に至るまで、英国内外の様々な人々が当オフィスを訪れました。このような訪問により、私たちは当オフィスの仕事を彼らに説明し、適切な苦情申立処理を促進する機会を得られます。人々は私に、こういった場を持つことは彼らの仕事を改善する助けとなると言います。

 
「私は講演参加者からのフィードバックにより、彼らが率直なメッセージをどれほど認識したかを知っていますし、また彼らだけでなく誰もが、応えなければならないニーズがどれほどあるかということを認識しているという確信があります。あなたが行なった様々な指摘と激励は、私の同僚に十分に受け入れられたと思われるため、必ず将来実を結ぶことでしょう」私たちが検討した苦情申立に関し、社会保険料局の顧客サービス責任者会議で講演した後に届いた書状より。

 
私たちはまた、当オフィスと同じような仕事を行なう数カ所の機関とも頻繁に連絡をとりました。この1年の間にウィリアム・リード卿が議会オンブズマン (Parliamentary Ombudsman) を退任しました。私は、彼が当オフィスに与えたあらゆる支援と激励に非常に感謝しています。私は新たに議会オンブズマンに任命されたマイケル・バックリーに会うことができ、嬉しく思いました。私たちがどのような仕事を行なっているかを知ろうと、児童援助局(Child Support Agency)の独立事例調査官事務所(Independent Case Examiner's office)、刑事事件調査委員会(Criminal Cases Review Commission)のような新設の組織からの訪問もありました。


《インターネット》

今回私が報告している年度の年度末から、インターネット上に「ライブ」のオフィスが開設されました。ホームページのアドレスは 3ページにあります。

私の関心は、人々はそれぞれが望む方法で当オフィスにアプローチすることができなくてはならないということにあり、現在多くの人々にとってそれはコンピューターを使うという方法です。この最新の試みは、 1996年11月に出された政府の緑書(政府勅令)に直接応えるものでもあります。これは顧客サービスを向上させ、情報へのアクセスを増やす手段として、コンピューターによる情報サービスの利用を促進します。

私たちのホームページは現在スタート地点に立ったところです。より充実したホームページを年の後半に完成させ、また『年次報告書/ 1997』のプレス・リリースは発行後直ちにネット上に載せる予定です。私たちはインターネットへの参入についての反応をモニター中で、私たちの目標は利用する人々のニーズに合ったホームページによって情報を提供するということです。

私は歳入庁、関税・消費税庁、社会保険料局がこの新たな試みにより、私たちがさらに注目を受けることを歓迎し、支持したことを嬉しく思いました。また市民憲章部は私たちに次のように述べました:

「私たちはこの新たな試みを歓迎します。それは正しい道を前進しているということです」。


《謝辞》

私は、当オフィスが様々な人々並びに機関から変わらぬ支持と援助を得られたことを感謝しています。特に私は問題を当オフィスに提示し、私たちの努力を認め、私たち宛てに書状を出した人々にお礼を述べます:

「私は付加価値税に関する問題に怯え、孤独でしたが、(あなたが)助けてくれました」。関税・消費税庁の調査事件の苦情申立人より。


期待しているというわけではありませんが、私たちが徹底的に公平に調査を行なうことになった誤りを犯し、そしてその経験から教訓を得た機関から連絡を受けることは大きな喜びです:


「私は、我々が一般の人々と接する上で独善に陥ってはならないということを私の(職員)に強調するためにこの事件を活用し、また彼らに規範をより慎重にチェックすることを求めました」関税・消費税庁の徴収官( Collector)が私の勧告に応じて。


さらに私が苦情申立を支持しなかったものの、事態の究明に当たった私のスタッフの根気と献身を寛大にも高く評価した人々からの書状には、励まされると同時に自信につながりました:

「(私たちは)あなたの下した結論には失望しましたが、納税者の歳入庁に対する苦情申立が、あのように徹底的に客観的な方法で処理されることには励まされます」歳入庁の調査事件に関わった代理人より。

しかしながら私たちは、すべての人々を常に喜ばせることはできません。時には、私は苦情申立人からも係官からも私たちの仕事に対する厳しい批判を受けます:

「アジュディケイターズ・オフィスはあまりにも関税・消費税庁側に偏っています…私の知る関する限り、アジュディケイターズ・オフィスの著しく偏向した態度により、…まったくの時間と費用の無駄です」苦情申立が支持されなかった苦情申立人より;

「あなたの独立性を理解することは不可能です。あなたもまた、ほとんど手の施しようのない状況で困難な仕事に最善を尽くそうとしている「公僕を試そう」としているだけの人のように見えます」歳入庁の係官からのアジュディケイターに宛てた書状より。

公共サービス委員会が出した報告書『市民憲章』( 1997年3月)を読み、光栄に思いました:

「アジュディケイターズ・オフィスは(内部調査とオンブズマンの要請との間に位置する調査機関として)特に優れた手本です」。

「アジュディケイターズ・オフィスは外部調査機構の優れた手本でもあります」。

私たちの仕事について私が受けた思いやりに満ちた言葉は、大変ありがたいものです。

「あなたの苦情申立に関する仕事は歳入庁、関税・消費税庁、社会保険料局のいくつかの部署に今なお存在する難点をまさに浮き彫りにするものです。私はまたも大活躍の年を過ごしたことに対し、あなたとあなたのスタッフにお祝いを述べます」全国消費者団体連合( National Federation of Consumer Groups) 会長、バロネス・ウィルコックスより。

 
さらに私は、当オフィスの同僚にも感謝を表わします。彼らの熱心な働きにより、オフィスの効率が高められ、より多くの苦情申立を調査することが可能になりました。それが一般の人々にどれだけ評価されているかは、特筆されて然るべきです。