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世界納税者大会サンクトペテルブルグ、小泉総裁再選、ストックオプション課税2回目国側敗訴、NGOと日本外交、納税の用語、政府税調答申と税務行政の課題など(8月、9月の掲示板)。


世界納税者大会サンクトペテルブルグに参加して 投稿者:長谷川 博  投稿日: 9月28日(日)19時08分23秒

世界納税者大会(サンクト・ペテルブルグ)に参加して
 長谷川 博(日本納税者連盟事務局)

 本年9月18日から21日の日程で、ロシアのサンクト・ペテルブルグで世界納税者連盟(World Taxpayers Associations)主催の世界納税者大会(World Taxpayers Conference 2003)が開催され、日本からは日本納税者連盟(Japan Taxpayers Association)の22名が参加した。
 団長の北野弘久日本大学名誉教授をはじめ事務局長の湖東京至関東学院大学教授ほか学者、税理士等から成る日本からの参加者は、22カ国43団体の総勢400名近い大会参加者の中でひときわ注目を浴びたようである。
 18日のウエルカムパーティや20日の祝祭の夕食とダンスパーティなど世界の納税者代表との間で積極的な懇親の和が花開いたことは、日本納税者連盟の参加者にとっても意義深い国際大会であったと思われる。
19日のサンクト・ペテルブルグ州立大学で行われたパネル・テーマは、東欧諸国の「The Flat Income Tax」についてであった。
 エストニア、ウクライナ、ロシアなど東欧諸国における所得単一税率課税の効用についての説明があった。1990年代にソ連邦から独立し資本主義経済を取り入れた東欧諸国の特殊事情に基づく税制であると考えられるが、西欧諸国からは予想されたように質問がなされた。
 日本納税者連盟の北野代表からも課税の公平の観点から批判的意見が述べられ、また翌20日の会議でも、所得課税のあり方について意見を述べる機会を得たことは、世界の納税者の権利・地位向上にとっても有意義な大会であったと思われる。
 2004年にはオーストラリアで世界納税者大会が開催されることになっている。世界の納税者が一堂に会する唯一の組織として、世界納税者連盟の役割には大きなものがあると思われる。
 世界納税者連盟は、不当な税負担がないように納税者の立場から活動するものであり、そして不偏不党の立場で情報の交換や税制の比較研究等を通じて世界の納税者と連帯することを目的としている(http://www.worldtaxpayers.org/)。
 日本納税者連盟としても今後は、西欧諸国が導入している「納税者権利憲章」の早期導入に向けた活動について世界納税者連盟との協調が重要になってくるだろう。
 (なお、日本納税者連盟http://www.taxpayers.jp/home.html

クラークがリード 投稿者:中西良彦  投稿日: 9月24日(水)19時11分40秒

 前NATO軍司令官のウェズリー・クラーク大将(退役)が、世論調査でブッシュをリードと新聞にありました。ブッシュ大統領の今のイラク政策に批判的という論調ですね。
 http://www.clark04.com/
 上記は選挙キャンペーン用のサイトです。1966年ウェストポイントの陸軍士官学校を一番で出て、ローズ・スカラー(クリントンももらった、ローデシアの建国の父セシル・ローズが作った奨学金)でオックスフォードへ留学、哲学、政治学、経済学の学位取得とあります。年齢から言えば当然ですが、ベトナム従軍経験あり、勲章多数、イギリス、オランダのナイトの称号。大したキャリアです。
 でも、ベトナムで地べたを這いずり回った口ではなさそうですし、例の人道的支援と銘打ったアメリカのコソボ支援のとき、NATO軍の司令官だったわけで、アメリカのサイトでは当時の行為の中には戦争犯罪に近いものがあるなどと議論されています。
 例によって周到に準備されたエースの投入というところでしょうか。

日本経団連税制提言 投稿者:望月  投稿日: 9月23日(火)10時59分04秒

 ご存じの通り、16日に日本経団連から「平成16年度税制改正に関する提言」が公表されました。提言は1月の奥田ビジョンや5月の方針と同様に、法人税負担の引き下げと消費税引き上げ(2007年をめどに10%まで)など相変わらずの内容でした。しかし、先生方の陳情の成果として、提言の最後に下記の通り「納税者の権利の尊重」が入りました。

(3)納税者の権利の尊重
租税制度に対する納税者の信頼を高めるとともに、税務執行における無用なトラブルをなくすためには、税務行政における適正かつ具体的な手続規定を定め、納税者の権利を尊重する必要がある。海外諸国では、納税者の権利保護法や権利憲章を定めている国も多いが、わが国でも少なくとも、税務調査に際しては事前の通知と調査期間の明示、終了の通知を行なうようにするとともに、提出書類についても明文化すべきである。また、調査により税額を変更する場合は理由を明記した更正処分によるべきである。さらに、税務行政を行政手続法の対象に含めるべきである。

 提言のトーンには問題が残りますが、税制改革に大きな影響力を持つ日本経団連の税制提言に納税者の権利の尊重が入ったことにはそれなりの意義がありますね。
詳細は日本経団連のホームページをご参照下さい。
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2003/091/index.html

小泉総裁再選・世論調査 投稿者:長谷川 博  投稿日: 9月 2日(火)18時29分37秒

小泉総裁再選支持66% 読売新聞・世論調査

(小泉再選支持66%)
・小泉首相が自民党総裁に「再選される方がよい」と答えた人は66%で、「交代する方がよい」(26%)を大きく上回った。
・「再選」を望む人にその理由を尋ねたところ、「ほかにふさわしい人がいないから」(76%)。
・「交代」を求める人にだけ、次の総裁に最もふさわしいと思う自民党国会議員を尋ねた結果、安倍晋三・官房副長官(15%)がトップ。これに橋本元首相、亀井静香・前政調会長(各5%)などが続いた。
(内閣支持率57・7%)(総選挙へ合併効果 民主に投票15%)
・内閣支持率は57・7%。
・次の衆院選挙の比例代表選での投票政党を聞いたところ、「自民党」36%に対し、「自由党と合併した民主党」は15%。
・次の衆院選挙の比例代表選挙で投票したい政党を、大都市部についてみると、「自民党」30%に対し、「自由党と合併した民主党」は19%と、全体平均より差が縮まっている。
(政党支持率自民党35・7%)
・政党支持率は、自民党が35・7%、民主党は7・0%で前回7月調査と比べほぼ横ばいだった。
http://www.yomiuri.co.jp/features/sousaisen2003/200309/so20030902_01.htm
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 読売新聞社が先月30、31の両日に実施した全国世論調査(面接方式)によると、世論と永田町の感覚の違いが如実に出ている調査結果といえよう。世論は、小泉再選を支持し、永田町は反対していることをどう捉えるか。
 また、「交代」を求める人が、ふさわしい人として安部晋三官房副長官をトップに上げている点が興味深い。
 それにしても、まだ「自由党と合併した民主党」への期待度が低いようである。この国にはいまだ本格的な政権交代がないのだが。民主党も思い切って公務員の削減などの政策を打ち出していけば、国民の支持率も高くなろう。

ストックオプション課税、課税庁2度目の敗訴 投稿者:長谷川 博  投稿日: 8月27日(水)00時47分19秒

ストックオプション課税訴訟、税務署側また敗訴
 ストックオプション(自社株購入権)で得た利益について、「一時所得」ではなく税率がほぼ倍になる「給与所得」として課税されたのは違法だとして、米半導体大手「インテル」日本法人の西岡郁夫元会長(60)など外資系企業の元役員ら5人が、税務署側に追徴課税の取り消しを求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であった。
 市村陽典裁判長は「ストックオプションの利益は、給与所得ではなく一時所得に当たる」と述べ、税務署側に処分の取り消しを命じた。
 この問題を巡っては、全国で計79件の訴訟が起こされており、昨年11月、東京地裁の別の部も同様に国側敗訴の判決を言い渡している(国側が控訴)。国税当局の課税処分を違法とする司法判断が続いたことで、国側は今後厳しい対応を迫られそうだ。
 西岡元会長らは1996―99年の間、米国の親会社から付与されたストックオプションを行使し、約1億6000万円から約16億円の利益を得て、東京国税局管内の4つの税務署に一時所得として申告した。ところが、その後、国税当局が給与所得として申告するよう統一指導を始めたため、過少申告加算税も含め計約8億円を追徴課税された。
 判決の中で、市村裁判長は「ストックオプションを行使して得られる利益は、いつ自社株を購入するかという投資判断や株価の推移によって変動するため、偶発的、一時的な性格を持っており、継続的な労働の対価である給与所得とはいえない」と指摘した。
 判決後に東京・霞が関の司法記者クラブで会見した西岡元会長は、「主張を理解してもらい、感激している」と判決を評価した。
 一方、東京国税局は「判決内容を詳細に検討するが、控訴することになるだろう」としている。
 ◆ストックオプション=役員や社員が、あらかじめ決められた価格で、一定期間内に自社株を買う権利。日本では1997年の商法改正により全面的に導入された。
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20030826i315.htm
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 この判決で、先の藤山裁判長の判決を追認したことになり、ストックオプション課税に対する課税庁の違法性が確認されたことになりますね。


拱手(きょうしゅ)傍観の日本外交 投稿者:長谷川 博  投稿日: 8月17日(日)01時34分59秒

拘束NGO代表の妻、上海総領事館訪れ協力を要請
 【上海=伊藤彰浩】中国・上海で北朝鮮からの脱北者を支援していた日本のNGO(民間活動団体)「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」の代表、山田文明さん(54)が拘束された事件で、山田代表の妻、真理子さん(52)(大阪府八尾市)が16日、上海の日本総領事館を訪れ、早期釈放に向けた政府の協力を要請した。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20030816it12.htm
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 こういう事件が起こると、2002年5月の瀋陽事件の主権侵害問題や外務省チャイナスクール問題を解決できない日本政府の体たらくを思い出さざるを得ない。

 記事の問題の背景には、次のような重要な問題があると思われる。

 日本政府は、亡命者や難民に冷淡な姿勢をとっている。米国は22万近くの政治亡命者を受け入れているが、日本は22人。日本はウイーン条約に加盟しても亡命者のための法律が整備されていない。
 政治的庇護を受けざるを得ない人の人権を尊重してこそ自由民主主義国家であり、国際貢献でもある。
 日本外務省が亡命者を厄介者扱いし、NGOが政府の間隙を縫って亡命者を助けているようでは、国際社会での日本の地位は高くない。あくまで政府の責任で、不法難民との峻別をはかりながら、亡命者の庇護ができる法律を整備すべきである。
(参考:中嶋嶺雄「『日中友好』という幻想」PHP新書P.31)

Re:用語としての納税の意義について 投稿者:長谷川 博  投稿日: 8月15日(金)00時27分03秒

 日高さんの質問に対して
通常は、掲示板での質問には答えておりません。日高さんへもmailでお返事を差し上げました。

 さて、納税者はTax Payers(税金の支払者)と理解しております。
ご指摘の通り、納税者という表現は納税義務者を想定させるかもしれません。
私は、「納税者」を、税法規上の「納税義務者」とは区別して理解しておりおりますが、法規上も納税者に統一すべきと思っています。
 重要なことは、納税者の権利を保護する制度を具備することだと思っております。
単に言葉だけを変えても、内容がなければならないと思っておりますので、私は表現上は「納税者」の権利保護という用法で良いと思っております。

 参考まで。

用語としての納税の意義について 投稿者:日高 和重  投稿日: 8月14日(木)13時29分39秒

難しいことは判りかねますが、「納税」って用語の意義につきまして疑問があります。
主権在民の現憲法でも第30条に「国民は、、、納税の義務を負う」とありますが、納税とか納付等の用語は、下位の者が上位の者へ納める年貢とか上納の意が強く感じられます。
大日本帝国憲法第21条では、「日本臣民は、、、納税ノ義務ヲ有ス」とありますが、現憲法は、主権在民を根底に置いておりますが、納税につきましては官尊民卑思想が改められずに、旧態依然と思考されます。翻訳すればペイ・タックセスで同じでも、日本語では「納税」は上下関係があるようで、「税負担」の方が同格に感じます。
納税は税負担行為、納税者は税負担者と用語を代える効果は、国民の税負担行為は、国や地方公共団体が憲法で補償する政治を執行することに対応させる意識を植え付けるのではないでしょうか。
掛けた掛け金に対応した年金や保険には、関心が高いものです。負担した税にも同様な関心を持たないとこの国はまた60年前同様に破産しかねません。
税の使途に関心を持たせるためにも用語を代える時期だと思います。身体等障害者の用語の読み替えよりは意義あることだと思います。
長谷川先生のご意見を教えて下さい。

政府税制調査会答申と税務行政の課題 投稿者:長谷川 博  投稿日: 8月 8日(金)00時36分23秒

政府税制調査会答申と税務行政の課題
1.はじめに
 政府税制調査会(以下「税調」という。)の2003年(平成15年)6月の中間答申(少子・高齢社会における税制のあり方)において、税務行政のあり方に関するものとしては、骨子3項目(第一 少子高齢化と税制、第二 地方分権と税制、第三 その他の課題)の内、第三のその他の課題の2つ目に「納税環境整備」として納税者番号制度と公示制度・資料情報制度が取り上げられている。また、国際的な課税に係る税務行政に関するものとして、同じくその他の課題4つ目の「国際課税」も挙げることができる。
 本稿では、これまでの税調答申をベースに、わが国の税務当局(財務省、国税庁)の税務行政のあり方として、一つは納税者番号制度、二つには納税者権利保護制度に関する問題点を考察してみたい。
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 このような書き出しで、急ぎ3万字近くの原稿をまとめてみました。
近いうち雑誌「税制研究」に政府税制調査会答申を批判する論稿の特集として掲載されます。掲載後、HPに掲載する予定です。