番目のアクセスありがとうございます Last Modified on 3 Jan. 2004

政府税制調査会への陳情、政府税調答申と納税者番号制度、納税者権利憲章の国会陳情、消費税10%増税?、税収に占める消費税の割合、TCフォーラム定期総会、失業者数、日韓首脳会談など(6月、7月の掲示板)。


政府税調・石会長への陳情 投稿者:長谷川 博  投稿日: 7月30日(水)22時22分48秒

TCフォーラム(納税者権利憲章をつくる会)は、7月28日午後、日経連との面談後、政府税制調査会の石光弘会長に会って、「納税者権利憲章」を含む国税通則法の改正の必要性を陳情しました。
 TCフォーラム代表の北野弘久日本大学名誉教授ほか税理士や中小企業団体の代表など数名が財務省内の部屋で約30分近く面談しました。
 石会長は、昨年野党3党が法案を提出したが廃案となったことの資料は入手していたようです。
 政府税調では、「納税者の権利憲章」についての議論がなかったことは分かりました。世界の潮流である「納税者の権利憲章」について早急に検討されるべきことを説明し資料を渡して陳情しました。
 理解はしてくれましたが、積極的に取り組むかどうかは、事務局の財務省主税局や国税庁の意識の問題です。

 なお、関連ですが、2003年7月13日「サンデー毎日」の中に、「サラリーマン年収700万円で『73万円の大増税』」という記事があります。取材囲み記事として石税調会長の「増税は、特殊法人の見直しや歳出カットをした後だ」、北野TCフォーラム代表の「大増税は傷口に塩を塗る仕打ちだ」が掲載されています。参考まで。

政府税調中期答申と納税者番号制度の問題 投稿者:長谷川 博  投稿日: 7月22日(火)18時57分37秒

   政府税調中期答申と納税者番号制度の問題

1.はじめに
 政府税制調査会(以下「税調」という。)の平成15年6月の中間答申(少子・高齢社会における税制のあり方)は、納税者番号制度の導入について次のように述べている。
「納税者番号制度は、適正・公平な課税の実現に資することに加え、税務行政の効率化・高度化にも寄与する。(略)具体的には諸外国の経験も踏まえ、総合課税化や適正な資産課税のために、納税者番号制度の必要性を指摘してきた。近年においては、金融資産性所得を一体的に課税する新たな金融・証券税制を構築するためには、納税者番号制度が不可欠となっている。また、税務行政の効率化・高度化や納税協力(税制への信頼と納税過程における法令遵守)の向上といった観点、さらには経済取引の電子化・グローバル化を背景とした国際的な資金シフトに対応するためにも、改めて検討を行うべき時期にきている。(略)今後は、全国一連の番号の利用や個人情報保護のあり方の状況を踏まえ、導入に向けた具体的な諸方策について更に検討を進めるべきである。この際、民間及び行政のコスト負担が小さく、プライバシー保護を含めたシステムにおけるセキュリティが十分に確保されるよう適正な制度設計を行い、納税者番号制度に対する国民の理解を深めていくことが必要不可欠である。」

2.政府税調の納税者番号制度議論の経緯と問題点
 納税者番号制度は、15年以上前から議論されており、かつては主に利子・株式等譲渡益の総合課税化との関連で検討されてきたが、近年は税務行政の機械化・効率化や所得・資産課税の適正化を目的として検討されてきた。
 最近に至っては、上記のように国民の理解が得られるような民間および行政のコスト負担、プライバシー保護とセキュリティの確保を課題として指摘している。
 これは、税調が納税者番号制度の導入環境が整ったものと考えている証左でもある。すなわち、税調は、平成11年度8月に成立した「住民基本台帳法の一部を改正する法律」にもとづく住基ネットとの連動により導入コストの削減ができると見ていること、平成15年5月に改正した「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」(いわゆる個人情報保護法関連法)による個人情報保護対策が講じられたと見ていること、また、平成15年度から開始する電子申告制度を充実させるため、および同年からの贈与税の相続時精算課税制度の導入に伴う追跡手段として、さらには、将来の消費税増税に伴う事業者番号付与によるインボイス方式への移行を想定するなど、納税者番号制度の導入のための環境作りが整ってきていると見ていることを如実に示しているものである。
しかしながら、これまでの税調答申を見ると税務執行上の利便性・効率性や管理性に重きが置かれ、納税者番号制度の導入によって問題となる納税者のプライバシー保護や行政手続上の納税者の権利保護については具体的に論じられていない。問題点を3点指摘しておく。
 @番号の付与方式と住基ネット連動の問題
現在、住基ネットの利用範囲は、改正住基法で4情報に限定されているが、法律を改正して納税者番号制度に広げることが危惧される。そうなると、多くの国民が危惧する国民総背番号制度に近づく。
 A行政機関の個人情報保護法の問題点
・行政機関の個人情報保護法には、「偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない」という規定がなされたかった。
・「利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない」として利用目的の変更を認めた。
・苦情処理制度を導入したが、苦情処理手続が第三者機関による救済手続きにはなっていない。
・外国の個人情報保護法やわが国の地方自治体の個人情報保護条例にある「センシティブ情報」の収集制限規定がない、また、オンライン結合の制限についても規定されていない。
・プライバシー保護法制にはなっていないこと、またセキュリティの保障に問題があること。
 B税務行政上の納税者権利保護制度の欠如
納税者番号制度の導入前に諸外国が導入している「納税者の権利憲章」を制定し納税者の権利保護制度が確立されなければならない。
(税理士 長谷川 博)

納税者の権利憲章で国会陳情 投稿者:長谷川 博  投稿日: 7月18日(金)22時51分52秒

納税者権利憲章を導入すべく国会陳情

 TCフォーラム(納税者権利憲章をつくる会)はこれまで、国税通則法を改正して「納税者の権利憲章」を導入すべく民主党を中心に野党への国会陳情をしてきました。
http://www.h-hasegawa.net/j-kenrikensyo.htm
 先日のTCフォーラム総会記念講演での塩崎潤先生のアドバイスもあり、本日、自民党税制調査会相沢英之会長へ陳情に行ってきました。
 近いうちに、政府税制調査会石弘光会長へも陳情する予定です。
 納税者番号制度の導入問題や消費税増税問題が話題になっている現在、これらの問題の前に、世界の潮流になっている「納税者の権利憲章」をわが国にも導入し、納税者の権利保護制度を確立しなければなりません。

政府税調、消費税10%超を示唆 投稿者:長谷川 博  投稿日: 7月 6日(日)21時14分09秒

政府税調会長、消費税率上げ10%超を示唆
 政府税制調査会(首相の諮問機関)の石弘光会長(一橋大学長)は6日、フジテレビの番組で、将来の消費税率の引き上げについて「税率を10%まで上げても年金財政が破たんを免れるかどうかわからない。欧州には25%の国もある。年金給付の見直しなど対策を講じたとしても10%は最低限だろう」と述べ、年金制度を維持するため、10%を超える可能性があるとの見方を示した。
 政府税調が6月にまとめた税制改革の中期答申は、消費税率の2けたまでの引き上げの必要性を明記しているが、具体的な上げ幅には触れていなかった。
 欧州では、同種の間接税について、スウェーデンが25%、フランス19・6%、ドイツ16%などと、10%台後半から20%を超える税率を採用している国が大半を占めている。
http://www.yomiuri.co.jp/business/news/20030706i311.htm
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 前にこの掲示板で指摘した「税収に占める消費税」の実態と消費税のもつ逆進性について、政府税調は知らないわけはない。納税者が黙っていると取りやすい税金から増税されるのが日本の税制である。
(なお、下記参照してください。)
http://www.h-hasegawa.net/syohizei2003.htm

会計大学院構想が現実に 投稿者:長谷川 博  投稿日: 6月29日(日)16時30分37秒

会計大学院、私大に続々 会計士増の法改正受け
 企業の会計監査の重要性が高まる中、首都圏や関西の大学で「会計大学院」設置の動きが加速している。公認会計士を増やすために06年から新しい試験制度が始まるのをにらみ、明治大、関西学院大は会計の専門職大学院「アカウンティングスクール」を設置する方針を決めた。青山学院大も検討中だ。05年4月に開校が集中する見通し。来春に全国で開校する法科大学院(ロースクール)に次ぐ、専門職大学院の誕生ラッシュとなりそうだ。
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20030628/K0027201126093.html
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 すでに地方会理事会やWTO・規制緩和対策委員会で指摘したことが現実のものとなりそうです。
(参考)
制度改革が税理士制度に及ぼす影響と対策について(意見書)
東京地方税理士会WTO・規制緩和対策委員会 司法制度改革対策小委員会
http://www.h-hasegawa.net/chihoukai-WTO.htm

TCフォーラム定期総会・特別講演ほか 投稿者:長谷川 博  投稿日: 6月22日(日)12時43分35秒

 TCフォーラム(納税者権利憲章をつくる会)第11回定期総会・シンポジウム(2003年)
 塩崎潤・元大蔵省主税局長(元衆議院議員)の特別講演ほか掲載

 塩崎先生は10数年前から日本における「納税者権利憲章」導入・制定の必要性を唱えております。
わが国における「納税者権利憲章」導入を目指し、積極的に国会陳情活動等を展開しているTCフォーラムの総会記念講演として塩崎先生の講演要旨を紹介し、あわせてTCフォーラムのこの1年の活動を報告します。(TCフォーラム運営委員・長谷川 博)
http://www.h-hasegawa.net/TCforum2003.htm

 塩崎先生の講演では、TCフォーラムのメンバーの共著による「世界の納税者権利憲章」(2002年末発刊)の中から「韓国」の納税者権利憲章を引き合いに日本での導入遅れを問題にしていたことが印象的でした。(なお、本書の韓国の章は私が担当しています。参照http://www.cyber-zeirishi.jp/book2.html

税収に占める消費税 投稿者:長谷川 博  投稿日: 6月18日(水)23時51分38秒

税収に占める消費税を考える−黙って消費税増税を許していいのか−
 政府税制調査会がこの17日まとめた「中期答申」(少子・高齢社会における税制のあり方)にも2007年以降二桁の消費税率による増税が描かれている。
 簡単に税収に占める消費税を見てみよう。

1.平成15年度歳入予算合計  83兆6880億円
     うち税収予算額   44兆2760億円(52.9%)
       公債等収入額  39兆4120億円(47.1%)

     税収予算  44.276兆円
     うち所得税 14.708兆円(33.2%)
       法人税  9.990兆円(22.5%)
       消費税  9.592兆円(21.6%)
(資料:http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sainyu/h14/1502a.htm参照)

2.消費税率1%で2兆円
 消費税率5%で9.592兆円であるから1%当り1.9184兆(約2兆円)。単純計算すると、消費税率10%で約20兆円、経団連の主張である23%(2025年度)で46兆円となる。

3.税収に占める消費税比率の各国比較(全保団連等資料から各国2002年、日本2003年データ)
 日本22.7%(上記21.6%) イギリス22.3% イタリア22.3% スウェーデン22.1%
 イギリスでは付加価値税率が18%であっても生活費等非課税のため、実質的には日本の消費税率5%より負担感が薄いといわれている。日本の現在の消費税率5%は低税率ではない。

 なお、政府税調の中期答申に対しては改めてコメントしたい。


失業者数について 投稿者:長谷川 博  投稿日: 6月17日(火)00時41分48秒

失業者数について
前に、フリーター増加問題について言及したが、先日、寺島実郎氏の講演を聞く機会があった。
テーマは「今の世界・日本を語る」であったが、その分析には同調するものが多かったが。しかし、「それではどうすればいいか」については聞き及ぶことができなかった。おそらく各人が考えなければならないということなのであろう。

さて、講演の中から特に失業者数について、「失われた10年から見えてくるもの」(且O井物産戦略研究所まとめ)の数値から紹介しておきたい。

就業者数 1990年 6,280万人 2002年 6,318万人 (ピーク1997年 6,557万人)
失業者数 同上   134万人 同上   360万人 (+168.3%)
失業率  同上   2.1%   同上   5.6%

参考として、2002年の失業者、フリーターおよびパートの合計数は2,500万人とされる。

なお、比較数値から特に注目すべきものも併せて紹介してみる。

個人破産件数 1990年 11,273件 2002年 224,467件 (+1991.2%)
かつてのTVの深夜放送のCFから最近のゴールデン時間帯へのCF進出やCFの企画にも原因がありやしないか? もちろん不良(モグリ)金融業者による社会問題もある。
そして、借り手のモラルハザードも問われるし、社会教育の問題もある。

刑法犯罪認知件数 1990年 163.7万件 2002年 273.6万件 (+67.1%)
刑法犯罪認知件数にカウントされない未処理事件も多いと聞く。また、犯罪の検挙率は20%を切ったようである。外国人の犯罪も多発している。
日本の警察機構のあり方、空き巣事件などへの対策、劇場型犯罪の予防など検討されなければならない。国民は自分の生命・自由・財産を自分で守らなければならないのか?否、これは国家の責務である。

(データからの感想まで)


大統領訪日、韓国マスコミはどう見てるか 投稿者:長谷川 博  投稿日: 6月10日(火)02時11分34秒

日韓首脳会談、韓国はどう伝えたか。(抜粋と要約)
(朝鮮日報)
日本は何のために韓国大統領を招請したのか
「ノムヒョン大統領は昨日、自分の日本訪問を締めくくる記者懇談会「複雑な心境だ」という言葉で心境を露にした。しかし、これを見守る国民の心は複雑を越えて、怒りと決まり悪さ・屈辱感でいっぱいだったのが正直なところだ。」
(要約すると)
 これは、自民党麻生太郎政調会長の「創氏改名は朝鮮人が望んだものだ」の妄言、「有事法制」の参議院可決に対してのこだわりからである。また、ノムヒョン大統領が天皇と会見した日が、殉国先烈を称賛する顯忠日(国のために命を捧げた愛国列士と国軍将校の魂を慰め、その忠節を追悼するための記念日6/8)だったことという。
 そして、これは国家の面子がかかった問題である、と結んでいる。
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2003/06/09/20030609000070.html

(中央日報)
韓日首脳会談が残した課題
「ドイツ水準の徹底した過去の清算と未来に向けた換骨奪胎を拒む日本のスケールの小ささは、韓国が解決してくれない日本の宿命である。逆説的に、日本が今の国力に成熟した地域リーダーシップまで兼備したというなら、我々にとってもっと恐ろしい大国になるではないか。
 韓国が実力をつけて必要な存在になっていれば、歴史はおのずと自然な姿になるはずだ。」
http://japanese.joins.com/html/2003/0609/20030609173956100.html

(東亜日報)
「間抜け外交」発言と与党の出方、どっちもどっだ
「6月、臨時国会が会議を開始するや否や、空転の危機に直面した。言いたい放題、勝手放題と言う政治家特有の病気のためだ。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が日本訪問を終えて帰国の途に着く9日、野党ハンナラ党の李相培(イ・サンベ)政策委員会議長が、「間抜け外交」だとけなしたのも、与党民主党がこれを理由に国会本会議への不参加を決めたのも、常識から外れているのは同じである。その野党にその与党だと言わざるを得ない。」
http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=080000&biid=2003061087368
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 韓国のマスコミには「未来志向」の先取の気概など見られない。いつもながらの国内問題の矛先を反日感情を煽ってのすり替え論調である。韓国マスコミには国内問題を反日感情で克服するのではなく、大局観に立ち自信を持って自国を省みる堂々とした姿勢を求めたい。
(参考:黒田勝弘「韓国人の歴史観」文春新書)

日韓首脳会談の評価 投稿者:長谷川 博  投稿日: 6月 8日(日)13時13分40秒

 韓国大統領訪日、首脳会談の成果に対する新聞各紙の評価は、両国の未来指向に向けた会談および共同声明であったとしてほぼ同様に好評である。
 日韓首脳会談に対する各紙社説(6/8付)での評価を抜粋してみた。

(日経新聞)
(タイトル)日韓の協力関係をさらに発展させよう
韓国ではかつて、新大統領が就任するたびに日本に植民地支配の謝罪を求める、とされた時代があった。支持率が低迷する新政権がそうした誘惑に駆られても不思議ではなかったが、盧大統領にはそうしたそぶりはない。朝鮮半島の平和と北東アジアの共同繁栄をめざす、同大統領の「平和繁栄政策」は強固な信念に基づいているようだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20030607MS3M0701707062003.html

(産経新聞)
(タイトル)日韓首脳会談 強固な対北包囲網に期待
盧大統領は歴史問題でも、努めて冷静に対応しようとしている姿勢がうかがえた。宮中晩餐(ばんさん)会で、天皇陛下は「不幸な過去」に言及せず、未来志向的な日韓関係の構築を希望されたのに対し、盧大統領も過去に触れず、未来に向けたパートナーシップを強調した。首脳会談後の会見でも、「今回は過去の歴史に触れずにおこうと決めてきた」と語った。こんな大統領に日本国民は好感をもったのではないか。
http://www.sankei.co.jp/news/editoria.htm

(毎日新聞)
(タイトル)日韓首脳会談 温度差埋める努力続けよう
日韓関係は、時に教科書問題などで険悪になることもあるが、着実に未来志向へ進みつつある。6日の宮中晩さん会で、天皇陛下は「歴史を、常に真実を求めて理解しようと努め、その上に立って、国民間の絆(きずな)を揺るぎないものにしなければならない」と述べた。大統領が招請した天皇訪韓を、検討し始めてもよいのではないか。
http://www.mainichi.co.jp/eye/shasetsu/200306/08-2.html

(読売新聞)
(タイトル)「対北『圧力』で明白になった落差」
対北朝鮮政策で日韓両国が本当に緊密に連携できるのか。今後に不安を残した。
日韓関係の安定と発展が、北東アジアの「平和と繁栄」につながる。そのためにも、両国の認識の落差を解消する努力が必要だ。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20030607ig90.htm

 なお、6/8付朝日新聞社説はコメントしていない。さらに、韓国のWeb日本語各紙(社説)には多少報道の遅れがあり、まだコメントが見られない。