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外来語の日本語言い換え、消費税の仕入れ税額控除、台湾訪問記、給与所得控除、会計検査院報告、韓国大統領候補、若者の地理知識、政府税調答申、教育基本法改正問題など(11月15日から12月26日までの掲示板から)。


Re:外来語の日本語言い換え 投稿者:長谷川 博  投稿日:12月26日(木)01時23分40秒

 外来語の日本語言い換えについて

 外来語(カタカナ語)の日本語言い換えについて、一般的に分かりにくいから日本語表記でということは理解できる。明治維新後、福沢諭吉翁などが西洋を学び多くの日本語(漢字表記)を造り出したことにより日本の発展に寄与したことも誇れることである。
 しかし、現在の日本および国際環境において、一部ではあるが定着した外来語を日本語に言い換え(表記する)なければならないという必要性がどれくらいあるであろうか。しかも無理に訳しているものもある。
 もちろん、何でも外来語(カタカナ語)で表現したり表記することには抵抗を感ずるが、若い人は比較的外来語を受け入れている傾向があるし、日本では外来語は、カタカナ語で表記できるという意味で全ての国の言葉が日本語として表現できる特長がある。
 むしろ、大事なことは場面によっては、カタカナ語は原語を括弧書きでもいいから併記してもらいたいということである。限られたカタカナで原語の発音を言い表せないということもあるが、英語等を勉強している世代が多くなっている現在、実際にスペリングがないと発音が正確にできなかったりしており、正確な単語を理解する意味でも、日本語に言い換えるより、むしろカタカナと原語との併記を望むものである。
 そして、このことは、話すときに使う場合には説明を加えるとか、場合によっては分かりやすい言葉に直して話すとかの工夫が問われている問題でもある。文章に表記する場合には、むしろ原語を併記することで問題がないと思われる。


外来語の日本語言い換え 投稿者:長谷川 博  投稿日:12月26日(木)01時21分58秒

「納得診療」使おう 国語研究所が外来語言い換え例発表

 インフォームド・コンセントは「納得診療」、バリアフリーは「障壁除去」……。国立国語研究所は25日、63の外来語についての言い換え例を発表した。公的機関が、こうした形でまとめたのは初めて。「分かりやすい日本語のための一つの参考」だという。
 今春開かれた経済財政諮問会議で、小泉首相が、省庁側の説明にバックオフィス、インキュベーターなどカタカナ言葉が続出したことに「町内会の人たちは分かるのか」と怒った。
(以下略)
 ■国立国語研究所が提案する外来語の言い換え■
アイドリングストップ 停車時エンジン停止
アウトソーシング 外部委託、業務委託
アクションプログラム 実行計画、行動計画、実行手順
アクセス (1)接続、接近、利用、参入(する)(2)交通の便、交通手段、到達手段
アジェンダ 議題、課題、行動計画
アセスメント 査定、影響査定、影響評価
アナリスト 分析家、分析専門家
アメニティー 快適性、快適さ、心地よさ
インキュベーション 起業家育成、起業家支援、新規事業育成、新規事業支援
インサイダー 内部者、部内者、内部
インターンシップ 就業体験、就業実習
インタラクティブ 双方向の、双方向性、双方向的
インフォームド・コンセント 納得診療
オピニオンリーダー 世論先導者
オンデマンド 注文対応、受注対応
ガイドライン 指針、指標、手引
コミット 関与、かかわり、参与、約束、確約(する)
コミットメント 関与、約束、確約
コンセンサス 合意
コンソーシアム 共同事業体、事業連合(体)
コンテンツ 情報内容、内容、番組
サーベイランス 監視、調査監視 
シーズ 種子、萌芽(ほうが)、新技術
シェア (1)占有率、市場占有率(2)分かち合い、分け合い、共有(する)
シフト 移行、切り替え、転換(する)
シンクタンク 研究機関、調査機関、調査・研究機関
スキーム 枠組み、計画
スクリーニング ふるい分け、選別
スケールメリット 規模効果、規模拡大効果
ストックヤード 分別ごみ(の)一時保管所
セカンドオピニオン 別の医師の意見
セキュリティー 安全性、安全対策、保安
ゼロエミッション 廃棄物ゼロ、廃棄物完全再利用
タイムラグ 時間差、時間のずれ
デイサービス 日帰り介護
デリバリー 配達、宅配
トレーサビリティー 追跡可能性
ノンステップバス 低床バス、無段差バス
ハーモナイゼーション 調和、協調
バックオフィス 事務部門、管理部門、事務管理部門
バリアフリー 障壁除去
フィルタリング 選別、情報選別
フェローシップ 研究奨学金、研究奨励制度
フォローアップ 追跡調査、補足改善(する)
プレゼンテーション 発表、提示、企画提示、提案説明
フレックスタイム 時差勤務、自由勤務時間
プロトタイプ 原型、試作モデル、典型
ポジティブ 積極的、前向き、肯定的
マスタープラン 基本計画 
メンタルヘルス 心の健康
モータリゼーション 車社会、車社会化
モチベーション 動機付け、やる気、意欲
モラトリアム (1)支払い猶予、債務支払い猶予(2)一時停止
ユニバーサルサービス 均一料金サービス、均一料金事業
ライフサイクル (1)生涯過程、一生涯(2)循環過程
ライフライン 生命線
リーフレット 手引、案内、説明書、ちらし
リニューアル 改装、改修、刷新(する)
ワーキンググループ 作業部会
インパクト 衝撃、影響
ケア 介護、看護、手当て、手入れ
ノーマライゼーション (健常者と障害者が分け隔てなく生活できる社会)=言い換え例なし
キャピタルゲイン 資産収益、資産益
http://www.asahi.com/national/update/1225/049.html

消費税の仕入税額控除方式 投稿者:長谷川 博  投稿日:12月19日(木)14時35分44秒

 本来は、掲示板での質問にはお答えしないことになっているのですが、重要なテーマでもありますのでお答えします。

 日本の消費税は、フランス等の付加価値税と異なっています。簡単に言うと、多段階消費税としてフランスと同じく「仕入税額控除」を採用していますが、日本の場合には仕入税額控除の要件が厳しく、仕入税額が認められないで課税される(売上に対する消費税だけ)ケースが増えてきています。

 付加価値税のポイントは、仕入税額控除を通じて税の累積を排除することですが、ヨーロッパの場合にはいわゆるインボイス(仕送状)や請求書に税額が記載されていることを条件に控除しています(インボイス方式)。
 これに対し、日本では、消費税導入時の業者(中小事業者)の反発を抑えることもあり、そうした特別のインボイスを必要とせず、納税者の帳簿の記載で控除を認める方式を採用しました(帳簿方式)。

 導入当初、消費税の反発を和らげる意味もあり、仕入税額控除の要件は緩やかに解されてきましたが、平成6年に「帳簿及び請求書」の保存が必要となり、帳簿の記載内容も、@売上先の氏名又は名称、A売上年月日、B売上資産等の内容、C税込価格を整然かつ明りょうに記載しなければなりません。
そして、帳簿(又は請求書)は原則7年間保存しなければなりません。

 導入されて現在まで、帳簿方式が定着し十分な成果を挙げているといわれており、実務的には今後特別にインボイス方式にする必要性はないと言われております。
 インボイス方式には、業者登録番号制度の問題やインボイスが仕入税額控除の金券として悪用される恐れがあるなどの問題もあります。
 事務負担的には請求事務と帳簿記載事務のほかにインボイスの発給や整理計算事務を独立させないでも済むという点で、日本的帳簿方式も有効なものと考えられます。

消費税事務負担 投稿者:Nori  投稿日:12月19日(木)11時19分02秒

 WEB上で、インボイス方式についての
資料を拝見いたしました。

 現在私は、日本の現行の請求書等保存方式と
インボイス方式のどちらが優れているかを検討しています。

 私見では、インボイス方式のほうが転嫁、制度の透明性の点で優れており、
零細企業への事務負担コストを除くならば、よりよい制度かと考えております。
(他にも利点、欠点はもちろんありますが)。
 そこで、事務負担コストについて、実務家である長谷川先生に質問したいことがあり
ます。世間では、事務負担、事務負担といいますが、中小事業者でも所得が30
0万を越すのであれば、確定申告の必要があり財務書類の作成が義務付けられて
いると思います。したがって、零細企業似の事務負担を考慮しての免税措置は、確定申告のための財務書類の作成を出来ている現在、存続したほうがいいのでしょうか?
 さらに、パソコンを導入すれば決算書はいたって簡単に作成する
ことが出来ますのでなおさら問題ないと考えます。

 お忙しいところ済みませんが、是非実務家である長谷川先生よりご感想賜りたく
申し上げます。


台湾訪問記 投稿者:長谷川 博  投稿日:12月19日(木)11時18分01秒

 台湾訪問記
1.12月14日(土)から17日(火)まで、税理士会(東京地方税理士会の役員15名)と台湾(中華民国)の税務会計記帳代理業職業工会(連合会)との友好協定にもとづく定例の相互訪問として、台湾に行ってきました。
急に決まった(先月のAOTCA京都国際会議で)日程で、しかも土・日(台北観光)を入れて公式行事(台中)は月曜日だけです。
訪問先(内容)は、台中国税局(局長自ら税制の概要を説明)、台中市役所(副市長が市のビジョンを説明)、そして税務会計代理業組合との懇談です。
いづれの熱烈歓迎には驚きました。食事もおいしかったです。

2.個人的には台湾に友人がおり、彼が日本留学(30年前に9年間)のとき同級生(3年間)であった国立中正大学法学院教授院長(行政法・憲法法学博士)で考試院試験委員(国家公務員の試験委員)等でもある江義雄先生夫妻が嘉義市から台北まで4時間かけて会いに来てくれました。
少ない時間ではあったが、訪問団員の2名とともに台湾の税務行政についてヒアリングをしました。
その中で、台湾の行政不服審査である訴願制度は、審査官が外部から2分の1以上導入されていると聞いて驚きました。訴願の多くは税務関係だそうです。(外部審査官は5分の1、3分の1となって現在2分の1となっているそうです。これには友人の江先生の影響もあるようです。)
訴願の後司法審査をするという点は、日本と同じです。
江先生には来年の4月くらいまで、台湾の行政訴願制度等について日本語でレポートを書いてもらうことをお願いしておきました。

3.台湾の基礎知識を紹介します。
台湾は5権分立で、立法院(国会)、行政院(内閣)、司法院(裁判所)、考試院(公務員登用)、監査院(公務員の弾劾)です。

行政院の下に、省政府と直轄市政府の自治体があり、歳入の内訳としては次のよ
うになっています。
    
国税  直接税 所得税(個人、法人)、遺産税、鉱区税、証券取引税
    間接税 関税、物品税

地方税 直接税 土地税、土地増値税、地価税、田賦、家屋税 家屋取引税
    間接税 営業税、印紙税、鑑札税、港湾税、娯楽税

税収割合は、国税60%、地方税40%くらいです。

全企業110万社中中小企業が98%となって、李登輝前総統が日本型を真似た経済システムを構築したと聞いています。

4.2001年から電子申告がスタートし、フロッピー申告とインターネット申告が行われており、法人のインターネット申告割合は46%くらいだそうです。インターネット申告に税務会計記帳代理業組合の果たしている役割が大きいということです。

5.税務会計記帳代理業は国家資格になっていないので、日本・韓国のような税務士制度にすべく国会活動中ということです。(因みに、台湾の税務会計記帳代理業組合と韓国税務士会とは友好協定を結んでおり、韓国の税務士制度を目指しているようです。なお興味深いのは、日本語を介して懇談を行っているということです。)
中小企業が多いのでこの業界の仕事の役割が大きいのですが、最近は企業の中国進出のため、付いて行く中小企業も多く業界も厳しくなっているようです。
業界(役員)は女性が多く、国際委員のメンバーは年配ではあるが日本語を堪能に話できる方も多いので、懇親会は花が開きました。

6.台湾には、25年位前に2回、その後10数年前に訪問していますが、昔とは大きく変わっていました。2〜3年前から不景気のようですが、言論の自由が保障されたのは95年からですから、今後行政改革などいろんな改革が進んでいく気配が感じられました。
それにしても、日本が中国に気兼ねして、親日台湾を軽視している状況は改められなければならないという意を強くした次第です。

なお、台湾を知るには、司馬遼太郎さんの「台湾紀行」の一読をお勧めします。

給与所得控除について 投稿者:長谷川 博  投稿日:12月12日(木)23時07分28秒

 先ほどNHKのニュースを見ていたら、給与所得について、給与収入から諸控除を差し引いて課税所得という説明でした。

 正確には、給与収入から給与所得控除(みなし経費)を差引き給与所得、そこから各種所得控除を差引いて課税所得というべきでしょう。
 もちろん主題は、今度の税制改正で出てきている配偶者特別控除と特定扶養控除の廃止・見直しについての説明ですが、一般的に昔から給与所得控除(みなし経費)の問題が大きく議論されませんね。
 最近、給与所得控除の引き下げ議論が出てきてはいましたが、政府税調でもあまり議論していないようですし、もちろん自民税調でも議論が出ていないようです。
 給与所得者の4分の1くらいが、給与所得控除が大きくなっているため納税していないことは果たしてこれで良いのか、という意見にも耳を傾ける必要があります。
 給与所得控除が少しずつ大きくなってきた背景には、与野党(自民・社会党等)の政治的駆け引きがあったわけであるが、構造改革はこれも聖域にすることなく議論すべきです。

サラリーマンの税制に異議あり 投稿者:homelessworkless  投稿日:12月11日(水)17時16分58秒

 終戦直後シャウプ博士の来日以後申告納税制度が始まって以来、諸人的控除の増加のスピードがインフレの進行率と比較して極端に低いと感じます。きょう日、年間38万円でどうやって「最低の文化的生活」を送れというのでしょうか。加えて「クロヨン」だの「トーゴーサンピン」だのマスコミが騒ぐたびに世論も反応して大衆課税が強化されてきた経験があるのに、またぞろどこかの総理大臣が日本の「課税最低水準は高すぎる」とのたまい、それに追随するマスコミの底の浅い論調も散見されます。この数字が三百数十万あるのはあくまでも給与所得控除が適用されるサラリーマンのみであり、諸外国と比較するなら純然たる所得控除のみで行うべきです。見え透いたトリックとしかいいようがありません。

 かくなる上は給与所得控除も廃止し実額での経費計上のみによってサラリーマンの所得税も決定されてしかるべきと思いますがどうでしょう。そもそもなぜ人に使われているというだけで、無条件に経費的な控除が決められるのでしょうか。業種業態、働き方、生活の内容、本人の健康状態などによっても大きく変わってくるのが経費のはず。実質課税主義とも大きく矛盾するし年末調整の制度とも合わせてざっと考えつくだけでも以下のような問題があると思うのです。
1.我が国最大の納税者集団が申告納税制度の埒外に置かれているも同然であること。
2.税制に対する知識不足から、減税などの政策意図が国民の中に期待されるスピードでひろがらないこと。結果として経済政策も失敗します。今では大衆課税分野の減税が経済政策からパージされていると感じます。
3.労働文化が大きな曲がり角に達しつつある現在、会社が個人的情報を握ってしまうのはどうかと考えられること。たとえば社員のAさんは誰を扶養し、奥さんは働いていてその給料はいくらで、扶養家族の中に障害者がいて、生命保険はいくら払いいくらもらえ誰が受取人で、○○党に献金していること(あれ、これは確定申告でしたか)など、年末調整を通じて会社が知ってしまうことになります。そりゃ、税務署員なら守秘義務があるでしょうが、口さがない総務部のOLの会話にこの手の話がのっかっているのを何度も聞いたことがあります。
4.労働文化の変化は別の意味もあります。きょう日のサラリーマンは毎日サービス残業を強いられ、労働諸法の保護もあまりあてにはならず、成績が上がらないとリストラの憂き目にあいます。こうなると自営業者とどこがどう違うのか不思議です。給与所得控除の存在意義はどこにあるのでしょうか。
5.クロヨンだのなんだのというなら、個人事業主と条件を一緒にすればよいのではないでしょうか。その上で元来イギリスの1/10ほどしかいないという税務署員をもっと増やして、実調率3%といわず税務調査を増やせばいいのです。もちろんサラリーマンにもねちねちとした税務調査がくるし、年金も国民年金だけ。第二号被保険者も廃止して専業主婦も年金保険料を支払う、老齢給付も年間80万ちょっと。そうすれば企業も社会保険料の負担がなくなり、資金繰りが楽になります。結果リストラ圧力もかなり軽減するでしょう。
6.バブルだ何だというお話は、その大きな背景の一つに社会の中に健全な損益感覚がないためと考えられます。自己の生産に対する公的な評価を自分でできない集団が、これからも生産の成長率を維持できるでしょうか。自分の所得は自分で計算し、税金は身銭で払う、これが一番すっきりしていいのでは?記帳は税金を計算するのが一番大きな目的ではありません。
7.給与所得控除と基礎控除のバランスがいかに悪いかはサラリーマンの特定支出控除の申請率を見れば一目瞭然。基礎控除をふやして給与所得控除をへらすぐらいのことがあっていいと考えます。
8.昨今の国民の政治離れの有力な原因の一つに健全な税痛がないことがあげられます。苦労して払った税金が、どんな使われ方をしたのか全く意に介さないのは年末調整を含む源泉徴収制度が原因の大きな一つと考えられます。

 失業して2年近くになりますが言いたいことがいえてすっきりしました。文章が過激なのは境遇のせいとお笑いください。どこに書いてもほとんど反応がないもので。ひょっとしたら税の専門家は制度批判や論議が禁止されているのではないのですか?もっともその多くが前身がお役人ですから無理もないかとは思いますが。

 ところでサラリーマンの総申告制が2005年に始まるとのニュースがありましたが、あれはどうなたのでしょう。もし本当なら啓蒙のためのキャンペーンをやらないと間に合わないのでは?それともわざと失敗させる目論見でもあるのでしょうか。

会計検査院の検査報告 投稿者:長谷川 博  投稿日:12月 2日(月)03時41分35秒

読売社説(12/2)から
 [検査院報告]「官庁にチェック機能はないのか」
 あってはならない不正な経理処理や、でたらめな支出が、あまりにも堂々と行われていることに、改めて驚く。
 会計検査院の二〇〇一年度決算検査報告がまとまった。中央省庁や政府機関の決算をチェックし、不適切と指摘したものは、予算の無駄遣いを含めて約三百件、総額で二百四十三億円にのぼった。
 実態は一向に改まらない。改善措置や予算の返還を求められた行政機関は、猛省すべきである。
 悪質極まりない経理操作の代表例は、外務省の裏金(プール金)作りだ。
 職員のハイヤー代水増し請求などの不正が発覚した外務省は昨年十一月、内部調査の結果として、六年余りで二億円近いプール金があったと発表していた。
 ところが、検査院の調査では、プール金は調査対象期間前からすでに一億円以上もあり、残額を含めた総額は約四億六千万円にのぼっていたことが判明した。腐りきった体質と言うほかない。
 同省は検査院の指摘を受け、懲戒処分を含め三十九人の追加処分を決めた。
 検査院報告では、同省が所管する多くの国際機関で、巨額の予算が毎年繰り越されている実態も明らかになった。チェック機能が働かない同省の体質に、根本的な問題がある。
 農林水産省のBSE(牛海綿状脳症=狂牛病)対策費のでたらめな支出も、改めて指摘された。
 BSE発生後の昨年十月から全頭検査が始まり、それ以前に解体処理された牛肉は緊急保管事業の対象となった。業界団体が事業主体となったこの事業では、保管代に加えて、冷凍に伴って味が落ちる分に対する補償費として、合わせて八十七億円の助成金交付が決まった。
 事業対象となった牛肉の中から、検査院が一部を抽出して検査した結果、半分強がBSEの発生前に冷凍されていた。味落ち分に対する助成金は、チェックもなく、それらにも支出されていた。
 検査院が適切に使われなかった支出金の返還を求めるのは当然である。だが、それだけで済む問題ではない。
 BSE対策では、昨年度は約千五百億円が使われ、今年度も約二千億円が投入される。事業のずさんな運用に対して、同省は責任の所在を改めて明確にする必要がある。
 不正な経理処理やずさんな予算執行に共通しているのは、官庁内部のチェック体制の甘さである。監査部門を独立させて権限を大幅に強化するなど、官庁自身が真剣に取り組まなければ、行政への不信は膨らむばかりだ。
http://www.yomiuri.co.jp/08/20021201ig91.htm
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 前に日本の会計検査院の重要性について書いたことがあるが、検査院の組織力の問題もあり政治的に話題となった行政機関への監査が重点となっている。検査院の組織力が強化され、隈なく検査ができれば今の10倍位の税金の無駄遣いが発見されることだろう。
 読売社説は、「官庁内部のチェック体制の甘さである。監査部門を独立させて権限を大幅に強化するなど、官庁自身が真剣に取り組まなければ、行政への不信は膨らむばかりだ。」と指摘するが、各行政部門の内部チェックには期待することは不可能であり、また、現在の総務省の行政監察機能にも期待できない状況にあり、現行の会計監査院の権限にも限界がある。
 検査院の組織を強化し、監察の権限を付与するか、総務省から独立した監察委員会を設けるなどして税金の使途のチェックをしていかなければならないと思われる。
 現代租税国家においては、税金の使途を監視する機能の見直しがなされなければならない。


民主・自由党の新党構想について 投稿者:長谷川 博  投稿日:12月 2日(月)02時43分57秒

民主・自由党の新党構想について

(朝日新聞社説12/1)
民主党――自立もできずに新党とは
 野党第1党の党首が政権をめざして野党の結集に努めるのは当然である。衆院の早期解散を見越して打って出たいという思いなら、それも分からないではない。
 しかし、鳩山民主党代表による自由党との新党結成への動きは理解に苦しむ。
 どういう理念、政策の新党を作り、与党をどう揺さぶるのか。鳩山氏からも小沢自由党党首からもそれが聞こえてこない。両党は成り立ちも体質も異なる。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

(毎日新聞視点12/1)
野党結集構想 根無し草では定着しない
 野党の存在感が薄い。
 「無気力国会」の責任の多くは野党にある。10月末の統一補選では1勝しかできなかった。11月初めのNHK世論調査によると、野党第1党・民主党の支持率は3%弱で、野党支持率を合わせても与党の4分の1だ。
 野党が実力と迫力ある態勢を整え、与党に対立軸を示すことは健全な国会運営には欠かせない。
(中略)
 民主党や社民党だけでなく、自民党も支持基盤が流動化している。一方、政治家個々人の政策と所属政党にねじれが見られる。政権交代体制を作り上げるためにも政党の再編は必要である。
 しかし、閉そく状況打開を求める国民から目を背けた根無し草の政党再編は定着しないことを肝に銘じるべきだ。
http://www.mainichi.co.jp/eye/shasetsu/200212/01-1.html
//////////////////////////////////////////////////////////
 民主・自由党の統一会派・新党構想は、政界再編の起爆剤として注目したい。
今の日本経済の閉塞状況の打開のためにも、政治が変わらなければならない。新聞・マスコミは、総じて批判的であるが、明日の日本・国民のために少しでも政治が変わらなければならないだろう。
 一番先に求められることは、デフレ経済を打破するための政策(たとえば、官僚機構改革と政策インフレや税制改革など)であり、それができない小泉政権の交代でなければならない。
 今の与党(自民党の抵抗勢力)には、ただ従来型の族議員的景気対策(公共事業優先)と赤字国債増発の対応しかないので、与党再編も視野に入れた政界再編が求められる。
 その起爆剤として、今回の民主・自由新党構想により発展的に日本の政治状況が変わるというプラス効果に期待したい。

韓国大統領候補者を世論調査で選出 投稿者:長谷川 博  投稿日:11月25日(月)14時30分01秒

 韓国の大統領候補者選出方法として採用した世論調査について、朝鮮日報から紹介する。

(朝鮮日報から)
盧武鉉氏が単一候補に確定
 新千年民主党(民主党)の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領候補が24日、民主党と国民統合21間の大統領候補単一化のための世論調査の結果、鄭候補を制し、両党の単一化候補に確定された。 
 これを受け、12月の大統領選の構図はハンナラ党の李会昌(イ・フェチャン)候補と民主党の盧武鉉候補の2者対決で行われることになった。
 民主党の申溪輪(シン・ゲリュン)候補秘書室長と閔昌基(ミン・チャンギ)選挙対策委員会遊説委員長はこの日夜12時、ソウル江南(カンナム)の某ホテルで共同記者会見を開き、R&Rとワールドリサーチの2つの世論調査機関に依頼して調査した結果を発表した。
 両氏は「ワールドリサーチの調査は無効となった。有効のR&Rの調査結果、盧候補がリードしたことが明らかになり、盧候補が1対0で優勢、単一候補に確定された」と発表した。
 この日の世論調査で使われたアンケート項目は「ハンナラ党の李会昌候補と競争する単一候補として、盧候補と鄭候補のうち、誰を支持するのか」ということだった。
 R&Rの調査結果、盧候補は46.8%を獲得、42.2%を得た鄭候補をリードした。李会昌候補の支持率が低く出たため、無効となったワールドリサーチの調査結果は、盧候補38.8%、鄭候補37.0%だった。
(後略)
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2002/11/25/20021125000004.html

(朝鮮日報社説から)
「李・盧対決」を生み出した世論調査
(前略)
 しかし、それに先立ち、今回の候補単一化過程で使われた世論調査の問題点を指摘しないわけにはいかない。
 新千年民主党(民主党)と国民統合21から参加要請を受けた主な世論調査機関の大半が要請を断ったという。少なくとも売上高などの面で業界5位ないの世論調査機関は揃って参加しなかったわけだ。
 その理由は表向きでは様々だが、基本的には「世論調査は今回のような重要な政治行為の決定の道具に使うものではない」という考えに基づいている。
 また、調査に参加した場合、その結果の妥当性、公正性に関する論議に巻き込まれることを懸念しての判断と伝えられている。 
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2002/11/25/20021125000014.html

世論調査機関が避ける「世論調査」
 今回の「単一化世論調査」に新千年民主党(民主党)と国民統合21から参加の要請を受けた主な世論調査機関の大半がこれを固辞したという。少なくとも、売上高など様々な面で業界5位以内にランキングされると思われる世論調査機関はすべて参加しなかったということだ。 
(中略)
 このような点で、今回は仕方なかったとしても、今後はこのような“憲政史上初の方式”が2度と繰り返されてはならない。有数の世論調査機関が避けた世論調査であるとすれば、それ自体が正常なことではないのだ。 
 あえて候補単一化をするとしたら、一方が自ら判断し、もう一方に候補の座を譲るか、2人の候補が直談判して決定するのがはるかに良いだろう。世論調査は単なる世論調査に過ぎないからだ。
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2002/11/24/20021124000025.html


日本人(若者)の地理知識 投稿者:長谷川 博  投稿日:11月23日(土)18時15分27秒

「政治や宗教、日本は苦手」 世界の若者の地理知識を調査

 日本の若者は世界情勢に疎い?――。非営利の科学・教育団体「ナショナルジオグラフィック協会」(本部・米ワシントン)の地理知識調査で、世界の政治や宗教などの問題で日本の若者の正答率が低いことが20日分かった。全体の平均正答数では調査した9カ国中5位だった。「タリバンの拠点国」という問題では、米国の正答率が最下位となる意外な結果も出た。
 調査は今年5、6月に、日、米、仏、独、伊、英、カナダ、メキシコ、スウェーデンの9カ国で、18歳から24歳の学生を対象に面接形式で実施。約2900人から回答を得た。テーマは地理、社会情勢、宗教、政治など。
(以下略)
http://www.nikkei.co.jp/weekend/news/20021121e3mi02f121.html
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 算数や理科などそして英語力の低下も指摘されているが、地理の知識も低下しているという。
これは、教育のあり方に問題があるだけでなく、日本の国力の低下にも繋がって行くのではなかろうか?
 もっと基礎的な知識が身につけられるような教育が問われていると思われる。

政府税調答申の問題点 投稿者:長谷川 博  投稿日:11月21日(木)23時25分30秒

 11月19日政府税制調査会答申の問題点

 答申は、当初は減税が先行するが、後年度には増税でそれを穴埋めする「多年度税収中立」の方針を掲げ、税制改正法案に「減税措置と増税措置の双方を盛り込むべきだ」としている。これは今後の経済情勢にかかわらず、決められた増税を決められた時期に実施することを意味し、減税効果を減殺するものである。
 本当の意味での減税政策の議論が来年度に先送りされている。負担増として、小規模事業者だけに適用されている消費税の免税制度や簡易課税制度の廃止・縮小は、両制度に実質的な益税があるとはいえない。次の自民党税調での議論が待たれるところである。
 増減税中立策の失敗例は、1997年度の税制改正で、当時の橋本内閣は既定方針通りに消費税率を引き上げ、所得税の特別減税を廃止したこと。経済が失速していた時期での増税であった。この増税が景気回復の芽をつみ、同年秋には山一証券、北海道拓殖銀行など証券、銀行が連続して破綻した。
 減税措置として、企業の活性化策は、研究開発・投資減税に重点が置かれ、法人税率の引き下げは減税規模圧縮のため見送られた。沈滞ムードを打破するには、企業が元気を出すことが必要であり、法人税引き下げは、景気回復の牽引(けんいん)車となる企業のやる気を引き出す契機と考えられる。
 証券税制では、株式譲渡益課税の優遇措置の簡素化と、配当や投資信託からの所得を合理化する考えが示された。これでは、個人金融資産を貯蓄から投資に誘導し、証券市場の安定を図るのは難しい。
 相続・贈与税では、70%の最高税率の引き下げとともに、両税を一体化する
ことで生前贈与の負担を軽くする「相続時精算課税制度」の導入が明記された。
 しかし、同時に基礎控除の縮小など、相続税の課税ベース拡大もうたわれた。一人当たり一千万円の控除が大幅に縮小されれば、生前贈与のメリットは薄れ、景気刺激効果も失われる。次の舞台は自民党税制調査会に移る。「デフレ脱却につながる税制の構築」こそ、政治に課せられた使命といえよう。
(読売社説11/20参照)

教育基本法改正について 投稿者:長谷川 博  投稿日:11月15日(金)19時44分33秒

11月15日付・読売社説から
 [教育基本法]「改正を『再生』への一歩としたい」

 戦後教育の転換点となりうるかどうか。
 文部科学相の諮問機関である中教審が、教育基本法改正案の中間報告を答申した。
 戦後、タブー視されることの多かった、愛国心や伝統の尊重、家族の役割重視などを打ち出しているのが、最大の特徴だ。日本人のアイデンティティー形成を意識したものと言っていい。
 基本的に、賛成できる方向だ。
 GHQ(連合国軍総司令部)の干渉を受けながら一九四七年に制定された基本法は、「個人の尊厳」「人格の完成」をうたっている。その一方、個人と国家、伝統などとの結びつきは、意図的にあいまいにされた。
 戦前の教育が、偏狭なナショナリズムを生んだとの見方に基づく。
 だが、国や伝統とのつながりを排除したことによって、失ったものは大きかった。よりどころがなくなったことで、基本法に掲げられた理想すら、実現にはほど遠いのが現状だ。
 個人を超えたものが存在することを知らないままでは、子供が自らを律し、目的を持って生きていくことは難しい。
 他の先進諸国に比べ、日本の子供は規範意識や社会に貢献する気持ちに乏しいとの調査結果もある。これも、教育理念の空洞化と無関係ではあり得ない。
 保護者の大多数が基本法の内容すら知らないという調査結果は、基本法が定着していないことを示している。
 愛国心や伝統の尊重、家族の重視などは、国による価値観の押しつけだとする反対意見も、依然根強い。
 しかし、社会が目指す方向性を国が示すことは必要だ。それを否定すると、今の基本法すら成り立たなくなる。
 個人の自発性は尊重しなければならないが、現状ではそれが放縦に流れる傾向が目立つからなおさらだ。
 「教育は個人のため」と主張し、個人と公とのつながりを否定するのが、反対論者の主張だ。しかし、それは、事の半面しか見ていないものである。
 教育の理念と方法を示す教育基本法制定の動きは、近年の先進諸国に共通のものだ。国家戦略としての教育指針は国際競争に勝ち抜くためにも不可欠、との観点に立ったものである。
 新たな教育指針の構築は、過去の“失敗”の総括が前提だ。
 その点で、中間報告には不満も残る。今の基本法に新たな条項を付け加えるだけで、戦後教育のゆがみを、真正面から見据えていない。本来なら、基本法全体を根本的に見直すほどの姿勢が必要なはずである。
http://www.yomiuri.co.jp/08/20021114ig91.htm
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 敗戦後GHQ支配下で制定された「教育基本法」の見直しは、憲法の見直しと同様にタブー視されてきたが、遅きに失する感もある。
 国家の存亡を考えるとき、その基本には国を愛する気持ちや公の意識が当然になくてはならないものであるが、昨今の経済危機に対する意識、国際テロや核に対する抵抗精神、自己防衛・自国防衛の精神など、教育の中から培われてこなければならないものであろう。
 世界情勢が変わっている今日、過去の不毛な議論を繰り返してはならない。明日の日本を考えた建設的な議論がなされことを期待したい。