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小泉税制改革(4月2日から6月23日までの掲示板から)


検証・税制改革 投稿者:長谷川 博  投稿日: 6月23日(日)21時41分47秒

(朝日新聞から)
■検証・税制改革 与党と官僚に手綱握られた
・「なぜ、そんなもんが入ったんだ」
・小泉を追い込んだのは、小泉自身だった。
・「『税制改革を財務省が牛耳っている』と批判されています」
・竹中は企業減税、財務省は増税狙い
・「減税案」は結局外形課税に化けた
・板挟みの塩川は持論曲げ頭下げた
http://www.asahi.com/paper/front.html

(朝日新聞社説6/23))
■諮問会議──首相、あなたが議長だ
(前略)
 問題の核心は、諮問会議議長である小泉首相が、改革のためのリーダーシップを十分に発揮していないことである。
 小泉内閣は支持率の低下とともに、霞が関・永田町という旧来のシステムに頼り始め、それが改革に期待する国民の失望と不信を招く、という悪循環に陥っている。
 首相に強固な意志と気迫さえあれば、改革のための武器として諮問会議を立て直し、「抵抗勢力」と対峙(たいじ)することができるはずである。
 構造改革を続ける意志があるのかどうか。小泉首相はそれを問われている。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html


税制改革基本方針への批判 投稿者:長谷川 博  投稿日: 6月22日(土)15時17分54秒

(産経新聞主張から)
主張 改革の原点に立ちかえれ
【骨太方針】
 政府が、新たな経済社会に向けた骨太の方針・第二弾を決めた。民間活力を高める政策は、新味を欠き、中途半端だ。首相の主導で肉付けを急がなければ、改革と景気の共倒れを招きかねない。
 経済財政諮問会議がまとめた骨太方針は、供給側の改革に重点を置いた一年前の第一弾から、需要の掘り起こしや本格的な「小さな政府」の実現へ改革の輪を広げるという。
 経済活性化戦略では、科学技術や人材育成など六分野で三十の行動計画を示した。新しい技術と需要の出会いで成長の芽を育てる。また、特定地域で規制緩和を試みる「構造改革特区」を導入し、国の財政補助などに頼らず、地域の特性を生かした振興策につながるなら、大いに歓迎だ。
 しかし、大胆な活性化策にはほど遠い。本丸に据えるべき税制改革論議は迷走し、全体像が不透明だ。政府・与党で合意した研究開発促進などの先行減税の効果は乏しい。経済活性化や景気より財政の論理を優先する財務省の主張を打ち崩せなかった。
 もう一つの柱は、来年度予算編成での歳出改革だ。一般歳出などを今年度水準以下に抑え、重点配分は今年度の七分野から四分野に絞る。
 問われているのは、予算の規模から質への転換だ。公共投資やODA(政府開発援助)をゼロから洗い直す。補助金行政の解消、公務員の定員削減や給与の引き下げに大ナタを振るわなければ、改革の名に値しない。
 ご多分に漏れず、今回の方針も、官僚や与党の抵抗で、素案に比べ大きく後退した。食い散らかされ、色あせた政策では、構造改革に対する国民の共感はとても得られまい。
 活力ある自立型社会をめざし、民間にできることは民間に委ねる。「聖域なき改革」の原点に立ち返り、小泉純一郎首相の指導力で、政策の肉付けを急ぐ必要があろう。
 威勢のいい標語を掲げる時期はもう過ぎた。首相は、経済財政運営の司令塔である諮問会議に明確な政策の方向性を示し、改革の意義や具体的な将来像を国民に語るべきだ。
 景気は底離れをうかがう微妙な段階にある。持続的な成長路線に向け、デフレの克服と改革を後押しする果断な政策をためらってはならない。
http://www.sankei.co.jp/news/editoria.htm

経済財政諮問会議の税制改革基本方針 2 投稿者:長谷川 博  投稿日: 6月22日(土)15時15分17秒

 3.税制改革の視点
 税制改革の検討は、次のような視点に立って行うこととする。
(1)第1に、日本経済の活力の回復を最重視する。課税ベースを広くし税率を低く抑えることを基本とすることで、企業や個人の活力を支える。また、法人に対する課税においては、国際的視野にたって検討し、競争力を強化するための改革を行う。
(2)第2に、多様なライフスタイルの下で、国民一人一人が個性と能力を十分に発揮する。男女共同参画社会の実現が重要な課題であり、仕事と育児の両立のための環境整備を進めるとともに、女性の就業を始めとするライフスタイルの選択に中立的な社会制度の構築を進める。
(3)第3に、歳出改革と一体として進める。税制改革は徹底した歳出削減とともに行い、簡素で効率的な政府をつくる。「改革と展望」に基づき、財政収支を中期的に改善していく。
(4)第4に、社会保障制度改革と整合性をとって進める。社会保障負担と税負担を総合的にとらえた改革を行い、持続可能な財政構造と社会保障制度を構築する。今後、高齢化が進展するにつれて国民負担率は上昇することが見込まれるが、国民に提供するサービスとそれに見合う国民負担のバランスを再検討しつつ、可能な限り国民負担率の上昇の抑制をめざし、世代間の受益と負担の公平を図る。
(5)第5に、地方行財政制度の改革と一体として進める。地方分権を推進するために、地方の行財政と税制の本格的な改革を行う。歳出・歳入の両面で、国の関与を最小限に抑え、地方自治体が権限と責任をもつことを目指す。
(6)第6に、すべての人・企業が公正に負担すると同時に、真に必要な場合には、低所得層等に配慮する。
 4.税制改革の進め方
(1)<はじめに>で述べた理念に基づく今次税制改革は、2003年度に着手し、“広く薄く”等の理念の下、本格的かつ構造的な税制改革に取り組むとの考え方に立ち、可能なものから順次実施し、「改革と展望」の期間内(〜2006年度)に完了させることを目指す。なお、時限的な政策税制を行う場合も、税制改革全体との整合性を保つことが重要である。
(2)また、現在の厳しい財政状況をふまえて、税制改革は「改革と展望」に基づき、財政規律を重視しながら行うこととし、税制改革の財源は、原則として国債には依存しない。
(3)「改革と展望」の期間内に、国と地方双方が歳出削減努力を積み重ねつつ必要な行政サービス、歳出水準を見極め、また経済活性化の進展状況および財政事情を踏まえ、必要な税制上の措置を判断する。
(4)「改革と展望」に基づき、2010年代初頭に国と地方を合わせたプライマリーバランスを黒字化させることを目指す。
 そして、将来にわたって国民負担率の上昇を抑制することを目指す。
 5.税制改革及びそれに関連する検討項目
 「めざすべき経済社会の姿」を実現するために、今後の税制改革及びそれに関連する検討項目は以下のとおり。
(1)持続的な経済成長を実現するために
「広く薄く簡素に」の観点から、所得税・住民税・法人に対する課税の負担構造を検討する。法人に対する課税については、その実効税率の引下げと課税ベースの拡大を検討する。その一環として、法人事業税の外形標準課税について、「改革と展望」に示した考え方に沿って検討する。研究開発投資やIT投資等を税制でも促進できるよう検討する。金融資産課税の見直しと有効利用を促す土地税制を検討する。
(2)多様なライフスタイルのために
就労などの選択に歪みを与えないよう、配偶者に関する控除等に関し検討する。検討に当たっては、社会保障制度見直しとの関連にも十分配慮する。相続と生前贈与の選択を歪めない税制を検討する。また、寄附等に対する課税の見直しを検討する。
(3)長期にわたる安心の確保のために
急速な人口高齢化等に対応するため、安定的な歳入構造をつくる。公的年金をはじめとする社会保障制度を抜本的に見直し、世代間・世代内の公平を重視して長期に持続可能なものにするとともに、年金課税の見直しを検討する。また、道路等の特定財源については長期計画や今次税制改革と一体的にそのあり方を見直す。地球環境に配慮した税制を検討する。
(4)地方の自立と活力のために
『第4部歳出の主要分野における構造改革3.国と地方』に述べる考え方に沿って検討を進める。
(5)負担に対する国民の理解のために
IT化に対応した申告・徴収を進める。サラリーマンの申告納税の拡大・納税者ID制度等の検討によって、より信頼できる徴税と納税の環境を整える。消費者の理解を得るために、消費税の免税点制度等の見直しを検討する。


経済財政諮問会議の税制改革基本方針 1 投稿者:長谷川 博  投稿日: 6月22日(土)15時13分12秒

 6月21日の経済財政諮問会議基本方針(案)に示された税制改革の基本方針
http://www5.cao.go.jp/shimon/2002/0621/0621item2.pdf
(22頁から25頁)
 第3部税制改革の基本方針
 <はじめに>
 少子化・高齢化、IT革命、激化する国際競争の中で、日本経済が活力を取り戻し、国内に質の高い雇用を確保していくためには、経済・社会の基盤である税制を幅広く見直していくことが不可欠である。21世紀にふさわしい包括的かつ抜本的な改革を行い、広く、薄く、簡素な税制を構築する。税制改革に当たっては、第1に、グローバル化する経済の中で日本の競争力の強化をめざす。第2に、すべての人が参画し、負担し合う公正な社会にすることをめざす。第3に、納税者側の視点に立って、わかりやすく簡素な税をめざす。
 また、税制改革は、聖域なき歳出改革と一体となって行うこととする。国・地方の歳出をさらに徹底的に見直し、簡素で効率的な政府を実現する。
 1.税制改革の必要性
(1)低迷する日本経済と税制改革
 かつて驚異的な成長を成し遂げた日本経済だが、長期にわたって低迷を続けている。潜在力を覚醒させ、創意と挑戦の意欲を喚起して、世界経済における日本の強みを再構築せねばならない。そのためには、税制が常に時代の変化に対応し、企業と個人の活力を支えることが必要である。
 構造改革がめざすのは、「人」を重視する国である。これまで、税制をはじめとする諸制度は、均一化された家族やライフスタイルを前提としがちであった。個人が選択するライフスタイルが多様化する中、一人ひとりの多彩な個性と能力が尊重されるよう、税制もまた変革を迫られている。それぞれの地域が魅力的になることで、人々の生活は豊かになる。
 最近の地方分権の努力は、地域の個性と自律性を再生しようとするものだが、財政面では、まだ国への依存度が高い。地方自治体が権限と財源、責任をもち、住民の参加と選択の下、自らの力で財政運営を行うようになって、名実ともに地方分権が確立する。
 日本の人口は2007年から減少に転じ、急速に高齢化が進む。しかし、財政や社会保障制度はそれに対応しきれておらず、人々は確かな生活設計を描けずにいる。更に、国・地方政府が巨額の財政赤字を抱える中で、財政の現状を放置すると、日本の財政の持続性に対する危機から、長期金利の上昇による投資の抑制などの経済のダウンサイド・リスクが高まる。徹底した歳出面の改革とあわせ、長期に持続可能な財政構造と社会保障制度を構築することによって、将来に安心感をもてる社会を創らなければならない。
 以上の大きな変化を考えると、いま、包括的かつ抜本的な税制改革が求められている。これからの経済社会にふさわしい経済の活力を支える新しい税のデザインを行う時期を迎えている。
(2)税制の現状認識
 経済社会の劇的な変化や、ライフスタイルの多様化が進む中、現在の税制について様々な問題が指摘されている。経済の活力を阻害し、また、個人や企業の選択に歪みをもたらしているのではないか、複雑で納税者にとって分りにくいものとなっている、租税回避行動がおきているのではないか、課税ベースが浸食されており、また、納税者意識が希薄になりやすいのではないか等の指摘である。さらに、現在の財政は、極めて不十分な歳入構造になっており、巨額の歳入・歳出ギャップが存在しているのが現状である。
 2.目指すべき経済社会と税制改革
(1)目指すべき経済社会の姿
 税制を考えることは、将来の社会のあり方を考えることでもある。どのような経済社会を目指すかによって、税制改革の方向も変わってくる。今回の税制改革が実現を目指すのは、「改革と展望」で示した経済社会の姿である。民間需要が主導する持続的経済成長を実現する。「人」を何よりも重視し、多様なライフスタイルの下で、国民一人一人が個性と能力を十分に発揮する。高齢化等の問題に積極的に挑戦し、長期にわたる安心を確保する。地方が、それぞれの地域の魅力、個性を発揮し、自立し、活力をもつ。また、簡素で効率的な政府の実現に向け歳出面の改革を推進しつつ税制改革を進める中で、国民の負担に対する理解が深まることが期待される。
(2)税制の3原則
 望ましい税制の条件として掲げられるのは、「公平・中立・簡素」の3原則である。今回の税制改革では、時代の要請に応じて、この3原則を「公正・活力・簡素」と理解することとする。
 @ 公正----自立と再挑戦を支えるセーフティネットを構築した上で、「公正」を追求し、“結果の平等”より“機会の平等”を重視する。
 A 活力----人々や企業の選択を歪めず、経済社会の「活力」を最大限発揮させる。
 B 簡素----納税者にとって「簡素」かつ透明で分かりやすい税制を構築し、納税者の信頼と理解を得る。
(次項へ続く)

税制改革に対する意見 投稿者:長谷川 博  投稿日: 6月19日(水)09時25分28秒

 税制改革について、参加しているMLの意見から紹介します。

(あるMLでの意見から)
経済財政諮問会議は全国各地でヒアリングを行いました。
その中で、千葉県開催のヒアリングでは、参加者から、「これは意見聴取の場ではなく増税の説得場所だ!」とブーイングが出たにも拘らず、ヒアリング結果として全国紙に発表した内容は、「消費税の益税について国民の批判は多かった!」という事でした。

 ヒアリング結果さえ、政府の既定方針の便法に使われます。(もっともその為のヒアリングですが。)
始めに財政収入確保ありきからスタートしていますので、外野の意見などに耳を貸す余裕などないのでしょう。

 声の小さなところから、大きなところへと税の移譲が行われています。
老人の非課税貯蓄を廃止し有価証券の減税財源にまわしています。
消費税の益税解消のインフラ整備のために、免税事業者を1,000万円とする等等の施策を打とうとしています。
 しかし、もっと大きな益税については誰も指摘しません。
大企業での、課税売上割合95%以上の仕入税額控除問題。
金融、保険、証券業に対する非課税措置等についても指摘はありません。
 健康保険法改正により自己負担2割が3割になります。

 老人、サラリーマン、中小零細事業者への課税強化が行われています。
これで景気回復、個人消費への刺激が仮に行われると考えているなら
何をかいわんや、日本脱出しかないでしょう。
# どこへ脱出したらいいのでしょう。

(あるMLでの意見から)
> 政府税制調査会の税制改革の基本方針にはガッカリさせられた。
> 変革を求める世の中の認識が欠けており、旧態依然の実質増税
> 案である。これでは日本はIMFの救済適用国に入っていくだろう。

同感です。しかし、指摘したいのはIMFの救済適用国になった場合に出てくるのは同じ処方です。
財政の均衡を目指す(緊縮財政)、付加価値税への課税シフト。
IMFと世界銀行、WTOが三位一体で進めている方向性は一体、誰を利するのかですね。

>  しかし、古今東西、厳しい増税で財政を再建した国はない。
> 重い税負担は、個人のやる気と経済の活力を奪うからだ。
> 財政再建に何より必要なのは、経済の活性化による税収の
> 自然増である。

これは、アメリカのクリントン政権が証明しましたね。IT経済はめっきがはげつつありますが、レーガン税制が成功したということではなく、カーター政権時代に始まった規制緩和の動きと産業構造の変化に対しブッシュ政権、クリントン政権が所得税の累進度を上げたおかげで不況にぶつかったブッシュは落選したもののクリントンは財政再建を達成できた。好況と税収弾性値を挙げたことの相乗効果。

>  基本方針は、多くの納税者が少しずつ負担する「広く薄い税制」へ
> の転換を目指している。

 活力というけれど、今ほど世界的に所得格差の拡大している時代はありません。
OECD諸国における中流階級の没落、開発途上国における一方の経済成長と他方の所得格差の非常な拡大。サハラ以南のアフリカやユーゴは、冷戦時代より生活水準が低下してます。

消費税の益税問題は、中小免税業者ばかり取り上げてますが本質は別のところでしょう。

事業税の外形標準の問題ですが、私は地方分権と財源移譲は切り離せない問題だと思います。よく、取り上げられる東大の神野教授は、地方分権と財源移譲論だと思いますが、その主張をよく読むとスウェーデンを意識されてますよね。
地方分権を行い、財源を移譲する、その場合の税源としては所得に対する課税がいいのか、売上その他の外形を使うのかは別の議論だと思います。下手な応益論なんて底が浅いと思いますが。


変革なき政府税調の基本方針 投稿者:長谷川 博  投稿日: 6月15日(土)09時50分50秒

 政府税制調査会の税制改革の基本方針にはガッカリさせられた。変革を求める世の中の認識が欠けており、旧態依然の実質増税案である。これでは日本はIMFの救済適用国に入っていくだろう。
 問題点を整理した読売社説を紹介する。

6月15日付・読売社説(1)
 [税調基本方針]「減税置き去りでは活力が出ない」

 政府税制調査会が税制改革の基本方針をまとめた。減税案はほとんどなく、「増税リスト」とも言える内容だ。
 現行税制は、税の最も重要な役割である財源調達機能を果たしていない。基本方針は十年、二十年先を見据えて作成された。このため、増税重視になったのだろう。
 しかし、古今東西、厳しい増税で財政を再建した国はない。重い税負担は、個人のやる気と経済の活力を奪うからだ。財政再建に何より必要なのは、経済の活性化による税収の自然増である。
 基本方針は、多くの納税者が少しずつ負担する「広く薄い税制」への転換を目指している。だが、課税ベース拡大のメニューは豊富なのに、税率下げは「小渕政権時代に先取りされた」として、見送られた。これでは活力は生まれない。
 その典型が所得税だ。パート対策として設けられた配偶者特別控除や、高校・大学生の教育費に配慮した特定扶養控除など、各種の人的控除を減らす方向で見直すとしている。だが、税率を据え置いては一方的な増税になってしまう。
 累進構造も、「フラット(平準)化が進みすぎた」と指摘し、現在は課税所得が三百三十万円を超えると適用される20%の税率を、もっと低い金額から適用する方向を示している。これでは、中堅所得層以上にはかなりの増税となる。
 消費税については、今後の税率引き上げを強くにじませ、その前提として、中小事業者向けの免税制度と簡易課税制度の縮小を打ち出している。
 現在、売上高が年間三千万円以下の事業者には事務負担への配慮などから、消費税の免税が認められている。また、二億円以下の事業者は、業種ごとに売上高の一定割合を仕入れ額とみなす簡易課税を選択できる。
 これらの制度に対し、「納めた消費税が国庫に入らず、事業者の手元に残ってしまう」との批判が消費者には強い。
 高齢化の進行に伴って、政府の社会保障支出は増大が見込まれる。その財源は消費税以外に考えられず、将来は税率引き上げが避けられないだけに、中小事業者向け特例の縮小はやむを得ない。
 基本方針は法人事業税に外形標準課税を導入することも提案している。赤字法人にも応分の負担を求める外形課税は、都道府県税収の安定のため、それ自体は実施すべき改革だ。
 しかし、外形課税の導入と消費税特例の縮小が同時に実施されては、中小企業の受ける打撃は大きい。そうした事態を避けるため、法人実効税率の実質的な引き下げなど、別の配慮が求められる。
http://www.yomiuri.co.jp/08/20020614ig90.htm


役員報酬課税の見直し 投稿者:長谷川 博  投稿日: 6月 8日(土)00時28分34秒

特集:税をただす
(6/7)(下)「役員報酬」・時代遅れの横並び課税

 会社の業績が良くなるにつれて役員の報酬も上がる「業績連動型報酬制度」。経営者の「やる気」を引き出そうと、来春施行の改正商法で認められる制度だが、税制が普及の足かせになる可能性が出ている。
 改正商法では、一定規模以上の企業が具体的な算定方法などを株主総会で議決しておけば、役員報酬の一部を業績連動型に切り替えることができる。ところが、いまの税法では業績連動部分の報酬について課税上の扱いが明確ではない。
 企業が法人税を支払う際、従業員の給与は不自然に高額でない限り損金として法人所得(利益)から差し引ける。経営陣への給与である役員報酬も原則として損金に算入できるが、それには「定期・定額であること」といった条件がつく。あらかじめ決められたときに、決められた金額を払う仕組みでなければならないわけだ。
 税務当局が「定期・定額ではない」との理由で業績に連動して増減する報酬を損金として認めなければ、企業の税負担は膨らんでしまう。
 業績連動型を導入する企業は来年の株主総会でそれを決める必要がある。産業界は早急に課税上の扱いを確定するよう訴えるが、税務当局は「実際にどういう報酬体系になるか見てみないと判断は難しい」という。
 日本の税務当局が高い報酬に厳しいのは、無制限に損金算入を認めると課税逃れに使われる可能性があるとみているからだ。利益が多く出たときに報酬を増やせば、課税所得を圧縮することができる。日本の場合、同族会社を起源とする企業が比較的多く、実際にそうした利益調整をする例が珍しくなかったという歴史的経緯もある。
 だが、役員報酬改革はいまや世界の常識だ。人事コンサルティング会社の米タワーズペリンによると、米国の最高経営責任者(CEO)の年収の約6割は業績連動報酬。会社の収益力向上につなげるとともに、業績と報酬の関係を明確にして“お手盛り”の処遇をなくし、株主への説明責任を果たすねらいという。
 同社の阿部直彦東京支店長は「税制の手当てを急がないと日本企業だけが改革に取り残されかねない」と指摘する。
 役員の意欲を高めるための改革の前には「横並び」の弊害も立ちはだかる。法人税法の政令は役員報酬について、同業種・同規模の企業と比べ高額だと「不相当」と判断し、同業・同規模の水準を上回る部分は原則として損金に算入できないと定めているからだ。
(以下略) 
http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt16/20020606eimi283606.html

 企業の活力を求めるという意味では、日本の現在の役員報酬に対する課税は見直されてもいいと思われる。国際競争力という観点から、日本の平等型(規制)税制から自由型(規制緩和)税制への視点の移行も必要かもしれない。

税制改革論議 投稿者:長谷川 博  投稿日: 5月22日(水)23時53分23秒

 日本の将来を決める税制改革論議について、経済財政諮問会議の論点整理に対する読売社説を紹介する。

5月23日付・読売社説(2)
 [税制改革]「年度内減税の必要性は高い」

 経済財政諮問会議が論点整理の形で、税制改革の方向性を打ち出した。
 「公正・活力・簡素」を原則とし、一部に重い負担を強いている現在の税制を「広く薄く」負担する税制に組み替える、と宣言している。これへの異論は少ない。
 税制論議は一歩、個別税目に踏み込むと百家争鳴に陥る。まず、改革の全体像とスケジュールを固めるべきだ。
 この問題の論点は大きく二つに分かれる。今年度中にデフレ脱却のための減税を行うか否か、来年度から実施する抜本的税制改革は、減税先行か増減税一体か、の二つだ。
 諮問会議は当初、年度内減税の必要性を強調し、減税先行の考えを鮮明にする意向だった。しかし、財務省の巻き返しで曖昧(あいまい)な表現に後退してしまった。
 日本経済は米国向け輸出の回復などを手掛かりに、短期的な景気循環では最悪期を脱したかもしれないが、デフレ構造は依然として居座ったままだ。
 国民生活と経済を安定させるため、一刻も早くデフレから脱却しなければならない。企業の研究開発投資に対する減税など、デフレ退治に効果のある減税を年度内に実施すべきである。
 効果が不十分なら、抜本改革も減税先行にせざるを得ないだろう。
 その場合、諮問会議が提案する新しい課税方式は検討に値する。
 一つは預金利子、株式譲渡益など金融資産から生じる所得を一括し、低率で課税する制度だ。株の譲渡損失が出た時、利子所得と相殺できる効果がある。
 懲罰的な高税率が適用されている贈与税を相続税と一体化する制度は、生前贈与を進めやすくする。高齢者から壮年へ財産が移転すれば、個人消費の拡大が見込まれる。同時に、相続税の税率を引き下げることも忘れてはならない。
 税の増収策としては、配偶者への控除など、所得税、住民税の人的控除の整理を提唱している。課税最低限を下げて、より多くの人に負担をしてもらうためにも、人的控除の見直しが不可欠だ。
 税制改革を巡っては、諮問会議のほか政府と自民党の税制調査会、与党の政策担当者などの意見が入り乱れている。
 減税先行の諮問会議と増税路線の政府税調、年度内減税を推す与党政策担当者と消極的な自民党税調の対立は、基本方針を決める六月を前に、抜き差しならないものになりつつある。
 税制改革という「馬車」を引く四頭の馬がばらばらの方向に走っている。「御者」の小泉首相が、デフレ脱出を優先する方向で裁断を下すべき時だ。
(5月22日22:35)
http://www.yomiuri.co.jp/08/20020522ig91.htm

日本の将来を決める税制改革論議 投稿者:長谷川 博  投稿日: 5月22日(水)23時50分20秒

日本の将来を決める税制改革論議

 現在、わが国の将来を左右すると思われる重要な税制改革論議が、政府の経済財政諮問会議と政府税制調査会、そして政権党である自民党の税制調査会で行われている。
 小泉政権前は、政府と自民党の税制調査会が財務省主導による税制改革論議の中核をなしてきたが、新たに政府の経済財政諮問会議が加わったことにより税制改革をめぐる議論が活発になりそうである。最近のこれらの議論を日経netから記事を抜粋してまとめてみた。

(1)政府・経済財政諮問会議(3/29)
租税3原則、「公平、活力、簡素」に表現変更
 牛尾治朗ウシオ電機会長ら、政府の経済財政諮問会議の民間議員4人は同会議で、経済活性化に向けた税制改革の論点整理を提出した。論点整理では「公平、中立、簡素」という租税の3原則のうち「中立」の部分を環境変化に合わせて「活力」と表現。歳出構造や社会保障、地方財政なども含めた包括的な視野で、少子・高齢化やライフスタイルの多様化といった現状に対応した税制への転換を目指す。
 
(2)政府・経済財政諮問会議(3/28)
所得・法人税、2003年度めどに税率下げ・諮問会議
 2002年度以降に3段階の実行期間を設け、2003年度までの当初2年間は経済活性化を最重視し、所得税や法人税の課税範囲を広げつつ税率を大胆に引き下げる。政策減税も時限付きでの導入を明記する。同時に社会保障、地方財政など他の制度改革にも着手、2006年度までに税制改革の完了をめざす。
 
(3)自民党税制調査会(4/18)
自民税調、諮問会議への反発の声相次ぐ
 自民党税制調査会の相沢英之会長は、政府の経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)が税制改革の具体的な項目まで踏み込んで議論していることに反発の声が相次いだことを明らかにした。そのうえで「諮問会議は『経済財政に関する重要事項についての基本的な方向を決める』ということを心してもらいたい」と述べ、諮問会議は経済政策の基本的な方向付けに専念すべき、との党税調の考えを松下忠洋内閣府副大臣らを介して竹中平蔵・経済財政担当相に伝えたことを紹介した。

(4)財務省(4/24)
先行減税、2010年度財政黒字条件に・財務相
 税制改革で焦点になっている先行減税について、2010年度に財政の基礎的収支を黒字にすることを条件とする考えを示した。減税による歳入減を補う増税までの期間を長めにすることで、経済活性化を優先する姿勢を鮮明にした。ただ財政規律を堅持するため、増減税を同じ法改正案に盛り込む必要性も強調した。
 
(5)財務省(5/05)
消費税の簡易課税縮小・財務省方針
 財務省は消費者が支払った消費税を中小事業者が国に納める際に、便宜的に簡単な方法で税額を計算できる「簡易課税制度」を縮小する方向で検討に入った。この特例を利用できる事業者の課税売上高を現在の年2億円以下から年1億円以下に引き下げる案を軸に調整する。消費者などが支払った税の一部が事業者の手元に残る「益税」の解消に向けた措置だ。
 
(6)政府税制調査会(5/15)
生前贈与、税負担軽く・政府税調、相続時に一体課税
 政府税制調査会(首相の諮問機関)は、基礎問題小委員会を開き、親子や配偶者間の資産の生前贈与を促すため相続税と贈与税を一体化することで一致した。10年程度の一定期間内の贈与や相続を累積して課税する代わりに税率を下げたり、現行の贈与税に比べ大きい非課税枠を使えるようにする。高齢者に偏る金融資産を現役世代に移し、消費や住宅投資などの活性化をねらう。
 
(7)首相(5/17)
首相、在任中の消費税上げ検討せず
 小泉純一郎首相は17日夜、首相官邸で政府税制調査会のメンバーらと会談し、税制改革について「小泉内閣の最大の役割はまず歳出の無駄をなくすことだ。安易な消費税の増税はしない」と述べ、在任中は消費税率の引き上げを検討しない意向を示した。
 
(8)政府・経済財政諮問会議(5/20)
所得・住民税率下げ、諮問会議の税制改革基本方針案
 政府の経済財政諮問会議が6月にまとめる税制改革の基本方針の民間議員原案が明らかになった。経済の活力を最重視し、個人の所得税と住民税の税率(最高50%)の下げなど税率構造の見直しを盛り込んだ。法人課税も国際競争を意識、研究開発や情報技術(IT)への投資を促す税制をめざす。国・地方の歳出削減の成果を活性化減税の財源に活用する方針だ。

税制改革論議 投稿者:長谷川 博  投稿日: 4月25日(木)19時44分17秒

税制改革論議 (日経netから)

(4/23)増税より歳出を削減すべき・対話集会が終了
 政府税制調査会(首相の諮問機関)の「税についての対話集会」は23日、松山市で開いた第6回会合で当面の日程を終えた。「増税より歳出を削減すべきだ」との意見が多く、所得税の控除見直しは社会保障制度全体を考えて決めるよう求める声が目立った。税だけに議論を絞り、増税志向のにじむ税調の改革論議の限界が浮き彫りになった。
 「歳出を減らせば給付を受けられないというなら、国に頼らず自助努力するしかない。税制はこうした自助努力を支援する形にすべきだ」。松山会場では主婦が社会保障制度への不安を訴え、歳出の効率化と一体の税制改革を強く求めた。
 石会長は23日の記者会見で、「歳出の見直しは税調の枠を超えている」と指摘。社会保障や道路特定財源、地方交付税交付金のあり方などについて、経済財政諮問会議からの提案に期待する意向を示すのにとどまった。
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt5/20020423deei039323.html

(4/24)首相:先行減税論議、まだ早い・「03年度予算への反映基本」
 小泉純一郎首相は24日夜、経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)などで2002年度中の先行減税論議が高まっていることについて「(税制改革は)2003年度予算に反映させるのが基本で、その中で今後の経済状況や経済活性化を考えながら動かしていく。まだ早い」と述べ、当面は経済状況の推移を見極める必要があるとの認識を示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
 首相は税制改革について「6月に総合的な税制改革の対象項目が出てくる。中長期的視点に立って望ましい税制改革はどうあるべきか、そして現在何が必要か、という点が必要だ」と指摘。「目先だけじゃない」と重ねて強調し、短期的よりも中長期的な視点の方が重要だと力説した。
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt5/20020424diii170424.html

(4/24)「2010年度に財政黒字」・財務相、先行減税で条件
 塩川正十郎財務相は24日の記者会見で、税制改革で焦点になっている先行減税について、2010年度に財政の基礎的収支を黒字にすることを条件とする考えを示した。減税による歳入減を補う増税までの期間を長めにすることで、経済活性化を優先する姿勢を鮮明にした。ただ財政規律を堅持するため、増減税を同じ法改正案に盛り込む必要性も強調した。
 塩川財務相は16日の経済財政諮問会議に税制改革の3原則を提示。この中で一定期間内で増減税のバランスを取り、改革は「税収中立」とする考えを表明していた。
 財務相は24日の会見では「経済活性化のために税制も寄与する方向で考えないといけない」と強調。増減税が中立となる「一定期間」の意味について「2010年度を考えている。プライマリーバランス(財政の基礎的収支)の黒字化が目標だ」と説明した。
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt5/20020424eimi167424.html

 私は、今年の税制改革の方向で日本経済の行方が決まると思っている。果たして旧大蔵族の小泉首相が日本構造改革実現途中で方向を見誤らないでいけるかどうか。歳出の見直しと税制改革に日本再生が描けるかどうか、見守っていきたい。

納税者番号制について 投稿者:長谷川 博  投稿日: 4月 5日(金)00時47分22秒

(朝日新聞4/4社説から)
■税制改革──納税者番号の導入を
 経済財政諮問会議が6月の税制改革とりまとめに向け論点を公表した。「公平、中立、簡素」とされてきた税制の基本理念を「公正、活力、簡素」とし、国民が「広く、薄く」負担する方針を掲げた。
 「結果平等」から「機会均等」へと軸足を移し、デフレ不況や中国などの追い上げに苦しむ日本経済の立て直しに、税制を役立てようという狙いだ。
 論点は数多いが、国民生活に関係が深い課題として、所得税や法人税、相続税・贈与税の見直しがあげられている。
 所得税については、課税最低限の引き下げを主張したい。税は民主主義の基本の一つだ。就業者の4人に1人が所得税を払っていないという現状の見直しは、「広く、薄い」税制への第一歩となろう。
 ただ、各種控除を見直して課税最低限を下げると、すべての人に増税となりかねない。税率を同時に見直し、とりわけ低中所得層の負担増を避ける工夫が必要だろう。
 預貯金の利子や株式の配当、売買益など金融所得の扱いも重要だ。
 各種の金融所得を給与所得などから切り離し、合算して課税する「二元的所得課税」は検討に値する。株の売買損を利子所得などで帳消しにできる仕組みだ。簡素化につながるし、日本経済の体質強化に必要な証券投資の拡大にも役立つ。
 法人税率は欧米並みに下がったが、アジア諸国などで一層の軽減を目指す動きもある。産業の空洞化を防ぐため、引き下げの可能性が探られていい。
 既得権益化した租税特別措置をいったん全廃し、先端分野の研究開発や設備投資を促す新たな措置を検討すべきだろう。
 相続税・贈与税は、両者を一体ととらえた手直しが急務だ。生前贈与による相続税逃れを防ぐために贈与税の負担は重くなっている。だが、高齢化が進み、親から財産を相続した時は、すでに社会の一線を引退している、というケースも珍しくない。
 働き盛りのうちに資産を受け取れれば、消費の拡大につながる。米国のように相続税と贈与税を一体とし、いつ、何回に分けて財産を譲っても最終的な納税額は同じという「一生累積課税」が望ましい。
 また、足もとの景気対策として、現行の贈与税で認められている住宅取得向けの550万円の非課税枠の拡大も考えられていいだろう。
 こうした税制改革には、納税者番号が不可欠なものが多いことを忘れてはならない。「二元的所得課税」や「一生累積課税」は、金融所得や贈与を確実に記録し、合算することが必要だからだ。
 プライバシー保護や悪用の防止に十分に配慮することは当然だが、基本理念の一つに「公正」を掲げるなら、所得の「漏れ」を少なくすることが大前提だ。
 かねて主張してきたように、私たちは納税者番号を導入すべきだと考える。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

 一つだけコメントするとすれば、納税者番号制の導入は、国民総背番号制とはならない「税務限定番号」にとどめるべきであろう。現在でも、確定申告者には事実上納税者番号が付されており、また、支払調書等法定調書による納税者情報の収集が行われているが、番号化が強化される場合には、プライバシー保護の点で各国でもいろんな問題が生じていることを学びとって欲しい。
 また、わが国には未だ、プライバシー保護法や個人情報保護法がない現在、納税者番号制が先行して議論されることには危惧感を覚えるものである。
 なお、以下の資料も参照されたい。
http://www.cyberoz.net/city/hirohase/hase4.htm

小泉税制改革案 投稿者:長谷川 博  投稿日: 4月 2日(火)07時04分46秒

(日経netから)
(3/28)税制「論点整理」案要旨
 経済財政諮問会議の税制改革に関する「論点整理」案の要旨は以下の通り。

 1 基本認識=略

 2 新たな経済社会を実現する税制改革のあり方

 (1)新たな税制の理念 「公平、中立、簡素」の租税の三原則は環境変化に対応して「公正、活力、簡素」に置き換える。

 (2)税制改革の方向性 (1)活力を引き出し、国際的整合性を重視する税制 課税ベースを拡大、税率構造の大胆なフラット化を進め広く薄い税に。法人に対する課税は徹底的に国際競争を意識。投資重視に転換を促す観点から金融所得を一括して課税する「二元的所得税」に移行。

 (2)多様な選択を可能にし、すべての人が社会に参画できる税制 結婚・出産・就労などの選択に対してひずみを与えない。相続税と贈与税はひずみを与えず広く薄い税にする。

 (3)地方の自立と特色ある発展を促す税制 地方交付税のあり方、国から地方への税源移譲、地方税のあり方(外形標準など)について幅広く対応する。

 (4)透明で公正な、納税者が納得できる徴税システム 全面的な電子納税に早急に移行。納税者ID(本人確認)、さらに社会保障個人会計を導入。“クロヨン”を是正すると同時にサラリーマンも自ら経費控除して申告納税する制度を整備。
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt5/20020328eimi082828.html

(3/29)租税3原則、「公平、活力、簡素」に表現変更
 牛尾治朗ウシオ電機会長ら、政府の経済財政諮問会議の民間議員4人は29日夕の同会議で、経済活性化に向けた税制改革の論点整理を提出した。同会議は今後、ここで示した項目を中心に議論を進める。論点整理では「公平、中立、簡素」という租税の3原則のうち「中立」の部分を環境変化に合わせて「活力」と表現。歳出構造や社会保障、地方財政なども含めた包括的な視野で、少子・高齢化やライフスタイルの多様化といった現状に対応した税制への転換を目指す。
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt5/20020329ciii138929.html

(3/29)政府税調会長「減税する考え諮問会議にはない」
 政府税制調査会長の石弘光会長は29日夜、「何でもかんでも赤字公債を増やして減税をするという考えは諮問会議にもないし税調にもない」と語り、今後、経済財政諮問会議(議長、小泉純一郎首相)の税制改正論議で景気対策として減税を先行させる「先行減税」が議論されることはない、との見通しを示した。
(略)
また、諮問会議が税制改革で経済に「活力」をもたらすことを重視しているのに対し、政府税調では「中立」を重視するなど食い違いもみられる。この点については「民間の主体の行動に歪みを与えない、市場経済を表に立てる、という意味で『中立』がそこで担保にされれば結果的に『活力』『活性化』にはね返る」と説明した。
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt5/20020329diii145929.html

(3/29)税制改革「活力」を重視・諮問会議論点公表
  2002―2003年度、減税検討
 政府の経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)は29日、税制改革の論点を公表した。経済や社会の活力を引き出すため、税制の基本原則で新たに「活力」を重視する方針を明記。所得税などの課税範囲を広げ累進税率を緩和し「広く薄い」税負担への転換や納税者番号の導入検討などを盛り込んだ。2002年度から2年間は経済活性化を重視し、減税措置を検討する。
 諮問会議は今回の論点整理をもとに、6月までに税制改革と関連する法制度改革の実行計画となる「工程表」をまとめる予定。並行して検討作業に入っている政府税制調査会(首相の諮問機関)と調整し、改革への取り組みを急ぐ。
 同日の諮問会議では本間正明阪大教授ら民間議員が論点整理案を提出した。「公正、活力、簡素」な税体系へ転換するため(1)活力を引き出し、国際的整合性を重視する税制(2)長期にわたって安心を支える税制(3)地方の自立と発展を促す税制(4)透明で公正な徴税制度――などを検討課題とすることを確認した。同席した政府税制調査会の石弘光会長も改革の方向性について同調した。
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt5/20020329eimi151929.html

 小泉税制改革の要点が明らかになった。租税3原則が、「公平、中立、簡素」から「公正、活力、簡素」に変わった。
 これは、まず弱者に配慮した税制から勝者のための税制ということであろう。
 次に、消費税の拡大や外形標準課税の導入など捕りやすい税制の拡充ということであり、現在の景気対策にも逆行したものとなっている。
 美辞麗句は散りばめられているが、内容は財務省主導型の小泉政権自滅税制と評されよう。