番目のアクセスありがとうございます Last Modifiedon 26 Mar. 2001

最近の報道から愛国教育と歴史教科書問題について、掲示板に掲載した内容を紹介し、コメント補足します。
ちなみに、私は親韓派を自認するものです。議論や意見形成に際しては友好国としての冷静さも必要です。


シンガポールの愛国教育 投稿者:長谷川 博  投稿日:12月29日(金)23時44分42秒

今日の朝日新聞を読んだ人なら、どうして今ごろシンガポールで反日教育を?と思ったに違いない。

(asahi.comから)
シンガポール歴史博物館の壁に「ゼロ戦」が体当たり? 
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 シンガポール歴史博物館の壁に、体当たりする「戦闘機」が現れた。博物館が「55年後の戦争回顧の意義」展の開催にあわせ、10月に模造品をすえつけた。担当の学芸員ホアさん(25)は「日本をイメージしたわけではありません」というが、日本軍の特攻機を思わせる光景に、一番多い質問は「あれはゼロ戦か」だという。シンガポールでは学習指導要領の改定で今年、小学生にも「日本による占領の歴史」を教え始めている。(00:57) 

朝刊の1面に写真入りで、8面に解説が出ています。
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どうも日本の新聞は、事実を伝えることに重きを置き、分析が足りません。

どうして今さら、学習指導要領を改訂し、反日教育で愛国心教育なのか?
しかも小学4年生から。そして新教科書は76頁のうち、約7割を日本の侵略・占領に関する記述、写真やイラスト約70枚を使っているという。
日本兵が銃剣で華人を刺す場面のさし絵があり、日本統治はすべての人にとって悪夢だった、と結論付けているとのこと。

教育省によると、改訂の目的は、男子に2年の徴兵制があるが、兵役についた時国防の重要性を真剣に受け止めるためという。
シンガポールとマレーシアとの関係、英国の植民地時代、大東亜戦争による日本占領時代と歴史は続き、日本のODA支援やシンガポールのLook east(日本)の経済政策もあり、第2次世界大戦終了後55年を経過しているのである。

日本の教科書に対しては、韓国、中国などアジア諸国から批判を受けることもあるのだから、日本も堂々と主張して、今さらどうして反日教育から愛国心の育成なのか、批判すべきであろう。

あまり外国から内政干渉を受けたり、非難されたままでいると、日本でも堪忍袋の緒が切れ、愛国心が右翼的な国家主義になったり、偏った思想が台頭するおそれがる。日本政府や政治家は、言論の自由や学問の自由を認め、自らも堂々と自己の意見を述べ、また、マスコミも議論の場を数多く提供し、さらに、それを世界に発信していく新たな時代になっていることに気が付くべきだろう。

愛国心の必要性は肯定するものであるが、今や愛国精神はアイデンティティ(文化、伝統、宗教などの違い)を認識することであり、過去の戦争被害だけを取り上げての愛国教育では、被害者意識からの愛国洗脳であり、政治家や国家が「ため」(政治的意図)にする教育であるといわなければならない。

アイデンティティ教育は、世界の動向を正確に見ること、文化の違いを見極めること、そして世界の中での自分を位置付けることである。今や世界は経済戦略という戦争の中にあるが、自分は世界とどう関わっているのか、そして地球の中で人類が協調し、平和を求めていくためには何が自分には出来るか。このように、分析し、批判し、自由に意見を述べることからアイデンティティは自ずから生まれるものである。
特に、マスコミはこのようなアイデンティティ教育のために、情報を提供すること、政治家や教育者は隣国に気兼ねすることなく、自己の意見を表明すべきである。
ここから本当のアジアの友情が生まれるだろう。

ヒステリックな反応は怖い 投稿者:長谷川 博  投稿日: 2月28日(水)20時38分24秒

米国原潜衝突事故に関し、米国ワシントンポスト紙は、次のように「もう十分に謝罪している」として日本を批判している。
(asahi.comから)
 27日付の米ワシントン・ポスト紙は、米原潜事故の処理に関連し「もう我々は日本に十分謝った」と題するコラムを掲載、日本側からの「終わりのない謝罪要求」は、従軍慰安婦や南京大虐殺への日本の不十分な対応を考えれば「偽善のにおいがする」との批判論を紹介した。柳井俊二駐米大使は同日の記者会見で、「(筆者は)そういうことを言う立場にないのではないか」と批判する一方で、こうした議論は「今後も出てくる可能性がある」と述べた。以下略

また、日本の歴史教科書問題で、韓国の超党派の国会議員が対日是正決議案を国会に提出してる。
さらに、韓国政府も日本国大使に次のように申し入れしている。
(毎日新聞から)
<韓国>教科書問題で友好の障害を懸念 寺田大使に外交通商相
2001年2月28日(水)20時9分
 韓国の李廷彬(イジョンビン)外交通商相は28日、寺田輝介駐韓大使を外交通商省に呼び、「教科書問題が(友好関係の)障害となってはならない」と述べ、文部科学省が検定中の新しい中学校歴史教科書について韓国政府の懸念を表明した。寺田大使は、これに対して、検定作業は基準に従って適切に行われていると説明した。

 日韓、日中の近代史をめぐる歴史感には共通の事実認識ということが困難であると思われるが、日本政府が正式に行った謝罪や声明
(注)を重視することなく、一部の国民感情が有力な新聞紙や国会決議でヒステリックに反応することには疑問を感ずる。
 友好国であるならば、冷静な対応がなされるべきであり、多くの国民の感情を代弁するはずの新聞紙や国会には一呼吸置いた冷静な対応が望まれる。

景気が悪いと愛国心が減少? 投稿者:長谷川 博  投稿日: 3月18日(日)14時56分19秒

景気が悪くなると愛国心や国益重視の意識が減少するのでしょうか。
それとも、最近の自民党政府の政策失敗に原因があるんでしょうか。
世論に変化が見られます。

内閣府の世論調査をasahi.comから紹介します。
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「個人より国民全体」過去最低に 社会意識世論調査で 

 個人よりも国民全体の利益を重視する人が減り、愛国心が強いと思っている人も減っている。こんな傾向が、内閣府による「社会意識に関する世論調査」で分かった。
 「今後、日本人は個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきか」という問いに、35%が「個人の利益よりも国民全体の利益」と答えた。この質問を始めた1991年(45%)以来、低落傾向にあり、今回が過去最低。「国民全体の利益よりも個人の利益」と答えたのは28%で、前回より約2ポイント減った。

 現在の世相イメージを聞くと、明るいイメージとしては、(1)平和55%(2)安定15%(3)ゆとり8%。暗いイメージとしては、(1)無責任53%(2)自分本位46%(3)ゆとりがない31%だった。前回比で、明るいイメージは各項目で1―2%増。暗いイメージは「無責任」が約5ポイント増、「自分本位」が約4ポイント増だった。

 「他の人と比べて、『国を愛する』という気持ちは強い方だと思うか」という問いに、「強い」と答えたのは46%だった。前回より約4ポイント減り、ピークの91年より9ポイント低く、過去最低だった77年並みの水準。「弱い」と答えたのは11%で前回と同じだった。

 「日本の国や国民について誇りに思うこと」を聞くと、(1)長い歴史と伝統37%(2)美しい自然36%(3)すぐれた文化や芸術34%と並んだ。前回トップの「治安のよさ」が30%(約9ポイント減)で第4位、第5位の「国民の勤勉さ、才能」は26%(約3ポイント減)でやはり第5位だった。

 調査は昨年12月、全国の成人1万人を対象に実施し、6929人から回答があった。(11:37)

ピースボートのデモについて 投稿者:長谷川 博  投稿日: 3月25日(日)15時15分45秒

現在の閉塞的日本の自民党政府への抗議デモなら分かりますが、外国の団体と呼応しての次のようなデモはいかがなものか。ただし、デモは憲法で保障されています。
日本は国定教科書ではなく検定教科書ですから、外国から内政干渉されずに国内で大いに議論して欲しい。
なお私は、つくる会の支持者ではありません。リベラリストです。

(asahi.comから)
市民団体が歴史教科書に抗議し東京・渋谷でデモ 

 「新しい歴史教科書をつくる会」の主導で編集され、検定中の中学歴史教科書が、日本のアジア侵略などを正当化しようとしているとして、市民団体「ピースボート」(事務局・東京都新宿区)が24日、東京都渋谷区でこの教科書に抗議するデモ行進をした。韓国の市民団体と連携してソウル市内のデモと同時開催したもの。渋谷では約200人が参加し、繁華街を約1時間20分かけて歩いた。
 吉岡達也共同代表は「次世代に事実を伝える一番の基盤は教科書。そこで事実をごまかしては、日本人の誇りは守れない。採択させるべきではない」。参加者らの中には、アジアの文化や歴史を尊重するという意味を込めてチマ・チョゴリやアオザイなど各国の民族衣装を身にまとった人もいた。(22:13)


(注)首相の韓国謝罪の歴史(田原総一郎「日本の戦争」小学館p.161参照)
@1982年8.24 鈴木善行首相(教科書問題の記者会見)
A1984年9.7 昭和天皇(全斗煥大統領来日、宮中晩餐会)中曽根康弘首相(歓迎昼食会)
B1990年5.25 海部俊樹首相(第1回首脳会談)
C1992年1.17 宮沢喜一首相(訪韓、従軍慰安婦問題で)
D1993年8.11 細川護煕首相(内閣記者会見)
E1994年7.24 村山富一首相(訪韓)
F1995年8.15 村山富一首相(戦後50年にあたっての首相談話)
G1998年4.3  橋本龍太郎首相(アジア欧州会議での首脳会議)
H1998年10.8 天皇(金大中大統領来日)小渕恵三首相(共同宣言)

(意見形成や検証の留意点)
1.国の教科書は国定なのか、複数の検定を受けた中から選定できるのかどうか。
2.マスコミ・メディアは、自国や近隣諸国の実情(歴史教科書の内容)を客観的に報道しているかどうか。
3.その時の政権が政治的に利用して他国を批判していないかどうか。
4.テーマについて、観点が違う複数の意見を参照したがどうか。
5.文化や言語の違いをどこまで意識できているか。
6.国を愛するアイデンティティが形成されているか。
7.国の政策等を批判できる意見が形成されているか。
8.本当に人を愛したことがあるかどうか。
9.議論して論争(喧嘩)した経験があるかどうか。
10.自分の過ちは詫び、また、人の過ちを許すことができるかどうか。


なお、このテーマに関するサイトをアトランダムに紹介しますので参照して下さい。

愛国心の部屋HP

米国留学生のアイデンティティ論